flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

「調査捕鯨」を国営化しても抵抗はなさそうだが(危険)(Apr 23, 2013)

2013-04-23 20:07:23 | 捕鯨騒動
今回は、先月21日に衆議院農林水産委員会における林 芳正(Yoshimasa HAYASHI)農林水産大臣の答弁を少しばかりネタにする。


今年2月のことになるが、林 芳正(Yoshimasa HAYASHI)農林水産大臣が AFP のインタビューで南極海「調査捕鯨」とか日本近海での捕鯨について、挑発的な発言を行っていた。
この辺は以下参照(手抜き)
・Yoshimasa HAYASHI's provocation to anti-"research whaling" nations?(Feb 28, 2013)(2013年2月28日 flagburner's blog(仮))

で、先月21日、衆議院農林水産委員会で、鷲尾 英一郎(Ei-ichiroh WASHIO)氏が 林農水相による件のインタビューについて発言してたが・・・。
・第183回国会 農林水産委員会 第3号(kokkai.ndl.go.jp)

鷲尾氏は、水産資源の確保とか魚介類の消費拡大などについて発言した後、
以下、2013年3月21日分 kokkai.ndl.go.jp『第183回国会~』から、件のインタビューに関する感想部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○鷲尾委員 (中略)
水産関連ということで、きょうは、我が国の調査捕鯨のあり方について議論をさせていただきたいなというふうに思っております。
報道によれば、林大臣も、日本の捕鯨について諸外国の理解を求めるということで、フランスのAFPのインタビューを通じて、しっかりと日本の立場を主張されているということもお聞きをいたしているところであります。
 ちょっとその大臣の取材のコメントを読ませていただきますと、日本における捕鯨の歴史は長く、周辺を海に囲まれている島国である日本にとって、海から良質なたんぱく質をとることは食の安全においても極めて重要であると説明し、韓国は犬の肉を食べ、オーストラリアではカンガルーを食べる、それが彼らの文化、伝統習慣であると理解しているから、誰もそれを阻止したりしない、捕鯨も長きにわたり受け継がれてきた日本の伝統文化であり、どうか我々の文化を理解してほしいと伝えたいという記事なんです。
いいことを言うなと思っております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

だから、他の国の事例を引き合いに出すのは悪手だと(略)
そもそも、件のインタビューで、林農水相は南極海「調査捕鯨」と日本近海での捕鯨を同一視して語ってるんだけどな。
にもかかわらず、「いいことを~」なんてのたまう鷲尾氏は、あまりに「調査捕鯨」に関して無頓着としか・・・。

この後、鷲尾氏と林農水相は、国際捕鯨委員会(IWC)での交渉とかについて意見交換を行っていた。
で、鷲尾氏は、「調査捕鯨」団の片割れである日本鯨類研究所(ICR)の負債に関して、「調査捕鯨」自体を国営化するのかどうか、そして国営化の際の問題点について林農水相に質問したが・・・。
以下、2013年3月21日分 kokkai.ndl.go.jp『第183回国会~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○鷲尾委員 持続可能な商業捕鯨を再開するために調査捕鯨をされているということであります。

国が許可をして民間が行うというスキームになっておりますけれども、鯨類研究所、これが最近、鯨肉の販売不振、在庫の増加で、これも随分報道されていますけれども、昨年、初めて債務超過になっているというふうに報道されております。
私も財務諸表を確認してみたんですけれども、平成二十二年度末が約八億七千二百万ぐらいの赤字でありまして、二十三年度末は回復をしておりますけれども、こういった傾向は否めないわけであります。
大臣のところに要請があると思いますけれども、調査捕鯨による赤字の累増という事態に対しまして、これを国の事業に全面的に変えるべきだ、国が許可して民間がやるというのじゃなくて、国の事業に全面的に変えるべきだという要望があるわけであります。

ここで、私は質問したいわけです。
というのは、国の事業化というのは、一方で、やはり税金の垂れ流しになると思うんですね。
税金の垂れ流しということを、ある意味、国が事業としてやってしまうということは、商業捕鯨がビジネスとして成り立つことが逆にもう見込めなくて民間から国が引き取るということの証拠にもなりかねないような状況だと思っております。
そもそも、商業捕鯨再開のために調査事業をやるという趣旨にも反しかねないことだと思います。
ですから、南極海における調査捕鯨の国の事業化要請について、大臣がどうお考えなのかということをぜひお聞きしたい。
これは、冒頭から申し上げているとおり、伝統的な鯨文化云々の話とはまた違います。
税金の使い道という観点からお願いします。

○林国務大臣
ありがとうございます。
今のお話をお聞きしていて、捕鯨をして、魚食、鯨を食べる文化、それに対しての強い思いを御披露いただいて、大変ありがたいな、こう思って聞いておりました。

調査捕鯨というのは、これを国でもしやったとすると商業捕鯨そのものも国になるというようなところが、ああ、なるほどなと思ってお聞きしたんですが、調査捕鯨に行きますと、見つかっても全部とらないんですね。
何頭かいて、これは科学的な調査捕鯨なので、資源量を、要するにどれぐらいあるかというのを調査するということですから。
これが商業捕鯨になりますと、今の日新丸みたいな一台で行くんじゃなくて、船団を組んで行って、これは当然、利用可能な資源の範囲内でということになるんでしょうけれども、まさに一番利益が上がる形でやっていく。
そこが今の調査捕鯨とはかなり違っております。

調査捕鯨は、あくまでも条約に基づいて、先ほど申し上げましたように、科学的知見を得るためにやっているものということですから、私はむしろ、これは正々堂々と国の事業だというふうにやって、そして、鯨類研究所の財政状況を一つずつ毎年心配するのではなくて、やはり国の事業としてやることによって、早くIWCにおいて商業捕鯨を再開する。
これを国でやったからといって、さっき申し上げたように、全くやり方も違いますので、モラトリアムが撤廃されればちゃんと商業ベースでやるということは、当然、全く違ったこととして成り立っていく、こういうふうに思いますので、そこの部分は委員の御懸念は当たらないのではないかと私は思っております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

「調査捕鯨」を正々堂々国の事業だと~、か。
林農水相の発言は、副産物収入で ICR の活動資金を確保する現行の「調査捕鯨」のやりかたが破綻してるのを認めた格好かと。
そうなれば、今まで以上に「調査捕鯨」の意義が問われるのは必至・・・。

一方、林農水相は、商業捕鯨再開の根拠を IWC における捕鯨モラトリアムの撤廃に求めてるけど、いつそれが撤廃されるかアテにならないってのが正直な所。
しかも、商業捕鯨に関して民間企業(多分共同船舶くらい)に任せるのか、国営のままでいくのかイマイチはっきりしないんだよな。

そして、林農水相は、「調査捕鯨」を国営化する目的に関して、妙なことを語っていた・・・。
以下、2013年3月21日分 kokkai.ndl.go.jp『第183回国会~』から問題の部分を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
○鷲尾委員
国が積極的に引き取るべきという御見解だと思いますけれども、そうしますと、毎年赤字が出ても、その赤字が実際、効率的な調査の結果の赤字なのかどうかとか、そういったチェックも本当に働くのかなと私は思います。
税金の効率的な運用ということを考えても、本当に国が引き取っていいのかなと私は思っています。

それにさらに加えまして、今、商業捕鯨につなげたいという話を大臣はおっしゃっていましたけれども、商業捕鯨につなげるというのは、一言で言いますけれども、そう簡単な話じゃないと思います。
というのは、大手の水産加工業者も、やはり捕鯨事業からある意味撤退している側面もあるわけですね。
それは国際的な非難もあるでしょうし、実際に、私は、鯨に思い入れはありますけれども、何回か食べたことはありますけれども、そんなにすごく食べているわけじゃありません。周りの同年代に聞いても、食べたことないよという方もいらっしゃいます。
水産庁が今、魚食文化、消費拡大、やるぞやるぞと言っても、どんどん魚食は下がってきているという状況の中で、では、鯨をどうやって市場に、商業捕鯨としてちゃんとビジネスとして成り立つように、どういった対策を打つのかということもちゃんと言ってもらわないと、調査捕鯨を国でやります、これは商業捕鯨をやりますから、つなげますから大丈夫です、私はその説明ではとても納得できないわけですね。
そこのビジョンなり、もうちょっと細かく、では、鯨の消費拡大をどうしていくんですかという道筋までしっかりとしなければ、国の事業化というのは、私はそう簡単に賛成できません。
お願いします。


○林国務大臣
そこは我が党で、私は実は捕鯨議員連盟の幹事長というのを長い間やっておりまして、中でも随分議論をしたんですね。
まさに今のところが調査捕鯨をどうするかというところとかかわってきておりますのは、今、国営で、国の事業としてやっていないので、実際にはどうしているかというと、副産物ということで、持ってきたものを売っていますね。
これで賄わなきゃいけないということになっておりますので、非常に高くなっちゃっているわけですね。
だから、私は、条約上の義務として行くんだから、むしろこれはちゃんと国でやる。
したがって、副産物収入は、これは商業捕鯨ではなくてまさに副産物なんですから、そういうことになれば、価格をもう少し安く出すということにもつながっていく。

我々がまさに小学校のときの給食で食べたり、そのときは鯨の缶詰とかいろいろあったんですね。
あのときの値段と今のものが余りにかけ離れてしまっているということもあって、多分、先生のような世代の皆さんは、もう食べない、モラトリアムの後に給食の世代になっておられるので、このままいくとだんだんだんだん先細りになるということでありますので、まさに、逆に言えば、国の事業にして、副産物をもう少し安くやっていただいて。

食べ方をいろいろ工夫しますと、例えばエージングなんということをやると大変おいしいわけですので、今度、一度よろしかったらごちそうさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ食べていただいて、これは良質なたんぱく質で、かつ、正確に言うと哺乳類ですから、魚類ではないんですが、やはり水産物という中では非常に可能性はあるんではないかというふうに私は思っております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

副産物である鯨肉の値下げ、か。
「調査捕鯨」にかかるコストや労力(の大半)を税金で賄うことの意味を理解してるのか疑問だわな。
というか、副産物の値段が下がっても消費が増える保証はないのに・・・。
なんという夢物語(謎)。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。