再び筆を起こす

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方向音痴はつらいよ

2021-04-19 21:44:39 | 日記
 「八百屋さん。こんにちは。
また、こっちに引っ越して来ました。
よろしくお願いします。」
「久しぶりだね。
 お義兄さん住んでるって?」
「うん。」
「お義母さんが来て、そんな事を言ってたからさ。
鷹乃羽荘はどうしたのよ。」
「家賃タダで住んでたのにねぇ。
私も詳しく知らなくて。
お義兄さんの子供たち、甥っ子達は
それぞれの大学近くのアパートに住んでるみたいだし、
お義姉さんは実家に住んでるみたいだし、
一家離散状態だね。」
「その大学の入学金をお義母さんが出したってね。」
「ハハハお義母さん、それも八百屋さんに言ったんだね。
鷹乃羽荘は凄くリホームにお金掛けたんだよ?」
「そうよ。それも言ってたよ。」
「だけど鷹乃羽荘、売るんだって。」
「へー。お義父さんは?」
「老人ホームに入ってるのよ。
私達 毎週お見舞いに行くけれど、ヒドイよ。
行く度にお義母さん、車椅子からお義父さんを
立たせて、広間を一回り歩かせるのよ。
もう目も見えてるんだか、耳も聞こえてんだか
分からない。何を言ってるのかも分からない人をだよ?
お義父さんの口元にお義兄さんが耳を付けて
さんざんウン、ウンって聞いてるんだけど、
お義兄さん『何いってんだか全然わからない。』って。」
「へぇ。
人は自分の事になると、わからないもんなんだよ。
……私、もう この店閉めようと思ってさ。」
「え?」
「みんな買い物はスーパーで済ませる時代だよ。」
「そうかぁ。それは寂しいわ。
      ┐(´д`)┌ヤレヤレ


方向音痴はつらいよ

2021-04-18 19:40:56 | 日記
 「お義母さん、引っ越して来ました。
また同居させてもらいます。どうぞよ…」
「うーんと沢山 憎まれ口叩いてやるんだ!」
「!!!」
「ケメコさん!ここは私の部屋ですからね!
勝手に入って来ないでちょうだい!」
「(ヒェー!怖) ゴミ捨て場の掃除に行ってきます。」

「あら、町内の当番ですか?お世話様。」
「お向いの奥さん、こんにちは。」
「あの、お義兄さん、住んでいらっしゃいましたよねぇ?」
「いまもいますよ。」
「まぁ、それは大変ねぇ。
あの、お宅の縁側にいつも野良猫が座っているのは何故?」
「義母と義妹が野良猫にエサをやっているからですよ。」
「えっ?!野良猫を餌付けしていらっしゃるの?」
「それはスゴイ数の猫の餌を揃えてあるんですよ。
居間の、いや 義母の部屋の縁側に出る窓の前に
畳一畳分、安い餌から 高い餌まで、
ポリポリ系から しっとり系まで スゴイ数の猫の餌を
並べて、野良猫の姿を見ればエサをやっているんですから。」
「だけど、先日 ゴミ捨ての時、お義母様と一緒になって、
野良猫の糞害に困ってるって お話ししたら、
ウチも困ってるんですよって、おっしゃってらしたわよ?」
「私も困ってしまって、市の相談所に行って
『野良猫にエサをあたえないで下さい!』って看板、
もらえないでしょか?ウチの窓に貼りたいのでって
お願いに行ったくらいです。」
「それでは、事を荒立ててしまうわよ。」
「どうしたら 良いのでしょうねぇ
義妹が週に2回来てくれているのですが、
義妹が野良猫が可愛そうだからエサをやれって、
義母に言っているんですよ……」
「そう それは大変ねぇ。
 私、町会長さんに相談してみるわ。」
「そうですか、それはお世話掛けます。
よろしくお願いします。」
        ┐(´д`)┌ヤレヤレ

方向音痴はつらいよ

2021-04-17 20:02:30 | 日記
 ………白い天井……
……私は?
…手が動かない?
手はベッドの手摺に大きなグローブをはめられて
縛られている……
管だらけ、話せない。何か管が通っている、
 ……点滴?!ここは!集中治療室だ!………

ーー意識混濁ーー

……あれ、華子と結婚したばかりのお婿さんが来た…
…お見舞いか?…なんと 恥ずかしい

ーー意識混濁ーー

……あれ?太郎のお嫁さんが孫を連れて、
お見舞いに来ちゃった!きまりが悪い

ーー意識混濁ーー

辞めてよ!お義母さんがお見舞い?
駐車場で車を降りると
拳を上に突き上げて グルグルと振り回している
怖い。叩かれる。殴られる。怒られる。怒鳴られる
オオ どうしよう どうしようもない…
…私は縛られている。逃げられない

ーー意識混濁ーー

「先生、お世話になります。」
「ご主人、これはタダの『あてつけ』です。
これで、退院です。」
「ありがとうございました。」
(タダのあてつけ?あてつけだなんて、ひどいことを…)

「わかる?家に帰ってきたよ?
四日間 意識不明で集中治療室にいたんだよ?」
(そうかぁ、またまた 失敗だ 死ねないもんだなぁ)
「もう 自殺しないで?
ね?
もう自殺しないでね?」
「……うん……」
 
       (;´д`)トホホ…



方向音痴はつらいよ

2021-04-16 19:31:16 | 日記
 「あのねぇ、ケメちゃん。
お母さんの認知症は進んじゃってね。
ケメちゃんが毎月来てくれることも
教えてくれないんだよ?」
「私は毎月第3金曜日にお邪魔してるのよ。」
「ほらほら、ここがお父さんが行き付けの
書道絵画道具屋さん。
あ。こんにちは。
これ、娘。書道を始めさせようと思ってね。
連れて来たの。こちらが店長さん。」
「こんにちは、初めまして。
父がいつもお世話になっております。」
「ケメちゃん、おいでおいで、
硯はこれ。筆はこれとこれ。墨はこれ。
下敷き。文鎮。水差し。半紙。
これで、できるな!ハイ!」
はい 店長さん、これください。」
「14800円になります。」
「ケメちゃん14800円!」
(ヒェー?私が払うんかい?トホホホ。)
「ケメちゃん。次は本屋に行こう!」
「なんで本屋行くの?」
「短歌や俳句を作るのに、季語辞典がいるでしょう!
辛い事があったら短歌や俳句を読みなさい!」
「えぇ~。『つらいわな 同居はもう たくさんだ』って
読むの?」
「そうそう。お父さんの短歌俳句教室にも
色んな人が来てくれてるよ!
書道教室も生徒さん来てくれて 頑張ってるから!」
「ウゥゥぅん。季語辞典はまた今度にするかな?」
「あら、そう。
 ケメちゃん、お父さんに もしもの事があって、
お母さんが一人残されたら、どうする?」
「私がお母さん引き取って、旦那さんの実家に
連れて行くよ。みんなで一緒に住むから。安心して。」
「そうかぁ…」
「さあ、お母さんの所に帰ろう。」
「はいはい。」
       ┐(´д`)┌ヤレヤレ


方向音痴はつらいよ

2021-04-15 20:07:12 | 日記
 「わーい。こんにちは。
お母さんもお父さんも元気?
ハハハ 1ヶ月ぶりのご無沙汰です。」
「元気、元気、よく来たねぇ。」
「ここ(サ高住)は、日当たり良くて、
静かで、良いねぇ。
さあ、デパートでお寿司買ってきたよ。
はい、お父さんには冷えた缶ビールも。」
「これは ありがとう。早速 食べよう。」
「私達また、旦那さんの実家に同居することになったよ。」
「そうか。」
「ケメちゃんねぇ、辛いことがあったら
俳句や短歌に読みなさい!書道を始めなさい!
お父さんが、御手本を書いてあげる!
お父さんはねぇ、これからは『あおいくま』で
いくことにしたの!
『あ』は『あせるな』。『お』は『怒るな』。
『い』は『いばるな』。『く』は『くさるな』
『ま』は『負けるな』だよ。良いでしょぅ!ねぇ?」
「………」
ピンポーン
「あれ?誰か来たのかな?」
………
「宅配便?着払いで買い物したの?」
「いいえぇ。久郎の買い物よ。」
「弟の買い物?お金はお父さん
お母さんが払ってるの?」
「そう!毎日の様に届くよ。」
「へぇ…」
「ケメちゃんねぇ、食べ終わったら
書道の物 買いに行こう!
お父さんが行き付けのお店に連れっててやる!」
「お母さんも行こうよ。」
「いいよ。私はここにいるよ。」
「あらそう…」
「さあ、行こう!行こう!」
「お母さんも一緒に行こう?」
「ううん。行ってらっしゃい。」
「…ハィ……」
    ┐(´д`)┌ヤレヤレ