不来庵書房 裏庭倉庫

不定期更新・内容雑多・未確認情報散在
基本的に、小生の琴線に触れたニュースを集めただけです……
雑記・雑感も少々。

過去最大級のダークウェブ一斉摘発、世界で150人逮捕

2021-10-27 | Weblog
周囲多忙につき、しばしご無沙汰しておりました。ブックマークしていた方々にはお詫び申し上げます。
さて、しばらく以前から各種セキュリティスィートで対策が歌われるなど、少しずつ話題に上っていたダークウェブですが、このような形で取り締まりのニュースが広がるまでに。
ある意味牧歌的な90年代半ばのネット(まだ大学・研究機関相互を結ぶネットワークの香りが残っていた頃)からすると隔世の感があります。


浜の真砂は尽きるとも、世に盗人のタネは尽きまじ。
今後もこのような犯罪行為に用いる手口は巧妙化すると思われます。

さて、AIは犯罪行為を冒すのか?
現在の小生のちょっとした疑問です。
往年の『大鉄人17』では、自我を持った巨大コンピュータが悪の組織を結成して人類の絶滅を企んでいましたが・・・・・・
なお、多分、犯罪行為を高度に支援するアプリ(パスワードなどを盗み出すに留まらない何か)は、ダークウェブのどこかにあるのではなかろうか、と勝手に想像しています。

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現代世界でファンタジーを描くことは可能か

2021-10-27 | 書評
肩が凝らない系の本の紹介を。


ライトノベルの中でも転生チート主人公が無双する、いわゆるなろう小説の一つです。加えて当節はやり?の悪役令嬢もの。
タイトルだけで要約になっているのは近年のネット小説にありがちな傾向。
と、書くとそこいらへんの量産型チート主人公無双ラノベと取られそうなのですが。

本作はナーロッパ(俗に言う「なろう小説」でありがちな、中世ヨーロッパ的RPG風味の剣と魔法の世界)ではなく、大日本帝国の要素を濃厚に留めたアナザーヒストリーな90年代〜00年代日本が舞台。当然、主人公だけに見えるステータスウィンドウが開いたり、コマンド選択できたり、というわけではありません。
(作中世界の日本には華族制度がしっかり存続していて枢密院まであったり、戦艦大和がベトナムやペルシャ湾岸、ソマリアで敵性勢力を住民ごと艦砲射撃で吹き飛ばしていたり、樺太を領土とする人口2000万の社会主義国家・北日本人民共和国がかつて存在していたり・・・・・・する割には、しっかり高度経済成長とバブル経済とその崩壊があったり)

著者さんは元々、戦国時代の大友氏を題材にした作品などのネット小説を投稿していた方ですが、「転生チート主人公が史実の英雄に勝てるわけないだろ!」という立場を崩さない人なので、本作でもその立場は堅持されています。
本作での最大の敵手?の一人は史実の小泉純一郎元首相ですが、主人公は彼をバリバリに警戒していますし、逆に小泉元首相?からは主人公は子供扱いです(なお、主人公が作中で小泉元首相モデルの首相と絡んだ時はまだ主人公が小学生のお嬢様・・・・・・)。

さてまあ、なろう小説などと言えば最早テンプレート通り書いたら出来上がりそうなイメージがあるくらいに展開が似通っているのですが(以前の仮想戦記ブーム(火葬戦記と揶揄される類の)を連想させるくらいには、似たような作品が出ています)。
本作がユニークなのは、バブル崩壊後の「失われた30年」を経済戦争の敗戦と捉えた場合の「経済仮想戦記」な要素ではないかと思います。
史実では破綻した拓銀(破綻直前、拓銀に就職していた高校時代の部活仲間が「大丈夫かなぁ」とつぶやいていたのが忘れられません(早めに見切りをつけて家業を継いだ方がいいかも、と無責任にアドバイスした覚えもあります)・・・・・・尚、彼はその後地元で家業を継いでいます)やら山一證券やらそごうやらといった企業群を救済し、リストラクチャリング(首切りの意味でのリストラではない)して日本経済をいくらかでも現実世界よりマシな状態にもって行こうとする主人公と、その資金調達のために主人公がチートな手段(≒前世知識による擬似未来予知)で稼いだ莫大なマネーを狙うウォール街ヘッジファンドの暗闘、そしてあまりにも莫大な富で日本経済に影響を与えまくる主人公を危険視する国内抵抗勢力(とはいえ、まだ幼いお嬢様に危ないことはさせられない!という方向の抵抗が多いので、ひとまとめに敵と断じることもできない)との駆け引きがメインテーマと言ってよいでしょう。

設定上は、現実世界でリーマンショック以降の不況により経済状況が悪化したことから現世を去った若い女性(失業→転職先のブラック企業で体壊す→南無)が、(架空の)乙女ゲームの世界に転生し、ゲーム上の主人公のライバルとなる悪役令嬢になってしまった……という小説です。
ゲーム上の攻略キャラたるイケメン少年たちも小学校からの同級生として登場していますが、如何せん書籍版ではまだ中学生になっているかいないかくらい(ネット連載の方も、字数は増えているけれど現時点では高校にも入学していない)。恋愛のレの字くらいは出てきますが、まだまだお子様な年齢ですしね(婚約者(予定)の少年から、時々乙女心を完全無視してプロポーズされる都度、主人公が「**君のばかぁ!」と叫んだり、小学生らしいちょっとしたドキドキがあったりなかったり、奥手な中学生らしいあれこれがある程度)。

ネタバレはなるべく避けますが、主人公たるお嬢様はラノベらしくかなりのチートキャラで結構好き放題しています。地上波TVにも結構出演している設定なので、そこだけを取り上げれば末は元インドネシア大統領夫人か豊麗なセレブ風ご姉妹か、といった感があります。
本作においては、コミカルな成分をこうした芸能がらみな描写でかなり補っている感があります。

もう一つ、ウォール街のハゲタカさんたちの思考回路(及び、亜流としてのヒルズ族のそれ)がわかりやすく追えることも、本作の良い点ではないかと思います。
そして、彼らをまとめて焼き鳥にした日銀砲の威力と、それをなし得る日本国財政当局及び日本国保有の金融資産の存在が、現実世界でも未だに日本が経済大国の一角を占め続けている一因であることも納得できます。
(実際に、日銀及び財務省が総額30兆円以上という途方もない為替介入を1年以上延々と続けて、ウォール街のハゲタカファンドが次々と破綻したという史実があるわけで……)
現実世界の日本においてはあまり聞かなくなったハゲタカファンドの活動ですが、日銀砲を恐れて手出ししなくなったのか、豊葦原瑞穂国がついにハゲタカすら寄らない不毛の地と化したのかの判断は諸兄姉にお任せします。

ありきたりなファンタジー風小説や仮想戦記と異なり、経済テーマの小説を書くには相応の素養が要求されます。
ラノベでは恐らく当分の間、本作のレベルで経済を扱った作品は当面登場しないと予想しますので、ありきたりではない小説をお求めの方には一読の価値があると考えます。
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