新しいリコーダー奏法

吉嶺史晴によるリコーダー奏法解説ブログです。上達してゆくための全般的な考えかた・生き方のヒントについても書いています。

高音域の音色について

2019年09月12日 | 音色について
高音域ではその奏者が「音色」という点についてどんな技術を備えているのか、ということが明らかになります。

ここでは仮に良い音色とは「シュー」という雑音が少ない音という意味にしておきましょう。
一般的に「良い音色」を出すためには以下のような点が重要とされています。

1・■息の方向
2・■息の速度
3.■息の量
3.■息の形

まず1.について述べます。
息の方向はウィンドウェイと同じ方向になるのが良いとされています。
ウィンドウェイが身体に対して45度の角度にある場合は息も同じ角度で楽器に入ってゆくのが良いです。

2.について。
息はそれぞれの音について最適な速度で出すのが良いです。ここではとりあえずメゾフォルテということにしてみましょうか。リコーダーは様々な音域で様々な息の速度が必要とされます。一般的に高い音域は速い息がふさわしいということになっています。

3.について
息の量と速度を区別するのはリコーダーのようなウィンドウェイのある楽器では現実問題としては難しいかもしれませんが少なくともイメージとしては以下のようなものがある程度の標準的な枠組みです。

*速いけれどある程度量の少ない息(高音域)
*遅いけれどある程度量の多い息(低音域)

ただし、高音、低音、どちらの音域であったとしても実際にその音らしいピッチでその音が出る息の範囲というのは極めて狭い範囲のなかのものでしかありません。しかも、とりあえずメゾフォルテで聴こえさせたい、というような意図があればそれはますます狭いところを狙って出す、というな形になります。

よくある間違いとしては低音域が弱くて貧弱でカスカスした音、そして高音域ではやたらうるさくて、雑音が沢山混じった音を出してしまうことです。

これはリコーダーという楽器がどんな鳴りかたをする楽器なのか、という根本的なイメージが出来ていないということを示しています。
このような奏者は実際の曲を練習することに加えて、楽器の音に対するイメージをまず作る、というところから始める必要があります。

■低音はたっぷり、しっかり鳴らすこと(ひっくり返る直前まで強く出すこと)
■高音はなるべく柔らかく、雑音の少ない音で出す(アルトリコーダーの高いファの音でピアノまたはピアニシモに聴こえるような音がでればひとまず合格)

これらの点を意識してみましょう。

4.について
息の形はウィンドウェイの断面と同じ形の息がそのままウィンドウェイに入るのが良いです。平べったくて薄い息の流れということになります。

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さて、ここまでは息の流れを意識的に制御する、ということを意図してみました。
それではその逆、すなわち息の流れを制御しない、という方向でも「良い音」を出すことが出来ないものだろうか?という問いをたててみます。

例えばアルトリコーダーの高いミ、やファの音、こういった音を出すために奏者の頬をわざと膨らませてみます。
頬をふくらませるために口のなかの容積は必然的に大きくなります。

通常は奏者の側で息の方向、速度、そして形というようなものは制御するものだ、という考えかたとは反するものですが、このような状態でも「良い音色」を出すことは可能です。

奏者によっては頬をふくらませず、あくまでも息に関する様々な要素は自分自身で制御する、という立場をとる人、あるいは頬をふくらませる人、様々です。私自身はプロの奏者のなかで常に頬をふくらませてリコーダーを演奏する人は見たことがありません。

しかし一歩リコーダーから離れてみましょう。
たとえばジャズのトランペットの世界では大きく頬をふくらませながら演奏する人もいます。
そのような方法がその奏者にとっては一番良いから、そのような方法をとっているはずです。

リコーダーでも愛好家の皆さんの間では頬をふくらませて演奏する人はいるかもしれません。
人によっては頬をふくらませたほうが「良い音色」を出しやすい、という人もいます。

熟達した奏者は頬がふくらんでいても、そうでなくても「良い音色」自体は出すことが出来ますが、通常は息に関する様々な要素やタンギングなどの技法は口のなかの容積があまり大きくないほうがやりやすいとされています。
ですので、現代のプロのリコーダー奏者で常に頬をふくらませながら演奏するスタイルはほとんど存在しないか、たとえ存在したとしても極めて少数派となります。

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要は「良い音色」が出ること。
そして「良い音色」だけではあく、タンギングなどが容易に行えるような口あるいは頬の在り方を追求するということになります。

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まず、自分がどんな音色を出したいのか、という具体的なイメージを持つことから始めてみましょう。

その音が「良い音色」の範疇におさまっていればある程度の演奏技術の個人差はあって良いはず。
ある程度の制御のしやすさが確保できれば、頬がどのくらいふくらんでいるのかどうか、ということも同じく個人差があって良いはずです。

残念なのは音色に対するイメージが貧困なこと。
「アルトリコーダーの高いファの音は強く吹かなきゃ出ない」という思い込みをずっと抱え込んだまま演奏してゆかなくてはならない、としたらそれは本当にもったいないことです。