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Watson 船長のコメントを引き剥がした3K新聞+φ

2010-05-28 19:39:07 | 捕鯨騒動

今回は、Pete Bethune 氏の裁判前に 3K新聞が出した記事に関するツッコミ各種・・・。
・「シー・シェパード代表は間違っている」「家族恋しい」拘留の被告が激白(2010年5月23日 iza.ne.jp)
・「シー・シェパード代表は間違っている」「家族恋しい」拘留の被告が激白(2010年5月23日 MSN産経ニュース)

この記事では、Bethune 氏と接見した際の(弁護士から聞いたと思われる)様子について伝えていた。
とはいえ、この発言は色んな意味で悪用される危険が伴っていた(言い訳がましいが)。
以下、2010年5月23日分 iza.ne.jp『「シー・シェパード代表は間違っている」~』から、その発言の背景について引用する。

---- 以下引用 ----
(中略)
 ワトソン容疑者はベスーン被告が拘束されて以来、「日本は違法な捕鯨を終わらせるための(抗議行動の)結集地となる」と主張し、法廷闘争のための寄付を募り、各国の日本大使館で抗議デモを行うよう支持者らに呼びかけてきた。
ベスーン被告には「クジラのために命をかけることを誓ったのであれば、刑事被告人として扱われる脅威など些細(ささい)なものだ」と、徹底した法廷闘争を求めていた。

 だが、度重なる接見で同被告は「日本の捕鯨は許せないが、私は家族をもつ普通の人間であり、サムライのような闘士ではない。ワトソンは間違っている」と述べた。

 被告のもとには各国から数千通もの便りが寄せられ、そのほとんどは日本を強く非難する内容だ。しかし、同被告は「日本人は礼儀正しく、過酷な扱いを受けたことは1度もない。憎むべき国ではないと言いたい」と話した。拘束から3カ月が経過し「家族が恋しい」とも漏らし、「法廷では真実を話すが、裁判のことを考えると不安になる。できれば長く勾留されたくない」と裁判の長期化は避けたいとの考えを示した。

 また「私は自分の信じる道を突き進んだ余り、多くのものを犠牲にした。妨害はボランティアであり、昨年は収入が全くなかった。生活を考えなくてはならない」と話し、捕鯨妨害活動に参加し続けることに否定的な考えも示した。
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんだろうな。
見出しが既に間違ってると言わざるを得ない(苦笑)。
ついでに、
ま、この辺りが 3K新聞の得意技って所だが・・・。

実際、俺も Ursaemajpris さんにコメント欄で指摘されるまで勘違いしてた。
以下、一昨日の記事に寄せられたコメントを引用する。

---- 以下引用 ----
Mr.Bethune は罪状の一部を認めて執行猶予を受ける方針のようです。
(中略)

「間違っている」というのは、前段の『ベスーン被告には「クジラのために命をかけることを誓ったのであれば、刑事被告人として扱われる脅威など些細(ささい)なものだ」と、徹底した法廷闘争を求めていた。』という部分に対しての発言だと思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----

あの記事の読み方としてはそれが正解なんだろうな。

が、この記事、引用された Watson 船長の発言を辿ると不可解なことになる。
3K新聞の記事で使われていた Watson 船長の声明については以下参照(手抜き)。
・Captain Peter Bethune – The Last Samurai!(2010年4月4日 Sea Shepherd)

実は、3K新聞の記事で使われてた部分には、きちんと前フリが存在していた。
以下、2010年4月4日分 Sea Shepherd『Captain Peter~』からその部分を(略

--- 以下引用 ---
(中略)
The Japanese government believes that by making an example of Captain Peter Bethune that they will deter Sea Shepherd from obstructing Japanese whaling operations in the Southern Ocean next season.

This will not happen of course.
Every Sea Shepherd crewmember signs onto the crew after they answer in the affirmative to the question of weather they are willing to risk their lives to save a whale.

If a crewmember is willing to give their life for a whale, then the threat of being held as a prisoner in Japan is rather trivial in comparison.

Captain Peter Bethune was well aware of the possible consequences of boarding the Shonan Maru 2 but he chose to do what he thought was right, and like any prisoner of war he will not betray his cause in the face of threats of incarceration and intense interrogation.

The Sea Shepherd Conservation Society will help provide Captain Bethune with the best legal defense possible, and we will stand by Pete’s family while he is a prisoner.
What we will not do is retreat or surrender to the outlaw whalers.

We are presently rallying our resources, raising funds, and preparing to return to the Southern Ocean next December.
I already have a dozen volunteers willing to board Japanese whaling ships next season, willing to be taken prisoner, and willing to sacrifice their freedom and risk their lives for the whales.
(以下略)
--- 引用以上 ---

つまり、南極海における「調査捕鯨」への抗議活動を続ける、という意味での発言だったわけだ。
元ネタの声明では法廷闘争だけを呼びかけるという代物ではなかったのに、3K新聞は引用した際にそれを見事に引き剥がしたっつー・・・。

酷ぇ話だ。


もっとも、Sea Shepherd は何も 3K新聞が唱える所の「徹底した法廷闘争」だけを狙ってたわけでもないみたい。。
むしろ、最初から Bethune 氏を早期解放すること頭に入れていた模様。
この辺りは、Sea Shepherd の公式サイトにある特設ページから密かに伺えた。
・Support Captain Bethune(Sea Shepherd)

以下、↑から、『Captain Bethune Detained』の部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
Captain Bethune Detained

Unfortunately, upon boarding the Shonan Maru No. 2, Captain Bethune was detained and taken all the way back to Japan, where he is currently being held in a maximum security jail cell in Tokyo awaiting trial on an array of amped-up politically-motivated charges with potentially severe penalties.
These charges include: (1) trespass, (2) possession of a weapon (the knife used to cut the net while boarding), (3) alleged injury to a person, (4) property damage, and (5) interference with normal business activity.
At the moment, Sea Shepherd is working closely with Captain Bethune’s legal defense team in an effort to obtain his release from Japan as quickly as possible.
(以下略)
---- 引用以上 ----

『from Japan』ってのは、おそらく日本から Bethune 氏を帰国させるという意味合いなんだろうか?
つまり、何も無罪だけでなく執行猶予がつけばそれでよし、という判断なんだろうか?
だとすると、3K新聞に掲載された Bethune 氏の発言も少し意味合いが違ってくるのでは・・・。


ここからは俺の推測。

多分、Watson 船長は Bethune 氏が逮捕された当初、裁判が長期化する可能性も頭に入れていたのかもしれない。
しかし、日本の司法制度(有罪率の高さとか)の性質やその後の Sea Shepherd の活動に影響を与えたくないという心理が働いたのか知らんが、Watson 船長はこの裁判を短期で終わらせることを裏で決めてたかもしれん。
表向きは、「徹底抗戦」を掲げつつ・・・。
この辺りの方針について、Bethune 氏につけた弁護士に Watson 船長が教えたのは説明不要か。
その上で、弁護士が Bethune 氏に(日本への国内世論への対策として)例の発言をするようにこっそりと指示した。
(あるいは、最初から Bethune 氏に Watson 船長が入れ知恵した可能性も捨てきれないが)
そして、それを 3K新聞が豪快にネタにした・・・。

なんて推測を踏まえると、Bethune 氏の発言はある程度計算して行われた可能性は捨てきれない。
Watson 船長の本音としては、直接 Bethune 氏に面会して最後の「念押し」をしたかったんだろうが・・・。
先月 Watson 船長に逮捕状が出たことで、それができなかったのは Watson 船長の誤算だった?

以上、俺の推測終わり。


なお、昨日になって Times Online が3K新聞の記事を引用したというオチがついた。
・Anti-whaling activist pleads guilty in Japanese court(2010年5月27日 Times Online)

その引用部分では、(多分一番インパクトがあると思われる)『ワトソン船長は間違ってる』が英訳になっていた。
以下、2010年5月27日分 Times Online『Anti-whaling~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
In an interview given in detention to a conservative Japanese newspaper, Mr Bethune was quoted as saying that he disagreed with the tactics of Mr Watson, and wished to return home.
“I can’t accept Japanese whaling but I’m a family man, and I’m not a fighter like the samurai,” he told the Sankei Shimbun, which has a strong pro-whaling position.
“Watson is wrong.”
---- 引用以上 ----

なんだろうな。
3K新聞の記事について裏を取らない+その前提となってる発言を引用しない Times Online の責任は大きいと思う。
3K新聞の元記事も相当悪質だが・・・。
この引用の仕方だと、Times Online の記事を読んだ人は 3K新聞の見出し通りの受け止め方をする人が大半じゃね~の?
3K新聞の元ネタを(どこかの自動翻訳ツールを使ってでも)読む人がどれだけいるか、という問題もあるけど・・・。

仮に Watson 船長と Bethune 氏の間に意見の相違がなかったとしたら、Times Online と 3K新聞が名誉毀損とかで訴えられても文句を言えないかと。
訴えないだろうけど・・・。


それにしても。
Bethune 氏の裁判に関する 3K新聞の気合いの入りようは異常だと思う俺。
その気合いをだな、Greenpeace Japan のメンバー2人の裁判でも(略


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2 コメント

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何だかなぁ (Ursaemajpris)
2010-05-31 12:51:59
どうも産経だけでも無いようですが...
【TBS NEWSi】「シー・シェパード」のワトソン代表は http://news.tbs.co.jp/20100527/newseye/tbs_newseye4438131.html
>「ベスーン被告が救ったクジラの数を考えれば、数年の服役などたいしたことではない。クジラは死に直面しているのだ」

どうも Watson 船長はこのフレーズがお気に入りのようですねw
先入観からメディア側が発言を曲げて受け取っている面もあるのでしょうが、Watson 船長自身の発言と態度が誤解をまねく原因になっているようにも私には思えます。
他の幾つかの報道と合わせて考えると Watson 船長は今回の裁判を反捕鯨のアピールに使う意思はないようですが、基本的にWatson 船長は「行動が全て」な人なのでアピール活動や宣伝活動をしたいわけではないのでしょう。
でも Watson 船長の発言にはアジ演説みたいな煽り口調が散見されるわけで。
そういう昔の陽明学者みたいな行動第一主義と彼の頑固さが誤解の原因なんじゃないかと。
返信する
Ursaemajpris さんへ (flagburner)
2010-05-31 20:41:47
コメント&情報ありがとうございます。

>~Watson 船長自身の発言と態度が誤解をまねく原因になっているようにも私には思えます。
確かに(苦笑)。
もっとも、Watson 船長は自分の発言がどのように伝えられたかを調べて「その後」の発言をどうするかを考えそうですが。

>でも Watson 船長の発言にはアジ演説みたいな煽り口調が散見されるわけで。
「釣り」って奴ですね(違)
しかし、何年も何年もアジな発言を連発できる Watson 船長にはある意味尊敬すら覚えますが。
返信する

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