急性リンパ性白血病を克服して五輪の舞台に立った池江璃花子。虎の門病院分院(川崎市)の血液内科部長、和氣(わけ)敦医師は「あれだけの回復は常識では考えられない。本人の並外れた努力があったのだろう」と、その復活劇に驚きを隠せない。
急性リンパ性白血病は、骨髄の中で血球をつくり出すもとになる造血幹細胞に近い段階の「リンパ系前駆細胞」が何らかの原因でがん化し、骨髄内で増殖、他の正常な白血球や赤血球などの血液細胞を減らしてしまう病気だ。16歳~30代の「AYA世代」の場合、大人より強い抗がん剤化学療法を行うのが一般的。池江は抗がん剤の治療中に合併症を発症し、造血幹細胞移植も行った。
治療後、病気前の生活に戻るには「順調にいっても半年はかかる」と和氣医師。2019年2月に白血病が判明し、同年12月に退院した池江は、そこから約1年4カ月で五輪への切符をつかんだ。「退院直後は筋力や体重が落ちていたはず。わずかな期間でオリンピックに出られるようになるほどの回復には、目を見張るものがある」という。
和氣医師は「池江選手が活躍する姿は、白血病の患者さんにとって元気の源になる」と、その活躍を喜んだ。産経新聞