『一枚の絵画と詩』
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『巨大な形而上学者』 1918年
ジョルジョ・デ・キリコ (1888~1978)

ジョルジョ・デ・キリコは、イタリアの画家、彫刻家。形而上絵画派を興し、後のシュルレアリスムに大きな影響を与えた、とあります。
形而上学という難しい言葉がでてきましたが、アリストテレスでは、あらゆる存在者を存在者たらしめている根拠を探究する学問。すなわち第一哲学または神学。 現象的世界を超越した本体的なものや絶対的な存在者を、思弁的思惟や知的直観によって考究しようとする学問とあります。
難しいことは置いて、私はこの一枚の絵画『巨大な形而上学者』に、どこか寂しい孤独感のようなものを感じるのです。得体の知れないものが中央に立ち、遠くに一人の人物がポツンと立っています。キリコの絵は、ときに郷愁を呼び覚ますといわれますが、それは、生きて行くことのどこかでふと感じる、存在することの寂しさでもあるのでしょう・・・・。