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後は野となれ山と・・・なって欲しくない

2009-05-24 19:59:17 | 群馬県
何年か前から土壌汚染→水質汚染の疑いがあるとされていた群馬県の坂東工業団地で行われた地質調査結果が昨日公表されたのだが・・・。
・坂東工業団地の土壌汚染:基準の最大7400倍検出 健康には問題なし /群馬(2009年5月23日 毎日jp)
・【5月22日】坂東工業団地周辺の土壌調査結果について(環境保全課)(2009年5月22日 群馬県環境保全課)

毎日jpの見出しが誇張気味なのはともかく。
一応、2009年5月22日分群馬県環境保全課からこの土壌汚染問題の原因について述べてるところを引用しておく。

---- 以下引用 ----
坂東工業団地(渋川市北橘町)周辺においては、昭和30年代にカーバイド滓を埋設したことによる土壌汚染によって[]、地下水汚染(テトラクロロエチレン汚染)が顕在化しています。
平成19年度の調査で、土壌汚染対策法の適用要件のひとつである、土壌汚染による地下水汚染の影響を受ける範囲内に水道水源があることが確認されました。
 このため、昨年度、土壌汚染対策法の適用を視野に入れた対応策を進める一環として、坂東工業団地を中心に、土壌汚染の範囲の確定及び埋設物を確認するための土壌調査を実施しました。

(以下略)
---- 引用以上 ----

約50年前のカーバイドかすで今頃土壌汚染→水質汚染かよ・・・(汗)。
約50年前に生まれていない人(俺含む)にしてみればとんだ迷惑だわな。

で、2007年度の土壌調査に関する調査結果は↓
・平成20年版 環境白書 P.95:第2章 生活環境の保全と創造:4 坂東工業団地(群馬県;.pdfファイル)

そして、昨日公表された調査結果は、割と衝撃的なものだった。
以下、2009年5月22日群馬県環境保全課の声明から『2 調査結果』を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
(1)土壌ガス調査
10m区画毎に地下約1mで調査したところ、89地点中74地点で、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン及びこれらの分解物等が土壌汚染対策法での指定基準(以下「基準」という)を超過しました。

(2)表層土壌調査
地下約50cmまでを調査したところ、12地点中2地点(何れもアスファルト舗装下)で、水銀及びポリ塩化ビフェニルが基準を超過しました。

(3)ボーリング調査
地番毎に土壌ガス濃度が高い地点を中心に、深度毎に調査したところ、12地点中9地点で、テトラクロロエチレン及びその分解物や重金属等が基準を超過しました。
土壌汚染の深さは、表層から地表下10mまでの間で、カーバイド滓は概ね地表下約0.5mから4mまでの間に埋設されていることが判明しました。

(4)地下水調査
ボーリング調査を実施した場所で、地下水を調査したところ、10地点中9地点でテトラクロロエチレン、トリクロロエチレンが基準を超過しました。
ほう素及びその化合物についても、基準を超過した地点がありました。
(以下略)
---- 引用以上 ----

ふへ~。
水銀やポリ塩化ビフェニルも検出されたってか。
というか、俺が引用しなかった群馬県環境保全課の声明では、鉛や砒素(の化合物)にベンゼン濃度なんてのも余裕で土壌汚染対策法での指定基準を突破していたけどな
もっとも砒素の場合、有機化合物なら問題ないらしいが、無機化合物だとかなりヤバいらしい。
化合物がどのような代物だったのか知りたいところだが・・・。


なお、この調査結果に関しては、当の環境保全課も驚いていた模様。
以下、毎日jp の記事から、調査結果に関する群馬県環境保全課のコメント部分を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
県環境保全課は「テトラクロロエチレンによる汚染は予想していたが、水銀やポリ塩化ビフェニールが検出されるとは思わなかった」と予想以上の汚染を深刻に受け止めている。
同団地はアスファルトなどで舗装されており土壌が飛散する心配はなく、地下水も周辺に飲料用の井戸がないことから健康上問題はないとしている。

(中略)

同団地の土壌浄化には数十億円単位の費用が必要とみられる。
関係者が複数にまたがっているうえ長期間が経過しており、責任の所在を確定するには時間がかかる見通し。
県環境保全課の目崎岳郎課長は「専門会議で09年度内には結論を出し、早急に浄化対策を取れるようにしたい」と話している。
【杉山順平】
---- 引用以上 ----

関係者が複数ね・・・。
なんか、カーバイドかすを埋め立てる際に関わっていた人達(会社の人や当時の群馬県の担当)の所在を見つけるのも一苦労しそうな悪寒。

つーか、こうした話ってのはたいがいの環境問題で起こりうることなんだろうな。
そう考えれば、今回ネタにした話は珍しくないのかもしれないが・・・。


:カーバイドかすは、カーバイドからアセチレンを精製する際に残った物質。
テトラクロロエチレン・トリクロロエチレンは、アセチレン精製の際脱塩酸処理で発生する副産物・・・らしい。
テトラクロロエチレン・トリクロロエチレンは気体となって大気中に放出されるのがほとんどだが、一部は消石灰(これも副産物)などに紛れカーバイドかすと一緒に埋め立てられたとかなんとか。

なお、今回のネタと直接関係は無いが、カーバイドかす埋め立てを行った土地での汚染により移転を余儀なくされたことへの損害賠償を群馬県に求めた裁判なんてのが行われていた。
原告の請求は棄却されたけど・・・。
・ 判決/前橋地方裁判所(第一審):平成20年 2月27日(2008年2月27日? LEX/DBインターネット TKC法律情報サービス)


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2 コメント

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これは怖い・・ (kkneko)
2009-05-27 19:01:46
テトラクロロエチレン・トリクロロエチレンは半導体の洗浄用にも使われ地下水汚染が取り沙汰された有機塩素化合物ですね。まさに汚染のオンパレード・・。飲料水に影響がなくても、地下水を通じて周辺の野生動植物に影響を及ぼすのが懸念されます。日本は土壌汚染についても事業者が責任を問われず住民が税金で尻拭いさせられる後進国ですね(--; 今から50年後にも何がどうなってるやら心配。。
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kknekoさんへ (flagburner)
2009-05-29 21:04:50
コメントありがとうございます(返事が遅くなってしまい申し訳ありません・・・)。

>今から50年後にも何がどうなってるやら心配。
確かに、日本の各地でこの手の汚染物質が後の事も考えずに捨てられてる・・・なんて考えると、50年後の日本が色んな意味で心配になってきます。
ま、今の私達の生活スタイルにも問題があるのですが・・・。
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