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IFAW の意味深報告書(2010年3月版)

2010-03-20 20:16:29 | 捕鯨騒動
現在アイスランドは、沿岸で捕獲した鯨肉(ミンククジラとか)を日本などに輸出してる。
この件に関して、国際動物福祉基金(International Fund for Animal Welfare)が意味深な指摘をしていたのだが・・・。
・IFAW Briefing: International Trade in Whale Products from Iceland to Denmark, Japan, and Latvia.(2010年3月17日 ifaw.org;.pdfファイル)

日本やデンマークはともかく、ラトビアが鯨肉の輸出先ってのは意外な気がするけど。

ってのはともかく。
元々、クジラに関する物品の商取引ってのは、ワシントン条約(CITES:Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の付属書I(Annex I)でも一部種類が禁止されてるんだよな。
取引が禁止されてるクジラの種類については↓
・Reservations entered by Parties(CITES)

もっとも、この条約の場合、条約で対象となってる種の取引禁止について留保(reservation)した締約国同士なら取引できるらしいけど・・・。
日本とアイスランドはクジラについては留保しているが、デンマークとラトビアはクジラについては留保していない。

また、EU 加盟国同士だと、付属書I で掲載された動植物の取引は(商取引でなくても)さらに厳しく制限されてるとか。
この辺は↓も参照・・・(手抜き)。
・COUNCIL DIRECTIVE 92/43/EEC of 21 May 1992 on the conservation of natural habitats and of wild fauna and flora(2007年1月1日? eur-lex.europa.eu;.pdfファイル)
・COMMISSION REGULATION (EC) No 100/2008 of 4 February 2008(2008年2月4日? mincomes.it;.pdfファイル)

で、問題の IFAW の報告書に話を戻す。
ここでは、アイスランド→デンマークにアイスランド→日本、アイスランド→ラトビアに鯨肉が輸出された量などについて触れていた。
そこで、デンマークとラトビアが EU で定められた取引制限事項に触れてるのでは、という指摘をしていた。
まずは、2010年3月17日分 ifaw.org『IFAW Briefing:~』から、デンマークへの鯨肉輸出状況について引用する。

---- 引用以上 ----
(中略)
Denmark.
Statistics Iceland (Appendix I) reports that in January 2009, 775 kg of whale ‘meal’, traditionally used as an agricultural fertiliser, was exported to Denmark.
Then in March 2009 another 22,750 kg of whale meal was exported to Denmark.
The first export is listed as worth 79,043 ISK (approx 410GBP/632 USD) and the latter is registered as being worth 1,802,658 ISK (approx 14,409 USD/9,396 GBP/)

Exports to Greenland and the Faroe islands, which are self-governing regions of the Kingdom of Denmark that are outside the EU, would be listed as such in Statistics Iceland.

Although Iceland maintains a reservation to the CITES Appendix 1 listing of most species of whales, Denmark does not.
In addition, Denmark is a member of the EU.
Thus such trade would be illegal under CITES and EU Law.

(以下略)
---- 引用以上 ----

う~ん。
アイスランド政府が、事前にデンマークに鯨肉を輸出するための許可を EU から取っていたのかどうか不明だが・・・。
仮にダマで(許可なしで輸出を)行っていたとしても、アイスランド政府は色々理由をつけて鯨肉輸出を正当化しそうな悪寒。

次は、2010年3月17日分 ifaw.org『IFAW Briefing:~』から、ラトビアへの鯨肉輸出状況について引用する。

---- 以下引用 ----
(中略)
Latvia.
Statistics Iceland (see Appendix III) indicates that in January 2010 250Kg of frozen whale
meat was exported to Latvia (Lettland) by sea with a price of 306,781 ISK (2,452 USD/1,596GBP)
Although Iceland maintains a reservation to the CITES Appendix 1 listing of most species of whales,
Latvia does not.

Latvia is also a member of the EU.
Thus such trade would be illegal under CITES and EU Law.
Latvia authorities have confirmed the import and have promised a full investigation.
(以下略)
---- 引用以上 ----

うへ~。
ラトビア政府も実態調査に乗り出したか。
これで、アイスランド政府がダマで鯨肉輸出を行っていたとしたら、今後面倒な事態になりそうな悪寒。
つーか、これ、アイスランド政府にとっても危険な事態じゃ・・・。


それにしても。
なんたって日本政府は、アイスランドから鯨肉を輸入してることをあんまり伝えないんだろうか?
伝える必然性もないんだろうが・・・。


2010年3月22日追記:
以下の記事に trackback を送信。
・(編集中)アイスランドがラトビアにミンククジラ肉を違法に輸出?(2010年3月22日 フリーランス英独翻訳者を目指す化学系元ポスドクのメモ)


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6 コメント

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Unknown (ネコ)
2010-03-21 19:16:37
IFAWの資料、表と本文で数字が違ってるなあ・・
日本向け、去年はアイスランドからの輸入はたった3kgと伝えられましたが、今年は早くも134トンですね・・
大西洋産で汚れててもいいから尾の身が食べたい人向けのナガスがメインでしょか。
ラトビア向けは桁が違って250kgだけど、やっぱり謎・・・
誰か寿司屋でもやってるのかしら(^^;;
返信する
ネコ さんへ (flagburner)
2010-03-21 20:42:04
コメントありがとうございます。

>IFAWの資料、表と本文で数字が違ってるなあ
多分本文の『134,026,000 kg』ではなく、表の『134,026 kg』が正解ですね。
この辺は、アイスランド政府が去年示した見解からも伺えますが・・・。

Iceland planning to export 1.500 tons of whale meat to Japan(2009年9月25日 MercoPress)
http://en.mercopress.com/2009/09/25/iceland-planning-to-export-1.500-tons-of-whale-meat-to-japan

>ラトビア向けは桁が違って250kgだけど、やっぱり謎・・・
>誰か寿司屋でもやってるのかしら(^^;
ラトビアでも鯨肉を食べたい、という奇特(?)な人が結構いるのかもしれませんね。
あるいは、日本でも行われてるようにペットフードの一部にするとか・・・。
いずれにしろ、アイスランド→ラトビアへの鯨肉輸出は色んな意味で謎ですね(苦笑)。
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Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-03-22 17:07:04
デンマークへ輸出したのは、「フィッシュミール」で、これは申告時に「鯨肉」と書き間違えたそうです。アイスランド政府の発表は次の通りです。
http://eng.sjavarutvegsraduneyti.is/news-and-articles/nr/9998

ラトビアへのミンククジラ肉輸出は否定していません。アイスランドは輸出国としての許可を出すだけで、輸出先がどうしているのかは無関係だそうです。ただ、今後は相手国が許可しているかどうかなど、事前に調べるそうです。

ノルウェーでも噂になっていますが、余った鯨肉はペットフードになるようです。ラトビアでも原料に困っていたのかもしれません。もし続報があれば、私のブログで記事にしておきます。
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Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-03-22 19:39:05
まだ編集中ですが、私のブログで暫定的な記事を書きましたので、トラックバックをいたしました。

アイスランド政府の発表について、書き漏らしたと思いますので、ここに再度掲載します。
http://eng.sjavarutvegsraduneyti.is/news-and-articles/nr/9998
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-03-22 20:32:17
コメント&情報ありがとうございます。
アイスランド政府の発表について、もう少し調べるべきでした・・・(汗)
スミマセン。

>~これは申告時に「鯨肉」と書き間違えたそうです。
う~ん。
これって、輸出業者が普段から鯨肉を扱っていることの裏返しなのかもしれませんね。
鯨肉を扱うノリで魚のエサを輸出したって所でしょうか。

>アイスランドは輸出国としての許可を出すだけで、輸出先がどうしているのかは無関係だそうです。
うは~。
アイスランド政府の中では、各国の政治事情(国際条約への署名とか)について情報を持っていたと思われますが・・・。
アイスランド政府が、このような事態を起こした理由も疑問です。
金融危機が遠因なのかな?(ンなわけない)

>ノルウェーでも噂になっていますが、余った鯨肉はペットフードになるようです。
鯨肉入りのペットフードを食べるペットはともかく。
人間が食べるためと称して獲ってきた鯨肉を最後はペットフードにするって辺りが、人間の身勝手というかなんというか・・・。
困ったものです。
返信する
Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-03-23 07:52:16
トラックバック可能な設定にしましたので、再度操作を行ってください。

アイスランド政府の発表を詳しく読むと、ラトビアには輸出できないことを業者には説明したことになっています。それなのに輸出許可を出したことになっています。
代わりに日本向けに変更して輸出するとでも思ったのでしょうか。

アイスランド語を読むのは苦労しますが、翻訳を納品して時間ができたので、続報があれば追記しておきます。
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