先日、ふと隣町の真楽寺に行ってきました。着いたのは午前九時頃、訪れる人はほとんどなく、新緑の木立のなか爽やかな冷気に身も心も洗われました。
真楽寺には、甲賀三郎の龍神伝説にでてくる透明な池があります。ゴールデンウィークなのに訪れる人は少なく静かな世界でした。
幾つかスマホで撮った写真の紹介です。
龍神伝説ですが、甲賀三郎が龍神となる云い伝えです。
要約すると、美しい妻と幸せに暮らす三郎をいつの日か2人の兄は妬むようになり、一族の繁栄のためにと嘘をついて、貴重な宝玉を取りに行こうと三郎を立科山に誘い出します。
宝玉が眠るとされている深い深い人穴を三郎は藤のつるに掴まって下りていくと、兄たちは、そのつるを切ってしまい、三郎は奈落の底へと落ちてしまいます。これを知った三郎の妻は、悲しみのあまり夫の後を慕って、三郎を探すため同じくこの人穴に飛び込んでしまうのでした。
一方、奈落の底へと落ちた三郎は、暗くどこまでも続く闇の世界を彷徨いますが、やがてこの世へ生還した。そこが真楽寺の泉だったのです。しかし三郎の体は龍になっていたのです。龍は立科山を目指し、佐久を縦断すると諏訪に下り諏訪大明神になりました。そして、三郎を追って同じく地底を彷徨った妻もまた龍となり二人は出会うことができたという伝承です
この甲賀三郎の龍神伝説に由来する地名や名称が、私の住むふるさとの各地にあります。例えば、泉を出て諏訪に向かった龍は途中、長土呂村に来て「近い」と言ったので「近津」の地名がある。
龍は小田井で転んで、胡麻の木で眼を突かれた。今でも小田井と横根では胡麻を栽培すると眼病になるといって畑で作らない。
蓼科山を越えて諏訪を目指した龍が振り返った時、尾がまだ前山に垂れていたので、「尾垂山」という、など。
ちなみに、自然豊かな庭の先にある本堂に、浅間山の噴火を収めるために祀られているのは優しい女神の普賢菩薩(ふげんぼさつ)です。