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公教育民営化計画の裏で・・・

2008-08-06 11:11:11 | パレスチナかイスラエルか
(注:この記事は2008年8月5日に投稿されたもの)



今回は、イスラエルの公教育を民営化する動きと、その舞台裏を伝えている話の紹介。
・Privatising Public Education in Israel(2008年7月28日 Alternative Information Center)

この話では、去年の 6月に開かれたイスラエルにおける公教育民営化に関する会合と公教育民営化そのものへの分析をやってる。
色んな意味で民営化の論理ってのを学べる汎用性が高い教材(?)でもある。

以下、この記事の日本語訳をでっち上げてみた。
しかも、今までにでっち上げた訳文に読みづらさに磨きをかけて・・・(馬鹿)。
例によって(略

---- 以下訳文 ----
イスラエルの公教育を民営化する動きについて

Marcello Weksler for The Alternative Information Center (AIC)
2008円7月28日



中間層[の子供達]が民主的学校(訳注1)で十分な教育を受けてる一方で、社会的制限から数十万人のイスラエルの子供達が資金不足の学校に通っている。
2007年6月の初頭、「イスラエルにおける理想[の教育]への道:第1回 教育における国際会合」という題で 2日間の会合が Bet Yam 市で開かれた。
だが、この強烈な題にもかかわらず、この会合を報道機関は伝えず、会合での発言は人々には伝えられなかった。
それとは別に、この会合には2つの意味が含まれていた。
[1つ目は]財界人や公教育民営化の第一人者と民営化を支持する教育者が、将来の教育のあり方を互いに議論した初の会合だと示していること。
2つ目には、後で詳しく述べるが、この会合は別の目的の為にとてもよく準備されていて、どのように本当の目的を隠して人々にその目的を悟られないようにするかという見事な例として役に立っていたことだ。

最初に、すでに混乱同然の会合の立案者や話をする人達に注意するのが重要だ
会議に参加してる人々の中で重要人物は、Dov Lautman 氏(訳注2)、Nir Bareket氏(訳注3)、Sholomo Dovrat 氏で、後ろの2人は公教育の民営化に直接関係してる。
Nir Bareket 氏は、エルサレムの学校地域におけるプロジェクトを立ち上げた事もあり、過去にはエルサレム市の[学校]登録制撤廃と学校自治を推し進めた。
Shlomo Dovrat 氏は、前政権[Shalon 首相のこと]でイスラエルの公教育システム全般の民営化を提案したことで悪名高い Dovrat 報告(訳注4)を出した人と同一人物である。
この報告が現政権で撤回されても、別の形で[民営化案が]生き残り実行されてることを繰り返すのは重要だ。
現在存在する全ての案は、Dovrat 案と大して変わらない、要は、全ての案は[公教育の]民営化という信条に基づいている。

招待した全てのゲストのパネルを作成した The Marker(訳注5)に所属するジャーナリストの Mirav Arlozorov 氏も、会合に参加してた。
2人の割と有名なアメリカの学者[後述]も会合に参加して、教育目的の一部としての小規模な学校について話をしていた。
そしてもちろん、Yuli Tamir 教育相に加え、教育の民営化を支持する2人の財界人 --Rashi 財団(訳注6)から Eli Allug 氏、民主的教育研究所(訳注7)から Yaakov Hecht 氏-- も参加していた。

とっても奇妙な組み合わせの人達だ。
他の人々にはっきりしないのは、なぜ Bat Yam 市が会合の開催場所に選ばれたかということだ。
しかし、Yam 市長の Lechiani 氏は、Yam 市の教育において最も重要な計画者の1人であると知られている(訳注8)。
Hecht 氏や他の財界人のやる事、そして小規模学校という理念に注意するのは他に何かが含まれてるのか?

事をはっきりさせるため、歴史を振り返ろう。
3年前、Yaakov Hecht 氏は、Eli Alluf 氏のおかげで実行可能になった非常に興味深い計画を、Bat Yam 市で実行に移した。
人生全般と知識的分野以外へのやる気を与えることに基づき、中規模学校の教育者に子供達にとってより人間らしい環境を作る手段を提供することをこの計画は狙っていた。
例えば、子供がサーフィンで優秀になるのを望むなら、教育者はそれを伸ばすようにするとか・・・。
民主的(というだけでないけど)な理論に沿えば、どのような分野でも女/男の子を優秀にする為に子供を支えることで、数学・読み書きを含めた[子供達が持つ]理論的知識でのやる気が増すことになる。

ある分野から他の分野への転換能力という定義を超えて、[教育の]達成レベルは具体的に試されることに疑いはない:
計画に参加してる子供達は、学業面で成績を伸ばせたか?
こうした子供達は、脱落する危険に晒されてるか?
計画に組み込まれてる子供達は、どうすれば高校での勉強を成功裏に終えるようになるか?
あるいはどれだけの子供達がそうならないか?
楽観主義を通り越して、俺はいくつもの疑問を抱いた。
もし公教育システムが学業面での成功をもたらさないなら、さっきの方法による「トリック」の全てが無意味になる。
この手の計画が、色んな分野で子供達の肯定的自己像を育てるのを支えるのに疑いはないが、自らの学習との関係を意味づける必然性はない。

しかしながらこの計画は、表向きではなく計画そのものに問題点を含んでいた。

[民営化の]計画に資金を出してる Rashi 財団は、3年間だけ参加するので、[Rashi 財団以外の]他の投資家達を探す必要がある。
他の投資家が見つからないなら、計画は資金不足を招き赤字になってしまう。

すでにある公教育システムの代替選択肢としての民主的学校をイスラエル全土に建設するのに忙しい Yaakov Hecht 氏は、公教育システムの外側で[民主的]学校を建てるのを認める条件で民営化を支持している。
民主的学校の大半は、現在ある公教育に積もる混乱に不満を募らせている中間層の利益に沿っている。
Hecht 氏は、小規模学校と先生+両親+子供との民主的対話という解決策を用意している。
多くの人達が、より人間的に見える教育方式に関心を示している。
しかしながら、この取り組みは、各方面からの批判に晒されてる公教育を弱めている。
当初誰にも害を与えないと思われていたのに、Hecht 氏は教育業界で今や「鮫」と見られている。
Hecht 氏は、献金者や親からの脅威がない基金を立ち上げている。
社会的限界から数十万の子供達が、予算削減による影響を喰らい、人数過多に苦しみ、教育システムの改善予算不足により、先生達が[公教育システムを]変える気力を奪ってる状況にある学校に通い続けるだろう。
一方民主的学校は[資金面で]潤い続け、中間層の家族へ満足を与え、貧しい[家の]子供達は遠くから民主的学校を眺め、嫉妬を感じるだろう。

そうした観点から見れば、Rashi 基金は第2の教育省として機能している。
資金を提供し、[イスラエル]政府から受け取った資金で投資をやることで支えてられてる。
基金には全ての人への説明責任があるわけでなく、慈善という論理により外部から誰も知ることができない謎に包まれた基準にそって計画を選んでいる。
立ち上げ人といえる Rashi 基金による支援から 3年後、[計画を]続けていく可能性を全てぶち壊す「これからは自分でやれ」で知られてる論理が適用される;
教育の枠組みや計画が弱くなるにつれて、継続の為に基金を立ち上げようとする動機は弱くなる、これが多くの計画が3年後に終わってしまう理由だ。

教育省と財務省は、このような動きを支援している。
[国の]予算削減の一方で、「計画があるぞ!」として[学校側に]キリなく繰り返させる、
計画は元からの予算を置き換えるものになり、[政府の]失策を隠す意味を帯びている。
常に[教育分野では]予算削減が行われてきたし今後もそうなるだろう、そして全ての計画をまとめても失策を隠すには不十分だ。
この理由は単純だ:
公教育制度を改善する目的で教育省に割り当てられる予算の削減による異常なまでの予算不足を補うだけの、十分な基金や億万長者が世界にいないことだ。
もし最初の地点から考えるなら、10年前の教育省予算との比較で現在の予算は35%減である(訳注9);全ての資金提供者を合わせても[教育省予算の] 5%に過ぎない。
このような削減が進む限り、基金や寄付による支援の割合は減るばかりだろう。

ここに、3年間だけ支援するという論理が出てくる。
もし Rashi 基金が実行中の計画に支援を行えば、全ての計画の支援が不十分な基金で行われてることになってしまう。
しかしなぜ、こうした基金が、他に多数ある計画で教育の立ち上げ人と称することができるような長期的支援策にほとんど手を出さないのか?
Rashi 資金の政治的圧力が、3年間限定投資という基本方針に基づく別方向への資金援助を妨げているからだ。
自らを基金と名乗ってる一方で、独立した基金でないことは記されるべきだ。
政府高官やその他の人たちが、基金の割り当て判定に関与している。
例えば、Bat Yam 行政区では民主的教育研究所自身が持つ資金を提供し、教育省も援助をしていた。
しかしながら、Rashi 基金は援助の第1人者であるという。
なぜか?
ここに民営化の論理がある。
民間資本は、子供達へ地方の行政や教育省が与えるのを定められてる資金よりは、象徴的な意味として非常に価値があるからだ。

言い換えれば、この会合では Hecht 氏の計画に他の援助者を募ることを狙っていたのだ。

じゃ、なんで、2人の米国の学者が会合に出席したのか?
1つ目の理由は、会合を国際的だと見せたいのなら米国人[の学者]を招くのが確実、というわかりやすいものだ。
会合には、2人から何かを学ぶという目的はない。
無論 Hecht 氏は、民主的学校が小規模であるのと同様に[公的な]学校も小規模であるべきだと認めている。
しかしながら、Hecht 氏の認識は、米国の公的教育から脱落した子供達に門戸を開けている小規模の学校を設立し、最近の世代における偉大な教育者の1人でありその活動を続けている Syzer 教授というアメリカの学者をゲストに招いた動機でないと思えるのだ。
俺はこのゲスト達が、[会合に参加してる]人達と同じような考えかどうか知らない。
しかしながら、はっきりしてるのは、 Bat Yam 市の大規模な高校を小規模なものに分割しようと会合に参加してる人は誰も意図してないし、イスラエル全土で教育相がそれをやろうとしないことだ。
このような活動には、根本的な予算削減というこの時代における魔法の予算が必要だろう。

全ての民営化に対する強力な支援者である財界人たちは、「教育的成功への組織文化の貢献 --潜在的に存在するか?」という題が付けられた会合の主団体として支援することに疑いを持たない。
簡単には、この題は、仕事上の表現に直すと、このようになる:
なぜ Dovrat 氏と彼の友人たちが教育制度を完全民営化しなかったのか?
なぜ Dovrat 氏が恐れられ、誰が教育の民営化を邪魔しているのか?

民営化に立ちはだかってるのは、実の所、先生達である(訳注10)。
部分的には、不完全で想像もしないやり方で、民営化に抗議している。
政治と経済界とメディアは、とっくに[民営化への]抗議からおりている。

最後に、Bat Yam 市長こと Lechiani 氏は、何を見通していのだろうか?
学校民営化と Dovrat 報告の強力な支援者である Lechiani 氏は、近いうちに教育省から離脱し、Yam 市に独立の教育制度を立てるつもりだと伝えた。
彼が言わなかったことは、Yam 市の教育に長期的な損害を与えるということだ。
かつての時代に戻りたくないことを望み、教育を重要と認識しない別の市長が選出されれば十分だ。
社会の変化と子供達への平等な教育を生み出すという視点を持たない方向をそれぞれの市が独立して選ぶのなら、教育は単に1つの市の問題だけでなくなる。

俺の忠告は、このような会合が開かれる場所に君が来るなら気をつけろってことだ:
会合を開く連中は、なにか醜いものを俺達から隠すのだ。


訳注1:democratic school ってのは、生徒と教師達が対等の関係で向き合うところに特色があるとかないとか。
この形態をとる学校は、一応日本にあるっぺぇ。
また、これと似た考えを持つ学校の形態としては Free School ってのがあるとか・・・。

訳注2:Dov Lautman 氏については↓
・Mr. Dov Lautman (WZO)(Jewish Agency for Israel)

訳注3:Nir 氏は、一応 Jerusalem 市役所で幹部をやってるっぺぇ。
Jerusalem 市に建設してた橋の開通セレモニーで、公的資金を使うのを嫌がっているのだが・・・。
・Bridge over stormy council(2008年6月23日 Ynetnews)

訳注4:Dovrat 報告では教育予算削減以外にも、子供達の教育を3歳から18歳までにするとか学校の授業時間園長延長とかを提案している。
この報告に関する問題点は↓参照。
・Populism and Elitism Will Not Mix (2004年10月? Hanitzotz Publishing House)
・Q&A with Education Minister Limor Livnat(?年 Haaretz.com)

訳注5:Haaretz の傘下で主に経済情報を扱う所。
公式サイト(英語版)は↓
・The Marker.com

訳注6:1984年に設立された基金。
一応公式サイトでは、政治的意向と活動内容は関係ないと訴えてるが・・・。
公式サイト(英語版)は↓
Sacta-Rashi Foundation

訳注7:正式名称は、The Institute of Democratic Education
Yaakov Hecht 氏は、この団体の創設者。
↓公式サイト
・The Institute of Democratic Education

訳注8:Bat Yam 市は、イスラエルの教育推進プログラムの対象に選ばれてたとか。
ちなみに、導入した教育方式は米方式・・・。
・Israel Learns From the U.S. Educational System(2008年7月2日 Epoch Times)

訳注9:来年度の教育予算は、さらに削減されるっぺぇ。
・Municipalities say education budget to be cut by NIS 280 million(2008年7月31日 Ynetnews)

訳注10:一例として、今年1月に教員の組合がストをやってた。
・School Matters / Small classes, big dangers(2008年1月30日 Haaretz.com)
---- 訳文以上 ----

怖いな~。
公教育を民営化するのを、多くの財界人が奨励してるっていう構図があるってのがね。
しかも、それを大手のメディアがろくに伝えもしなかったというのも・・・。

イスラエルノメディアノカタガタハ、コウキョウイクノミンエイカガノゾマシイノデショウカ?

厄介なのは、今回ネタにされた現象がイスラエルに限った話じゃないって所。
要は、メディアが監視機能を果たさずに政府や経済界の応援をやってるってことだけど。
確か、日本でも裁判員制度のタウンミーティングで似たような話があったような・・・。
こうなると、一般市民としても防ぐのが大変だわな。


にしても。
公共部門の民営化で得をする人は、少なからずいるんだな~。
その影で多くの人が泣いてるわけだが・・・。


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