死なばもろとも…「もう限界」崖っぷち岸田首相に残された最後の手段に自民党議員青ざめる

2024年06月07日 15時24分09秒 | Weblog

内閣支持率が低空飛行を続ける岸田文雄首相が秋の自民党総裁選前の解散総選挙を見送る方向で調整に入ったと報じられている。政治資金パーティーをめぐる裏金問題で逆風を受け、衆院トリプル補選や地方選での敗北が続き、与党議員の大勢は「選挙どころではない」(閣僚経験者)と否定的なためだ。だが、政界事情に通じる経済アナリストの佐藤健太氏は「このまま退陣不可避となるならば、岸田首相がイチかバチか『破れかぶれ解散』を強行する可能性はなお残っている」と見る。

政界においては首相による「解散権」と「公定歩合」に関してはウソをついても構わない

「今は政治改革をはじめ先送りできない課題に専念している。それらにおいて結果を出すこと以外のことは考えていない」。岸田首相は6月4日、今の通常国会での衆院解散の可能性について記者団にこのように語った。政界においては首相による「解散権」と「公定歩合」に関してはウソをついても構わないともいわれる。たしかに足元の政治状況を考えれば現時点で首相が“伝家の宝刀”を抜くとは考え難い。

公明党の山口那津男代表も同日の政府・与党連絡会議後に「地方選で自民党ないし与党の推薦した候補が負け続けている。真摯に受け止めなければならない」と記者団に語り、自民党の「政治とカネ」問題に対する批判が高まる中での衆院解散にクギをさした。自民党の小泉進次郎元環境相も「あの時より怖い」と、自民党が下野した2009年の総選挙時を上回る大逆風にあることへの危機感を強める。

どこかの時点で信を問わなければならない

通常ならば、連立政権を組む公明党の代表が反対し、自民党内でも慎重論が大半となれば解散権は事実上封じられると言って良い。だが、「何をするか分からない人」(岸田氏に近い閣僚経験者)といわれる岸田首相がいまだ解散総選挙による事態打開を狙っているとの見方は完全に消えてはいない。首相に近ければ近い人物ほど「どこかの時点で信を問わなければならない」などと声を潜めるのだ。

朝日新聞は6月4日に「今国会中の解散見送りへ」と大々的に報じ、今の通常国会の会期(6月23日まで)は延長せず、衆院解散を見送る方向で最終調整に入った、と記した。読売新聞も6月5日に「秋の総裁選前の解散・総選挙見送りへ」と報道している。「当面は経済の好循環の実現や信頼回復に集中し、総裁選で再選を果たせば、秋以降の解散を慎重に検討する考えだ」という。

「破れかぶれ解散」の可能性が消えない理由

これまで首相は、4月の訪米や5月の外遊で「外交の岸田」として存在感をアピールし、今春闘の賃上げ効果や6月の定額減税実施によって支持率を浮揚させるシナリオを描いてきた。だが、4月の衆院補選や5月の静岡県知事選などでの敗北が続き、直近のJNNによる世論調査(6月1、2日)でも支持率は前月から4.7ポイント下落の25.1%と低迷。不支持率は71.6%(前月比3.7ポイント増)に達しており、依然として厳しい状況を脱していない。

ただ、首相による「破れかぶれ解散」の可能性が消えない理由には、これまでの言動がある。首相は3月、衆院解散について「全く考えていない。政府・与党としては予算を年度内成立させることが何より重要だ」と述べた。4月には「政治改革に向けた取り組みの進捗や取り組みぶりを見ていただいた上で、最終的には国民の皆さん、党員の皆さんに判断いただく立場にある」と語っている。そして、5月22日の参院予算委員会では「今国会最大の焦点は政治資金規正法改正で、会期中に実現する」と説明した上で、「解散など、それ以上のことは何も考えていない」と答弁した。

これらの発言は自民党の「政治とカネ」問題に対する批判を政治資金規正法の改正によって、はね除けた上で信を問う「6月解散」が念頭にあったのは間違いない。シナリオとしては、7月7日投開票の東京都知事選との「ダブル選」も選択肢にあったはずだ。ただ、首相が公明党と日本維新の会との協議を経た改正案の国会提出は遅れ、参院での審議を踏まえれば会期末までの日程は窮屈となった。

政治資金規正法の改正案、会期内成立に黄信号

国民民主党の玉木雄一郎代表が記者会見で「解散戦略にも狂いが生じてきているのではないか」と指摘したように、たしかに「6月解散」どころの状況ではなくなった。むしろ、首相が「今国会最大の焦点」と位置づけた政治資金規正法の改正案を円滑に会期内成立できるのか黄信号が灯り始めている。

そこで気になるのは、6月23日までの国会会期を延長する可能性があるのか否かだ。党首討論の開催や立憲民主党などによる内閣不信任決議案の提出などをにらめば、与党内には会期延長に慎重論も少なくない。しかし、「最大の焦点」であるはずの改正案を強引に成立させたとなれば野党からの格好の攻撃材料になる。

死なばもろとも解散へ

岸田氏は2021年の首相就任直後に10月19日告示、同31日投開票というスピード解散に踏み切った。岸田氏の公式サイトには解散した理由について「この岸田に、お任せいただけるのかどうか。それをまず、国民の皆さまに問わなければならない」と記されている。それから3年近くが経ち、自民党内で“勝負師”の異名もある岸田氏がイチかバチかの勝負をする可能性は低いとまでは言えないのではないか。

もちろん、自民党が大逆風を受ける現在の状況下で与党議員の多くは衆院解散に反対のはずだ。ただ、仮に次期総裁選で勝利した人物がすぐに総選挙で勝負に出ても現在の議席数を確保できる保証はどこにもない。議席減となり、来年夏の参院選でも敗北すれば憲法改正は夢のまた夢だ。レームダックのように見える首相だが、「死んだふり解散」に踏み切る可能性はなおも残されているように映る。

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