『アナログレコードの再会』
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先日、もう四十年以上も顧みなかった、兄から譲り受けたアナログのレコードプレーヤーを修理して、青春時代に聴いたレコードを時々聴くようになったこの頃です。針を落として聴こえてくる曲は、確かに高校生の頃に聴いていた曲なのに、初めて聴くような新鮮な響きでした。
高校生の自分は、自分がいったい何者か、これからどのように生きて行けばよいのか、まったくわからなく不和の周期にいたと言えるでしょう。これといった親しくする友はなく、東京での七年程の一人暮らしから田舎に戻ってきた頃も、さえない日々ではあったのです。で、このアルバム『ポール・サイモン・ソング・ブック』を最初に聴いたのはいつだったのか定かではないのですが・・・。

「アイ・アム・ア・ロック」「4月になれば彼女は」「サウンド・オブ・サイレンス」が、若きポール・サイモンの訴えるような声で流れてくると、しばし、時は1960、1970年代に戻ったようです。
アルバムジャケットの記事より。狂気に満ちた現代、この現代に己れの正気を支えて生きて行く困難さをポール・サイモンは語りかける。ポール・サイモンが、ガーファンクルと別々な仕事をしていた無名時代、イギリスに滞在して一枚のLPレコードを発売した。それがこの『ポール・サイモン・ソング・ブック』である。

サイモン&ガーファンクルは、映画『卒業』(1967年)の楽曲で、一躍有名になったのですが、こうして、何十年ぶりかに聴く「ミセス・ロビンソン」「スカボローフェア」「サウンド・オブ・サイレンス」ですが、映画音楽としてのひとつの金字塔であったのだと改めて思うのです・・・・。その頃の自分は、悶々としたさえない自分ではあったのですが・・・・。

・次回に続く・・・。