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Roald Hoffmann's anti-boycott campaign?

2010-08-31 19:49:32 | パレスチナかイスラエルか
今回は、marburg_aromatics_chem さん経由で知った話・・・。

なんか知らんが、今年の10月にヨルダンで開催される『Eurasia Conference on Chemical Sciences(ユーラシア化学会議)』(11回目)という国際会議について、「イスラエル国籍の化学者達が招待されてない」と ノーベル化学賞受賞者である Roald Hoffmann 氏がのたまったらしいが・・・。
・ヨルダンで開催される国際会議にイスラエル人研究者が招待されていない(2010年8月25日 ドイツ語好きの化学者のメモ)

つーか、『Eurasia Conference on Chemical Sciences』って何?
ってことで、以下のサイトから簡単に概要を・・・。
・About Eurasia Conference(EuAsC2S-11 ChemistryCares)

なんでも、1988年にタイで第1回目の会議が行われ、その後はだいたい 2年に1回のペースで開催されている。
過去10回の開催国は以下の通り。

・第2回目(1990):大韓民国
・第3回目(1992):タイ
・第4回目(1994):マレーシア
・第5回目(1996):中国
・第6回目(2000):ブルネイ
・第7回目(2002):パキスタン
・第8回目(2003):ベトナム
・第9回目(2006):トルコ
・第10回目(2008):フィリピン

ちなみに、この会議の仕掛け人(?)の1人には、溶液反応などを専門としていた故大瀧 仁志(OTAKI, Hitoshi)氏(2006年11月5日逝去)もいたけど・・・。
分子研が出した大瀧氏の追悼記事(?)は↓
・訃報 大瀧仁志先生を悼む(2007年2月?日 ims.ac.jp;.pdfファイル)


話を戻す。
Hoffmann 氏の例の発言ってのは、少なくても8月上旬には行われていた模様。
・Nobel Laureate Protests Lack of Israeli Speakers at Chemistry Conference in Jordan(2010年8月16日 news.sciencemag.org)

で、Hoffmann 氏達は、自分達が会議に招待された後イスラエル出身の化学者達が誰も参加してないことに気づいたとか。
ちなみに、前回会議のスケジュールは↓
・ conference program and schedule(EuAsC2s-10;.docファイル)

前回は、イスラエル出身の化学者で講演を行ったのは Shammai Speiser 氏のみだった模様・・・。

ともかく、Hoffmann 氏は、イスラエル出身の化学者達をどうにかして会議に参加させようとした。
が、それが失敗したので他の会議の参加者にボイコットを呼びかけるという事態になった。
もっとも、運営側の反応はさっぱりだったけど・・・。
以下、2010年8月16日 news.sciencemag.org『Nobel Laureate Protests~』から中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
"That's when I became suspicious," says Hoffmann, who calls the absence of Israelis "preposterous."
He decided to encourage his fellow invited speakers to boycott the meeting after back-channel efforts with conference organizers to find a solution failed.

(中略)
In response to Hoffmann's concerns, the chair of the conference's national organizing committee e-mailed the invited speakers to explain that speaker invitations were decided not by nationality, but "based on nominations and consultations with eminent chemists, topics of the conference, available slots in the program," among other criteria.
Because the list of speakers has been finalized for months, they noted, it was too late to make changes in the lineup.
"We wish to emphasize that inviting speakers at the present stage under pressure and threat does not enhance a positive atmosphere for this conference or any conference of this caliber," the letter concludes.
(以下略)
---- 引用以上 ----

2003年以前の会議でイスラエル出身の化学者達がどれだけ参加してるのかについてわからないのだが・・・。
どうも、Hoffmann 氏の見解ってのは無理筋に思えてならないのよね。

そもそも、Hoffmann 氏ってのは、イスラエルに対するボイコット運動(BDS Movement)の一環として行われている(ややこしい)イスラエルの大学に対するボイコットに反対してるんだよな。
実際、2008年に Scholars For Peace in the Middle East(SPME:創設者がイスラエル寄りの姿勢を公言してる団体)が出したイスラエルの大学へのボイコット反対の署名に名前を連ねてるし。
この辺は以下参照↓
・ SPME Petitions - An Updated International Call to Academics and Professors To Join Nobel Laureates and University Presidents to Stand In Solidarity With Israeli Academics Facing New Academic Boycott Threats and Actions from UK Professors, May 28, 2008 Union(2008年5月28日 spme.net)

ってことを踏まえると、Hoffmann 氏が出した件の不満ってのは、反 BDS 運動(イスラエルの製品などを買う運動とか)の一環として捉える必要が出てくるかもしれんな。
無論、Hoffmann 氏は、自分が政治的に中立だと確信してるんだろうけど・・・。


気になるのは、この件についてイスラエルの化学者仲間(?)がどう感じてるかだ。
単に、今度の会議が重要でないと踏んで会議に参加しなかっただけなのか、最初から招待状とかが届かなかったのか・・・。
誰か発言してくれ~(謎)


おまけ:
2009年Hoffmann 氏は、故郷の Zolochev(ウクライナ西部)にホロコーストの犠牲者たちを追悼する記念碑(?)を設立させたそうな。
・Holocaust monument dedicated in western Ukraine(2009年7月20日 jta.org)

以下は、2010年3月に Hoffmann 氏が行った、ユダヤ系の人達と科学者に関する発言を収録した動画。

Roald Hoffmann on Judaism and Science


Hoffmann 氏にとっては、ユダヤ系の人達がどの民族(?)より優秀ってことになってるようで・・・(毒)


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2 コメント

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Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-09-03 13:35:08
引用ありがとうございます。
偉い学者と言えども人間ですので、ワトソンもそうですが、人種差別的発言やデータ捏造、ハラスメントなどで、がっかりすることもあります。

まあ、この学会の目的が、特に新興国の若手研究者に発表の機会を与え、有名化学者と交流して鼓舞することにあるので、意図的にイスラエル人を外したとは考えにくいですね。

もしヨルダン政府が気にするとすれば、リゾート地の死海では、観光客も多くて警備しにくいことなのかもしれませんね。

それでもイスラエルには優良な医薬関連企業もありますので、一人くらい呼んでもよかったと思います。
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-09-03 20:03:15
コメントありがとうございます。

>ワトソンもそうですが、人種差別的発言やデータ捏造、ハラスメントなどで、がっかりすることもあります。
James Dewey Watson 氏のことですか。
確かに彼の言動は、才能のある科学者が必ずしも人格者と限らないことを存分に示してるんですよね。
どこでどう道を間違ったのやら・・・。

>それでもイスラエルには優良な医薬関連企業もありますので、一人くらい呼んでもよかったと思います。
確かに(苦笑)
ただ、主催者が呼びかけても企業側がスケジュールの都合をつけなければ、どうにもならないのが実情じゃないでしょうか。

後は、イスラエルの科学者たちが参加することを公表した後に、イスラエルへのボイコット運動の標的となるのを恐れたかもしれません。
完全に私の妄想ですが・・・。
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