ハインライン『宇宙の戦士』で、デュボア先生(退役機動歩兵中佐、主人公・リコのハイスクール時代の「歴史と道徳哲学」担当教師)が「(非行)少年たちの「より良くなろうとする性質」に訴えかける」社会改良家の行為を無駄と断じる一節があったりします。
多分、彼に犯罪行為を冒させない教育手法もこの世のどこかにはあったのだろうと思うのですが。
本件の有罪無罪は未だ確定していませんのであれこれ言うことは差し控えますが、中には周囲の大人の願いが届かない人々というのも確かに存在する、ということでしょうね。
教育という代物は、決して万人に同時に等しく効果があるとは思ってはならない営為なのではないでしょうか。
人間にはそれぞれ個性がある、ということは、学び方育ち方もまた千差万別。
特に、小動物を虐待・殺害するような類の少年少女に対する大人からの扱い方は非常に難しい。
色々考えた話でした。
※『宇宙の戦士』は結構な問題作とされますので、引き合いに出すことに抵抗を感じる方もおられるかとは存じます(何せ、作中地球連邦の市民権=参政権獲得に必要な条件は、18歳(成人年齢)に達した時に軍に志願し、兵役を(恐らく1期2年以上務めて普通に除隊することで)終えることだったりします)。なお、「歴史と道徳哲学」なる科目は日本の高等学校の科目で言えば「世界史」と「倫理」「現代社会」を統合したような科目で、市民権保持者=退役軍人以外は担当できないとされています。主人公・リコのセリフからは、生徒目線では履修が簡単な科目で、誰でも教えられると思われている科目のようです。
余計な追記:機動歩兵=パワードスーツを着用して衛星軌道上から降下し戦闘する歩兵。21世紀前半の今日なら、パラシュート降下を行う空挺歩兵に相当するでしょう。作中で描かれた訓練情景は、話に聞く空挺部隊やレンジャー部隊の訓練のそれに結構類似しています。なお、実写版『スターシップ・トルーパーズ』は、個人的には監督と脚本家を装備なしで降下カプセルに詰め込んで、バグハウス作戦時のクレンダツウに射出したいくらいには評価しています。