新しいリコーダー奏法

吉嶺史晴によるリコーダー奏法解説ブログです。上達してゆくための全般的な考えかた・生き方のヒントについても書いています。

自動化した方が良い事とそうでない事

2019年11月19日 | 全般的な事柄
練習の目的のひとつは演奏に関する様々な事を自動的に出来るようにすることであると考えてみます。その曲のなかに出てくる様々な指使いやアーティキュレーションの順列や組み合わせを自動的に演奏できるようにすることです。

「暗譜」すると演奏に付随する様々な事を自動的に処理出来るようになるので、余力が出来ます。
その余力の分で、楽器操作以外の事、つまり表現そのものにエネルギーを振り分けることが出来るようになります。

しかしながら自動的になってしまわないほうが良い演奏上の要素もあります。

例えば音量やリズム、あるいはテンポのゆれやアーティキュレーションといった要素があまりにも自動的になってしまうとそこにはあるつまらなさが起こり得ます。

どのような要素を自動的にするべきなのか、そうでないのか、ということはその奏者の演奏技術の進展の具合や個性によって異なります。

中級者程度までの段階では演奏のなかで即興的に様々なことをその場の判断で行うのは容易ではありませんが、それでも様々な要素をなるべく自由に行える余地を残しておくのは考えかたのひとつと言えそうです。

練習開始の際の心理状態(個人的)

2019年10月27日 | 全般的な事柄
練習開始の際の心理状態について書いてみます。
私の個人的な心理状態なので一般の方々にはあてはまらない部分もあるかと思います。

練習開始の時に「喜び勇んで」練習を始めるというような心理状態になることはあまりありません。
なので楽器を取り出して目の前に楽譜を置く時には「ああ、また練習か、仕方ないな」というような感じです。

そこには音楽に触れる喜びとか、新しい何かを作り出す時にありそうな何か、素晴らしい閃きはさほど有りません。
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なので練習開始する時にはやはりもう一人の自分がそこに居てくれることが必要です。
いつもの自分にとってはコーチみたいな存在です。

頭のなかでコーチと短い会話を交わします。
「練習したくないんだけど・・・・」
「あ、そう・・・・」
「もう、全然、練習なんかしたくなくて、どこか天文館(鹿児島一番の繁華街)にでも行ってその辺あるいてる着物美人から遭遇してみたい・・・・あわよくば道でも尋ねられてみたい・・・・・・」
「あ、そうなの・・・・・」
「そしたら練習に熱が入るかも・・・・・」
「あ、そうなんだ。そしたら天文館いって着物美人がいなかったらどうするの?道あるいてる着物美人が居たとしても、その人から道を尋ねてもらえなかったどうするの?」
「ううう。。。。どうしよう。。。。。それが問題なのだ・・・・・ううううう」
「暇でいいね。そうやっていつまでも悩んでたら良いんじゃないの。もう忙しいから他のとこ行くから。じゃあね、バイバイ。こんなにやる気のないリコーダー奏者のコーチやるのもう時間の無駄だから、もうやめようかな」
「あああああああ。待って、待って、練習するから、コーチやめないで、待って、待って」

こんな感じです。

やる気が出ない時にはこんな風な仕掛けを作っています。何かの参考になれば幸いです。

ちなみに、もうひとりの自分を設定するというのは練習開始の時だけではなくて、練習の最中とか、終わりとか、いろいろな局面でも便利です。

もうひとりの自分を設定して会話する時には思い切って感情をこめて会話してみると効果的です。

ひとりでぶつぶつ言ってるだけだと良いですが、周りに人が居る時にひとりで声を出して会話していると、気持ち悪いので気をつけたほうが良いかもしれません。


楽器の癖(ウィンドウェイの状態と水詰まりの関係)

2019年08月23日 | 全般的な事柄
それぞれの楽器には癖があります。
リコーダーの場合にはウィンドウェイを空気が通って発音される仕組みですが、この点にそれぞれの楽器の癖が現れる場合があります。

どんな場合にしても避けたいのはウィンドウェイに水が詰まってしまうということです。このような状態になってしまうと空気の流れが妨げられて良い音色が出ません。

それでは楽器の癖がこの点にどのような影響を及ぼすのかということを述べます。

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■ある楽器はウィンドウェイが乾いている状態からいきなり演奏し始めてもさほど水はたまらない。
■また別の楽器はウィンドウェイが乾いている状態から演奏し始めると水がたまりやすいが、いったんウィンドウェイのなかに湿気があると、それ以降は水がたまりにくくなる。

これらの点を考慮すると、自分が本番のために使う楽器がどのような癖を持っている楽器なのか、ということをあらかじめ理解しておくことが重要です。

もし、その楽器が「ウィンドウェイの中がある程度、湿気があったほうが水がたまりにくい」という癖がある場合、演奏会の時間割の都合上、じゅうぶんなリハーサル時間がとれない場合にはスポイトのようなもので少量の水をあらかじめたらしておく、という方法もあります。

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アンチコンデンスを使うのは有効な手段ですが、ウィンドウェイの中がほこりやカビなどでよごれている場合にはアンチコンデンスを使っても効き目は限定的です。この場合にはいったんブロックを抜いてブロックの上面ならびにウィンドウェイの上側および側面の掃除が必要です。

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現代的な作品などで強いタンギングを連続して使用する場合などは楽器にかかる負担が大きくなります。当然、ウィンドウェイには水がたまりやすくなります。

新品の楽器は「慣らし」という過程が必要ですが、新品でない楽器であっても、場合によっては「慣らし」が必要になる場合があります。

それまで水がたまりやすい、という癖のなかった楽器であってもある時期に強いタンギングの要求される現代作品を集中的に練習したため、水がたまりやすくなってしまう癖がついてしまう場合があります。

この場合は特に意識してまるで新品の楽器を扱うように、特に低い音域を集中的に「慣らし」のようなイメージで鳴らす(慣らす)ことが必要です。

この場合の「慣らし」はかつて水がたまりにくい癖を持っていたはずの楽器に再び同じ癖をつけてゆくための作業ということになります。

有限のチカラを垂直方向に働かせるのか、それとも水平方向に働かせるのか

2019年01月30日 | 全般的な事柄
有限のチカラを垂直方向に働かせるのか、それとも水平方向に働かせるのか、という選択は演奏に大きな違いを作るのではないでしょうか。

拍を重たくするという形でエネルギーを使うのか、それとも水平方向に進ませる、という形のエネルギーとして使うのか、という在り方。

このふたつの違いは大きいです。

いろいろな演奏を聴いてみると、傾向としては水平方向ではなく、全体として拍が重たくなってしまうことが多いように見えます。

得策ではないように見えます。
なぜならば、このような在り方では曲のなかで特定の拍を重たく演奏することが困難になるからです。
別の言い方ならば、音楽は推進力が備わっているのが通常の状態であり、そのためにはある程度の「軽さ」が必要だからということも出来るでしょう。

拍の「重さ」「軽さ」ということは必ずしもテンポとは比例しません。

遅いテンポの曲では重たくなりがちなのは自明のことですが、遅いテンポの曲であればあるほど軽く、速いテンポの曲であればあるほど重く演奏する、という考えかたもあります。(振り子の原理)

いずれにしても奏者の持っているエネルギーは有限なので、それをどのような方向に使うのか、ということはなるべく意識してみたいところです。

歌う付点にするのか、それとも跳ねる付点にするのか

2019年01月29日 | 全般的な事柄
歌う付点にするのか、それとも跳ねる付点にするのか、という切り口は演奏における様々な要素のひとつとして興味深いものです。

付点8分音符に連なる16分音符。
これをどのように演奏するのか、という判断、これは演奏全体のキャラクターを決めるのに大きな影響を持つことがあるでしょう。

このような事柄についてはあえて練習の際に最後まで決めておかない、というのも考えかたとしては有り得ます。

つまり練習の際にはどちらにもゆけるような方向で練習しておき、本番ではその時のインスピレーションにまかせるという在り方です。

追伸:
でも、なかなかうまくゆかないことも多いでしょう。
「その時のインスピレーション」などと言ってしまうと、言葉ではカッコ良い感じですが、実際は緊張しすぎてしまって、思わぬ方向に行ってしまうことだってあるわけです。(またはその逆もあるかも。あまりにも緊張感のない舞台はこびでダラケタ演奏になってしまうとか。。。)

追伸の追伸:
練習の際に「決めておきたいこと」と「あえて決めておかないこと」の区別をしておく、というのはひとつの考えかたです。

ここでは付点をどのように演奏するのか、ということについて書きましたが、たとえば息継ぎの場所について、など様々な事柄について応用できるでしょう。

ある程度、熟達してきたら本番の舞台で奏者である自分自身がなるべく自由で居られるような練習の進め方ということを考えてみる、こんなことも演奏にアプローチするためのひとつのヒントになるのではないでしょうか。