梁石日の『闇の子供たち』

なかなか映画に行けないので本を読みました、梁石日の『闇の子供たち』。

タイのスラム街では生活の為に親が子供を売るということが日常となっていた。
売られた子供らは、まともな食事も与えられる事無く、虐待に怯えながら、外国人相手の幼児売春をさせられていた。子供達は、外国人を満足させるための様々な手段により命を落とす者も多く、またエイズなどの病気にかかる者も多かった。
しかし、売春宿でエイズの発症が噂になると商売にひびく為、病院に連れて行かれることもなく他の売春宿へ転売されるか、あるいはゴミとして処分場へ廃棄されるなどしていた。

NGO団体の社会福祉センターでボランティアとして働く日本人女性の音羽恵子は、センターに時々顔を見せていた少女が突然姿を消したことを心配して、メンバーと少女の家を訪ねるが、少女の姿は無く、すでに売られてどこかへ連れて行かれた後だった。
少女の身を心配したセンターのメンバーらは、幼児売春の実態を暴くため色々手をつくすが、幼児売春の業者やマフィアらは警察なども買収して見方につけ、実態を明らかにするどころか逆に命を狙われることになる。

そして、知り合いである記者を通じて世界へ実態の告発を計画するが、事は幼児売春だけでなく幼児の臓器売買にまでつながりをみせ、子供をとりまく闇の実態は奥深く、またそれに群がる人の多さに呆然とさせられる。

センターのメンバーらは、労働組合のメンバーらとともに大きなデモを計画し、実態を世間に訴えようとするが、それに対抗する連中の方が上手で、デモに参加した人達を煽動して暴動へ発展させ多くの犠牲者が出る事件となってしまう。

アジアの貧しい地域の子供達を取り巻く底知れぬ闇。あまりにもおぞましくて恐ろしい実態に読んでいくのが辛くなってしまいました。非常に重くて大きな問題です。