東京都知事選(7月7日投開票)は30日、投票日前最後の日曜日を迎えた。公務で公約をアピールしつつ街頭に出る無所属現職の小池百合子氏(71)と、争点を絞り都心で畳みかける無所属新人の蓮舫氏(56)。各陣営の戦略の違いがはっきりする中、選挙戦は終盤を迎える。
30日午後1時過ぎ、船で運河を移動し江東区の住宅街に現れた小池氏は、そのまま船上から周辺のマンション住民に訴えかけた。「マンション防災は東京防災そのものだ」。公約にも掲げた今後の重点施策を強調した。
公務と選挙の二刀流と称する小池氏。連日、各所への視察を公務に組み込み、合間に街頭活動をこなす。視察先はスタートアップ企業の支援拠点、防災対策に取り組むマンション、水門など。多い日には1日4カ所にも及ぶ視察だが、いずれも小池氏が重視する公約の関係先で、公務とはいえ「事実上の選挙運動」(都幹部)といえる。
街頭に立ったのはこれまで八丈島を皮切りに奥多摩町、青梅市。6月29日にはJR北千住駅前(足立区)で今選挙戦では初めて23区内での演説を行った。最後の選挙サンデーは船上遊説後、JR蒲田駅前(大田区)で街頭演説。陣営幹部は「だれが都民のための政策を訴えているかを見てほしい」と話し、今後も公務をこなしながら街頭活動の機会をうかがう。
蓮舫氏は都心で多くの人が集まる場所を狙い街頭演説を重ねる。30日は銀座や新宿駅前に登場。都の最新の合計特殊出生率0・99を引き合いに「この8年間やみくもにバラマキをやったけれども、成果が出ない。ここでアプローチを変えましょう」と小池都政を痛烈に批判した。
少子化のほかに蓮舫氏が争点化を試みているのは明治神宮外苑の再開発。6月29日には、再開発計画の是非を問う都民を対象にした住民投票の実施を新たな公約として発表した。投票で示された民意を背景に、事業者と再開発の方向性を話し合う考えだ。
ただ、民間が事業を進める再開発に都としてどこまで介入できるのか、憲法で保障された財産権などとの兼ね合いから「投票の実施自体が難しいのではないか」(都幹部)との指摘が早くも出ている。産経新聞が蓮舫氏に憲法やその他法律などとの整合性を問うと「それらも含めいろいろと」と述べ、今後、内容を精査する考えを示した。
無所属新人で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は都心を中心に街頭演説を多くこなす戦略。30日は渋谷や銀座など、10カ所近くで街頭に立った。無所属新人で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は30日、高島平(板橋区)などの住宅街を重点的に回った。日本の伝統や防衛政策に触れるなど、保守層を意識した内容を訴えている。
産経新聞
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