こんにちは、前回に続きClass of 2016の三男坊です。こちらDurhamは10月中は気温20度前後の心地よい日々が続いておりましたが、11月に入ると秋も一層に深まって参りました。
さて、今回の投稿ではサンパウロの次に訪問したマナウスとリオデジャネイロについてレポートさせて頂ければと思います。
<マナウス>
SUFRAMA(Free Economic Zone of Manaus)
マナウスは世界を代表する貿易のフリーゾーンでアマゾナス州の州都で、人口は200万人を超えるブラジル第三の都市です。サンパウロから北に飛行機で約5時間の位置にあり、米国MBAプログラムの一環でこの都市を訪問する学校は中々ないと思います。
マナウスは19世紀に天然ゴムが発見されたことに始まり、一攫千金を求めたヨーロッパ人が押し寄せ、ゴールドラッシュならぬゴムラッシュとなってブラジル天然ゴム輸出産業の中心となりました。またそこで積み上がった巨万の富でアマゾネス劇場をはじめとするヨーロッパ水準の娯楽建築や港湾、市場などのインフラ施設がアマゾン川のほとりに築かれました。現在は中国(経済特区)や他国の多くのフリーゾーンがマナウスの成功例を参考にしています。
また日本人移民の主要な入植地となった歴史もあり、現在では二輪車メーカーを中心に約30社を超える大手日系企業が進出しています。またグローバル企業も含めると世界各国から500社以上の会社がこの地区に進出してそうです。
訪問の際、SUFRAMA商務官からのプレゼンテーションで特に印象的だったのがこの地域の発展に日本企業の進出の貢献が欠かせなかったというコメントでした。HondaやYamahaを中心とした日系企業の進出や工場設立に伴う、地域の雇用創出もさることながら、同産業の技術移転の影響は大きく、マナウスの多くの工場の生産効率は世界の中でも高水準を維持しているとの事でした。また商務官によれば、例えばマナウスに進出しているある二輪車メーカーの製造コストは、日本の半分以下の水準を実現していて、生産効率もグローバル平均比、約1.5倍の水準を達成しているとの事でした。
但し、メーカーによってはノックダウン方式を採用しており、半分以上の部品を母国及び他国から輸入しているそうです。現地では、単に安い労働力を活用した組立機能のみしか果たしていない事例も多々あるそうです。
※フリーゾーンとは経済特区の一種で、関税の優遇措置などを通じて企業誘致を行っている地域。
<写真1:マナウスに進出中の大手グローバル企業の一例>
Harley Davidsonマナウス工場
1901年に米国ウィスコンシン州に設立された、言わずと知れたオートバイ・メーカー。排気量850cc以上の大型ツーリングバイクやカスタムオートバイの製造では世界最大手の地位を占めています。
マナウス工場は中南米諸国の需要をカバーするための重要な製造拠点の位置付けにあり、ブラジルの他には、アルゼンチン、チリがブラジルに継ぐ大きなマーケットとなっているそうです。
今回は同社のオートバイ工場を訪問して、実際の製造過程を見学しました。マナウスの工場には約80名の従業員が勤務しており、1つのシフトで約70台/日のオートバイが製造可能との事でした。但し、上述の通り部品の大半は本社のある米国から輸入しており、飽く迄、工場の機能は安い労働力を活用した組立が中心となっていました。
一方で人材育成とノウハウの伝搬には大変力を入れており、毎年マネージャークラスの人材を本社勤務スタッフが入れ替わりでマナウス工場に投入されていて、最新の技術やノウハウをオンタイムで現場に伝えているのが印象的でした。また、逆に工場から本社へのフィードバックもとてもしっかりしていていました。具体的にはトヨタ生産方式で有名な行燈や平準化のフィードバックシートを活用して、本社が現場の声を積極的に拾い上げていることが伺えました。
<写真2:工場見学の様子>
その他には、空き時間を見つけて同級生でアマゾン河クルーズに出掛けたり、マナウスの旧市街散策も行いました。また夜には、マナウスにある日本食料理店にて日本人同級生3人で”Japan Night”を企画して、日本食の説明・古典的なサラリーマンの宴席のマナー、宴会での一発芸等のデモンストレーションを行い、日本文化を同級生一同に紹介しました。
<写真3:アマゾン川クルーズの様子>
3.リオデジャネイロ
オリンピック組織委員会及びOdebrecht
2016年のリオデジャネイロオリンピックのオリンピック組織委員会本部で普段中々、立ち入ることが出来ない場所です。訪問では広報部よりオリンピックのグローバルマーケティング戦略や施設の建設工事の進捗状況についてヒアリングを行いました。巷ではブラジルワールドカップの建設スケジュール遅延と同様に、オリンピック関連のスタジアム建設の遅れが騒がれていますが、組織委員会では綿密にスケジュール管理を行い、現状6-7割まで建設が終わったとのコメントがありました。またグローバルマーケティングについてもコンサルティングファームやPR会社等、幾つかの専門会を招聘して、本オリンピックならではのメッセージを世界に発進しているそうでした。
尚、オフィス訪問当日もオリンピックに反対する多くの抗議者がオフィスの前に陣取り、抗議活動を行っていたのが印象的でした。
また、その後、 ブラジル最大の建設業・エンジニアリング業のコングロマリットであるOdebrecht帯同のもと、オリンピック選手村及びスタジアムの建設予定地を訪問しました。Odebrechtは現在、リオデジャネイロオリンピックのスタジアムや設備の工事を一括に請負い、工事を行っていました。
<写真4:建設中のオリンピックスタジアム>
GLOBO
ブラジル最大の放送ネットワークを有する放送局で、ソープオペラ(連続メロドラマ)の制作などでも世界的に有名です。ブラジル以外の海外展開も積極的に行っており、スペイン語圏のラテンアメリカ及びポルトガルに作成した番組を配信中しています。地上放送局別のシェアについては、当社ネットワークが視聴者数トップシェアを誇っており、全体の 6割近くのシェアを占めています。
同社の主な収入源は広告が宗太を占め、その他にコンテンツ事業も展開しています。インターネット普及率がまだまだ全国に普及しておらず、依然テレビ依存の状況且つ、2億人にものぼる人口を背景に業績も安定的に推移しているとの事でした。
会社訪問の質疑応答では、「インターネットの普及が広告収入の低下に繋がるのではいう問題提起やテレビからネット向けのコンテンツシフトが必要では?」、という鋭い質問が飛んだものの、「(寡占市場の)トップに君臨する当社にとって全く懸念材料ではなく、良いコンテンツを作成することが視聴者への価値提供である」、と力強く説明していたのがとても印象的であり、IT面において同国はまだまだ発展途上にあると感じました。
<写真5:コパカバーナ海岸>
以上、駆け足となりましたが、今年のBrazil GATEのハイライトはこの様な内容となりました。実際にプログラムに参加してみて、手前味噌ではありますが、流石は Fuquaの看板プログラムと呼ばれるに値する充実度の高い内容で、大変満足した教科の一つとなりました。