「ただいま～。
あれ?玄関に飾ってあったポンチャチャ様 知らない?
エ? 捨てた?
どうして?
北海道新婚旅行アイヌコタンで買った、
アイヌの台所の神様だぞ?
今日、教会に行って、邪教だから捨てろって?
今日初めて会った人に捨てろって言われて、
結婚依頼ズット一緒に居てくれたポンチャチャ様
捨てるかなぁ。
そうか…よし、わかった。
これはね アイヌの神様だから、オレたちには
ただの木彫りの置物。ね？
鳴子のコケシと同じだよ。ね？
拾っていい？
アラ、浅草観音様のお守りも、
柴又帝釈天のお守りも、
法隆寺のお守りも、恐山のお守りも
金毘羅様のお守りも、那智の滝のお守りも…
捨てちゃって…
これはね、観光旅行のただのお土産。ね。
ただの布袋だから。拾うよ？
もう、神社仏閣には行かないの？
太宰府天満宮にいつか行きたいって 言ってたのは
諦めるの？
家族みんなで毎年行ってた初詣は 君だけ行かないの？」
「……除夜の鐘聞きたい。初詣行きたい。」
「そうでしょ？キット いつか 太宰府天満宮にも
行ける日がくるよ。
神社仏閣巡りだって、大好きでしょう…
無理に好きな事 辞めることないよ。」
「……そうかなぁ…」
「人の期待に応えるために 生きてるんじゃないんだから、
自分の大事な物、捨てろって言われたからって、
捨てることないよ。」
「そうかなぁ…」
「ポンチャチャ様もこのお守りも、君の大事なものだよ
そうでしょ？
邪教って…キリスト教は一神教だから…
君は、木にも 山にも神様がいるって 思ってるでしょう。」
「……花にも 葉っぱにも 石コロにも、
神様がいるって思うんだ…」
「君がそう思うのなら、花にも 葉っぱにも
木にも 山にも 川にも 石コロにも
神様はいるんだよ。」
「……それでも……良いのかなぁ…」
「ハハ いいよ。いいんだよ。
オレ、心配だなぁ。
会社の仕事がなければ、出歩く君の後
ついて回りたいくらいだよ。
大丈夫？
もう、本当に大丈夫？
じゃあ、ポンチャチャ様 元の場所に飾って良い？
お守りも元に戻していいね？」
┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ