
さて、
3月7日から2週間ほど、Global Consulting Practicum(GCP)の授業でインドのジャイプールに行ってきました。

このプログラムは生徒5~6人でひとつのチームを組み、インド or ベリーズ or 南アフリカで活動しているNGOにコンサルティングサービスを行う、という6単位相当の授業です。
Spring 1から週に一度授業があって、それと平行して電話やメールなどでクライアントさんと連絡を取り合ったり、事前にいろいろ調べ物をしたり、仮説を立てたり等々をします。
実際に現地でプロジェクトに従事するのがSpring Break中の2週間。
2週間の滞在中に、現地調査やインタビュー等々をしてプロジェクトを進め、滞在最終日に中間発表をクライアントさんに提供します。
帰国後は1ヶ月程度かけてプロジェクトを完成させ、成果物をクライアントさんに送付&最後の授業で発表を行います。
プロジェクトの内容はグループによって異なり、多彩です。
例えば:観光地開発(レストランなど)、子どもの手作りジュエリーの商品化とマーケティング、マイクロファイナンス、広範囲に点在する私立学校のデータベース化、などなど。
さてさて私のチームの場合…
クライアントはCecoedeconというジャイプールの巨大NGOでした。
40年近くの歴史があるNGOで、今ではNatural Resource ManagementからEducationからAgricultural Tradeといった幅広~い分野で活動し、活動のレベルも草の根から国際会議でのロビー活動、と多彩です。
彼らの最近の一番の関心事(悩みの種)は《インドの穀物先物取引が農民に与える影響》です。

「2003年にコモディティーFutures取引が解禁されてから、農作物価格は上昇しているが、農民はその恩恵を受けていない。インフレ状態の下、収入の絶対額があがらないので苦しんでいる。Civil society(NGOなどの市民)は政府のこういった動きに反対活動を繰り広げているけれど、ロビー活動の説得材料となるデータが足りず、苦労している。そのような“証拠データ/説得資料”を作る上で今回Duke大学の協力を仰いでいる」と...
Jaipurはインドの中でも特に乾燥していて、農業のyieldが大きく変動する地区です。
よく栽培されるのはMustard seeds(カラシ)と小麦です。(冬季≒ちょうど今頃収穫)
収穫した種や穀物は数キロ~50キロ圏内のMundee(市場)に運んで、そこで行われるオークションの価格で売ります。
オークション価格が不十分だと思えば、他の日に売ることもできるし(6-10日程度なら常温でも品質が保たれるので、農民の多くは価格が相対的に高くなる月曜日にあわせて売ったりしている)、
例えば品質が悪い等の理由でオークションで値段がつかなければ後日、政府にMinimum Support Priceで買ってもらえます。
農民の多くは(税金や家族制度の関係で)ちょびっとしか土地を持っていず、いわゆる「ハンカチ農民」も多数。
2003年にインドにて先物取引が解禁されてから、穀物の価格は相対的に上昇傾向にあります。
小麦価格はここ3~4年で2倍近くになりました。
But,その恩恵を受けるはずの農民に全然利益が回ってこない。。。
この問題を分析することが私達のプロジェクトのお題でした。


プロジェクトの過程では農民グループ(@農家)、政治家(@Rajasthan県の県議会)、トレーダー、ブローカー、教授、生協、等々を取材させていただきました。
で、たどり着いた結論を簡潔にまとめると:
先物市場の取引とインフレは相関関係は観察されるけれど、因果関係はない。(先物取引を規制してもインド農民の懐事情がよくなるとは限らない)
問題の要は農民たちが比較的安価な価格で穀物を売らざるを得ない現状にある、と。
Rajasthanの農民が抱えるFinancialな問題を煮詰めると大きく3つの重要事項に集約できます(今回はOperationalなリスク≒天候、灌漑、虫害Etc. は無視):
①Warehouse(保管機能へのアクセス)
②Liquidity(資産の流動性)
③Information(情報へのアクセス)
①と②はかなりinterlinkedなのですが、①~③が強いほど、穀物価格上昇による利益をゲットできる、というわけです。
例えば、農民が穀物を2月に収穫するとします。
2月時点ではそこら中の農家でも収穫されているので供給過多(価格が安い)。
ところが8月頃になると、供給はないのに需要は続いているので価格が上昇していきます。
①数か月先の販売まで商品の品質を保つための冷蔵倉庫へのアクセスがないので早目(≒まだ比較的安いうち)に手放さずを得ない。(←倉庫保管にはお金がかかる上、保管した末に価格がどこまで上昇するかが不透明。保管した結果赤字になる可能性あり)(Warehouse問題)
②理想的には、農民が2月に収穫したものを数か月先の将来(E.g. 8月)に売れば高価格で売れるんだけど、そこまで持ちこたえる現金がない(自転車操業)ので、早めに(比較的安価で)手放してしまう。(Liquidity問題)
③いつ、売値が最高になるかという情報へのアクセスがない農民が多数。SpotもFutureの価格も把握していなければ、本来手にできるよりも安価で商品を手放してしまう可能性大。(Information問題)
反対に、穀物価格上昇による利益を吸収しているのがトレーダーです。
Mundee(市場)で商品を安く買い込み、これで先物取引を行う → 最適なタイミングで売る。
インド政府もこの問題を認めていて、倉庫をかなり安い費用/金利で利用可能にしたり、1-2ヘクタールの狭い土地持ち農民による借金を7万クロールルピー帳消しにしたり、年利7%のローンを提供したり、各村にスポット価格(等)を表示可能なPC/パネルを設置したり、と対策を発表しているのですが、それで足りるかは微妙&実現がいつになるかが微妙です。
以上、長くてすみません!
