相次ぐ盆栽窃盗、「黒松」など海外人気種がターゲット 

2024年05月24日 16時33分18秒 | Weblog

国内で盆栽の盗難被害が相次いでいる。一部は外国人グループが関与しているとみられ、国際的な盆栽ブームを背景に、海外向けに売却している疑いがある。返還を求めると、高額な金銭を請求する〝身代金要求型〟のようなケースがあることも分かった。盆栽の性質上、屋内での管理が難しく、業界は防犯対策に苦慮している。

「親戚に危害を加える」

埼玉県川口市で盆栽や関連道具の販売などを行っている「川口BONSAI村」では4月12日、盆栽47点(被害額約670万円)が盗まれた。防犯カメラには、同日未明に2人組の男が施設内から盆栽を持ち出す様子が映っていた。

代表を務める松岡清之さんによると、被害の数日後、従前からの顧客であるベトナム人男性から、「SNS上で、今回の被害品らしき盆栽が売りに出されている」と連絡があった。松岡さんが画像を確認し、BONSAI村にあったもので間違いないと判断。販売元へ返すよう求めると、「200万円を支払え」などとするメールが届いたという。

松岡さんは、「払っても実際に戻ってくる保証はないし、戻ってきたとしても盆栽がかなり損傷している可能性が高い」として断った。一方、間に立っていた顧客男性には、販売元側から「こんなことをしていると、お前の親戚に危害を加える」などと脅迫めいた連絡があったという。

SNSでのやりとりはベトナム語で行われており、ベトナム人グループが関与した可能性がある。

また、被害品の47点はいずれも、「黒松」と「真柏」(しんぱく)という種類だった。葉にボリュームがあって緑色が濃く、海外愛好家に人気だという。松岡さんは「他にも陳列されていた盆栽はあったが、それらには目もくれずという感じで、この2種類だけが狙われた」。すでに警察に被害届を提出しており、こうした情報を含めて伝達した。

                                                                          

11府県で25件

盆栽の需要を巡っては、国内では愛好家の高齢化などもあって低迷しているものの、海外では鉢の中で大自然を表現できるといった点が受け、人気が高まっている。犯行グループはそうした状況に便乗し売却目的で盆栽を狙っているとみられる。運搬が比較的容易といった要因も指摘される。

全国の盆栽事業者でつくる日本盆栽協同組合が昨年3月以降の被害情報を集約したところ、今年1月までに茨城、栃木、愛知、大阪など少なくとも11府県で約25件の被害を確認したという。今月8日には、熊本県内の盆栽店で33点(時価計1880万円相当)が盗まれた。

目撃情報などから、多くが外国人グループの犯行とみられる。愛知県警は4~5月、神奈川県の自営業男性らから盆栽を盗んだとしてベトナム人の男3人を逮捕している。

屋外管理が基本

盆栽は屋内では生育不良となるため、屋外管理が基本で防犯対策が難しい。川口市のBONSAI村でも、防犯カメラや柵の設置などを進めてきたが、今回で被害は4回目という。

一方、愛知県警の事案では、被害男性が位置情報を追跡できる紛失防止機器を盆栽に付けていたことで容疑者側の拠点や運送会社などを特定することができた。

協同組合では各業者に対し、赤外線センサーの設置などが付随する警備会社との契約を推奨。また、グーグルマップから登録を削除し、上空画像から店舗構造を把握されるのを未然防止することも呼びかけている。

担当者は「日ごろから盆栽の写真を撮っておき、仮に盗まれても所有を主張できるようにするのも有効だろう。複合的な取り組みで、被害をできる限り食い止めていきたい」としている。

                                                                                     産経新聞

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