新しいリコーダー奏法

吉嶺史晴によるリコーダー奏法解説ブログです。上達してゆくための全般的な考えかた・生き方のヒントについても書いています。

ウォーミングアップ無しでいきなり演奏する

2019年11月22日 | 練習の方法
ウォーミングアップ無しで曲をいきなり最初から最後まで演奏するという練習の方法があります。

自分ひとりでも出来ますが、聴いてくれる人が居たらいっそう効果的です。
いつもは大抵うまく演奏できるはずの曲がそのような場面では出来なくなってしまうことがあります。

出来の悪い演奏をするのは恥ずかしいものですが、このような経験を積み重ねて上達がよりいっそう着実なものになるでしょう。

ある程度演奏できるようになった曲は是非、誰かの前で演奏してみましょう。
ウォーミングアップを一切しないでいきなりその曲を最初から最後まで演奏してみます。

間違えた音を出しても、音そのものを出しそこなっても決して止まったりやり直したりしないで最後まで演奏します。
自分の出している音があまりにもひどくて、途中でやめたくなってしまうかもしれませんが、それでも最後までやってみます。

自分自身のかかえている技術的な問題点を発見する良いチャンスです。

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補足:
このような場合に批評的になり過ぎるのも要注意です。
演奏技術がまださほど身についていないという点、そしてウォーミングアップ無しという条件ではうまくゆかないのが当然、そして失敗して当然とも言えます。

結果はなるべく肯定的に捉えるのが良いです。(他の人に対してだけではなく、自分自身に対しても)

補足:
このような練習をする際にはどのような曲を選ぶのか、ということも考えてみます。
あまりにも難しすぎる曲はそもそもウォーミングアップなしていきなり演奏すること自体、無理があります。
このような練習のためには技術的にはほどほどの曲を選びます。

ほどほどの曲であっても、それでもこのような条件ではなかなかうまく演奏できないものです。
そういう経験を通して得られるものが後々、大きな宝物になります。

前進あるのみ!




テンポを上げてゆく方法

2019年10月31日 | 練習の方法
テンポを上げてゆく方法としてわかりやすいのは以下のふたつ。

■メトロノームでひと目盛りずつ上げてゆく
■曲のなかの難しい箇所だけ取り出して練習する

特にふたつめ、難しい箇所だけ特定して練習するのは良い方法です。この場合、その箇所を特定できただけでは不十分で、なぜ、その箇所だけがうまく出来ないのかという原因を突き止めることが必要です。原因さえわかれば対処の方法があるからです。

ひとつめ方法、メトロノームでひと目盛りずつテンポを上げてゆく方法ですが、これは問題をかかえています。ある一定以上テンポが上がらなくなってしまうということです。
これは特定の場所がうまく演奏できないことが原因なので、上記ふたつの方法のなかではひとつよりも、ふたつめの方法が優先されるべきです。

ここまでは良いのですが、それ以外の方法を紹介してみます。
テンポに限りませんが、自分自身と楽器との距離を近づけてゆくための考え方です。

その時、取り掛かっている曲と異なる曲を練習することです。
このことによって異なる身体の使い方を体験することが出来ます。そのことを通じて楽器と自分との距離が近くなります。

「うまく演奏できない」というのはすべからくその奏者がその楽器をうまく使いこなせていない、ということに起因しています。
ひとつの曲しかうまく演奏できないよりは、より多くの曲を演奏できるようにしておくことのほうが有利です。

そのために必要なのは自分にとって「定番の曲」というのを決めておくことです。
スランプに陥った時、何か必要があって特定の曲のテンポを上げてゆきたい時、あるいはまた作曲や編曲に取り組んでみたい時など、様々な場合に「定番の曲」で音を出してみます。

奏者の状態は毎回、変化します。
「定番の曲」を演奏することによって自分自身がどのような状態にあるのか、ということを知ることが出来ます。

テンポを上げてゆくための方法に限らず、広く応用できる考え方です。

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補足1:
「これ以上テンポを上げることは不可能」と自分の状態を受け入れることが必要になる場合もあります。
音楽的、あるいは自分自身の技術的な限界を客観的に判断し、いったんその判断をした後はその判断のなかで最大限の表現ができるように試みます。

補足2:
メトロノームを使ってテンポを上げる方法ですが、ひと目盛りずつテンポを上げてゆく方法に加えて、遅いテンポで繰り返し練習し、いきなり速いテンポにするという方法もあります。実際の演奏の現場では練習と異なるテンポになることもある為、本番を想定した練習としてはこのような方法も必要です。(このような方法をとって全く演奏不可能になってしまう場合、そもそも曲がその奏者の限界を超えて難し過ぎる、ということかもしれません。このあたり要注意です)








練習の方法(初見演奏のこつ)

2019年09月06日 | 練習の方法
読譜力をつける効果的な練習のひとつとして初見演奏があります。
望ましいのは自分よりも上手な人と行うことです。

この場合、上手なひとはきちんと楽譜を読みながら演奏しているのに、自分は楽譜を読むことが上手くできずに、相手が何処を吹いているのかわからずに落ちてしまう場合があります。

こんな時には落ち着いて相手の演奏している箇所を探して、自分が復活できる場所で復活することが大事です。

そんな時に、どこで復活するのか、ということがポイントです。

出来る限り、相手の音が拍の頭に来ている場所が良いです。
相手が休符だったり、相手が長い音の箇所で自分が復活しようとすると、ずれていてもわかりにくいのです。

一番わかりやすいのは小節の頭の拍です。

一番良くないのは、相手が何処を吹いているのかよくわかっていないのに復活しようとすることです。これはダメです。
これは音楽的な時間、そして相手が出している音を尊重していないということです。

初見のこつ、それは万が一、自分が落ちてしまっても、時間がかかっても良いから、落ち着いて相手のパートを読んで、確実に復活できる箇所までは復活しないことです。

ルネサンスやバロックの二重奏などはこのような意図のための練習教材としても大変、良いものです。

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練習のポイント

■上手な人は相手がずれたことを察知したら、身体の動きなどを使って、相手にそのことを伝える
■上手な人から「ずれてるよ」というメッセージが届いたら、その人はただちに音を出すのをやめる
■上手な人が何処を吹いているのか、ということを読み取る
■復活できそうな場所を予測する
■復活する


長期的に練習してゆく曲と短期で仕上げる曲を区別する

2019年06月06日 | 練習の方法
長期的に練習してゆく曲は例えば1年あるいはそれ以上の時間を使いながら少しずつ作ってゆく曲、短期て仕上げる曲はそれこそ2、3日、長くても1週間以内で本番に持ってゆけるような曲。

このふたつを同時に進めてゆくことでいろいろなことが見えて来そうです。

長期的に練習してゆく曲に関しては、少し練習した程度ではその成果が曲にすぐにわかりやすい形で演奏に反映されないことがある(というか、そのような場合がほとんど)ので、やはり、このような際にはその時の見た目の仕上がりの良さについては意識的に関与しない、そのような態度が重要になって来るようです。

古い音楽だけを主に演奏する、ということであれば長期的に練習してゆく、ということ自体あまり意味をなさない場合もあるので、この点は要注意です。

このような場合は、むしろ練習に1週間以上を要するような曲はその奏者にとっては難しすぎる曲なので、そもそも公開の場での演奏曲目としてはふさわしくない、ということも言えます。

例えばバロック期のリコーダーソナタのようなものを1週間かけても満足な演奏が出来ない、といいうような場合には、曲の選択そのものが間違っている、ということも言えます。

ただし、今はリコーダーのレパートリーとは言っても、現代的な作品や編曲されたものなど多岐に渡っているのでルネサンスやバロック期の音楽に対する態度がそのまま通用しないことも有り得ます。

この場合には現代のピアニストやヴァイオリニストがロマン派の協奏曲ひとつに長い時間をかけて仕上げてゆく、ようなそんな在り方も必要になることがあります。

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どのような曲にどのような態度で臨むのか、ということによってその曲にかける練習時間も変わってくる、という話題でした。

身体的な違和感

2019年01月08日 | 練習の方法
身体的な違和感を感じたらすぐ練習をやめること。
これは鉄則です。

練習時間には限りがあるのでとにかく練習できる時には練習しておこう、と考えるのは自然なことです。

しかし、少しでも身体に違和感がある場合は身体が「今、ここがおかしいよ」「練習し過ぎると先々、大変だよ」という信号を発しているということですので、とにかくすぐに練習をやめなくてはいけません。

問題は違和感を感じることが出来ない場合です。
この場合、いつまでも練習を続けてしまい、結果として故障につながります。

こちらは深刻な問題につながりかねませんので要注意です。

楽器を演奏するということはやはり自分の身体の状態と向き合いながら暮らしてゆくことになりますので常日ごろから自分自身をよく感じておくことが欠かせません。

注意事項としては以下のようなものがあります。

■あまりにも同じパターンを繰り返し練習し過ぎないこと

これは「反復練習の重要性」ということと反しているように見えますが、身体的な負担という側面から言うと理にかなっています。物理的な練習曲などのあるひとつのパターンなどを繰り返し練習するのは筋肉や運動神経を鍛えるためには良い方法ですが、やり過ぎるとまず間違いなく身体を痛めます。

一時的な故障であればまだ良いですが、ほんの一回の不適切な練習がその後、重大な悪影響となって残る場合がありますから気をつけたいところです。

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身体にかかる負担を少しでも軽くする方法

大型の楽器(バスリコーダー)などでは右手に「指かけ」があったり、あるいは首から楽器をさげるためのストラップ(ひも)を使ったり、あるいはまた床から楽器を支えるための棒を使ったりします。

このような工夫をより小型の楽器でも応用できる場合があります。
テナーはもとより、アルトやソプラノでも「指かけ」を使うという方法があります。
プラスチック製で可動式のものであれば木製の楽器に取り付けることも出来ます。
(ただし、楓や黄楊など比較的柔らかい材で作ってある楽器の場合、表面に傷がつく場合もあるのでこの点は要注意です)

A=415Hzの楽器の場合には装飾的な意味あいのみならず音色に輪郭をもたせるためにあえて重量のある人工象牙を楽器につける場合がありますが、こういうもののない楽器を使うというのも、ひとつの方法です。

経験上、ソプラノ、アルト、テナー、バスのなかで最も奏者に負担が大きいのはテナーリコーダーです。指穴の間隔の広さ、そして楽器の重量を床や奏者の首に分散させることが難しいという点などがその理由です。

見た目が大きいですが、バスリコーダーは意外にも負担が少ない楽器なのでテナー担当の人が身体をやすめるために一時的にやってみる楽器としてバスリコーダーは良いかもしれません

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補足:
練習した後、身体のどこかに違和感がでてしまう場合、それが一時的な練習のし過ぎなのか、それとも長年の間違った方法(姿勢、楽器の持ち方など)によるものなのか見極める必要があります。

一時的なものであれば休めばすぐに元通りになりますが、長年の間違った方法に由来するものは休んでも表面的にしか改善されないでしょう。この場合には奏法自体の根本的な改善が必要になります。

私の見て来たなかではリコーダー演奏の際、左手薬指が伸びきってしまい無駄な力が入っている人を多くみて来ました。

この場合、外から見えているのは左手の薬指だけというように見えますが、実際には腕、肩、そして背骨まで力が入ってしまっている場合が多いようです。

楽器演奏の場合、どうしても楽器に接触している身体の部分には注意がゆきますが、そうでない箇所はおざなりになってしまう場合がありますから要注意です。