靖国神社(東京都千代田区)の石柱に英語で「トイレ」と落書きされた事件で、警視庁公安部は器物損壊などの容疑で中国籍の男ら3人の逮捕状を取り、1人を逮捕した。靖国神社の敷地内ではこれまでも外国活動家らによる落書きや放火事件などが続発。近年は動画投稿サイトや交流サイト(SNS)で視聴数を稼ぐための「反日コンテンツ」として過激な投稿者らの標的になっているとみられる。
今回の事件で、中国籍の男はカメラに素顔をさらしながら、靖国神社の敷地に侵入。石柱に向かって堂々と放尿するしぐさを見せ、落書き後にポケットに両手を突っ込んで立ち去った。一部始終を収めた映像にはラップ調の音楽がかぶせられ、いたずらというより英雄的行為かのような演出が施されていた。
事件後、容疑者の男らが中国の動画投稿アプリに動画をアップすると、中国のSNS上では視聴者から「とても美しい」と称賛のコメントが寄せられた。
1972年の日中国交正常化以来、両国の歴史認識を巡る問題では、しばしば「靖国」が焦点になってきた。
「靖国神社は侵略戦争の象徴だ」。岸田文雄首相が今年4月、真榊(まさかき)と呼ばれる供物を奉納した際も、中国外務省の報道官がいつもの歴史認識を持ち出し、「軍国主義との決別」を迫った。
先の戦争の英霊が眠る戦没者追悼施設たる靖国神社について、これまでも中国外務省は「戦争を美化している」と決めつけてきた。
こうした歴史教育は、靖国神社への攻撃が「愛国的」とみなされる素地をつくり、これまでも反日活動家を誘引。さらにSNS全盛の現代において、中国では愛国的コンテンツが手堅い人気を誇っているといい、視聴数とそれに伴う収入目当てに過激な投稿者のターゲットにされるリスクが高まっているとみられる。
平成30年12月には「南京事件」への抗議活動のため靖国神社の敷地に入ったとして、警視庁公安部が中国籍の男女を逮捕。1人は参道で「南京大虐殺を忘れるな」と広東語で書かれた横断幕を広げ、位牌(いはい)のようなものを燃やした。もう1人はその様子をスマートフォンで撮影し、動画を公開していた。
産経新聞
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