ピアニスト藤木明美のブログ No.2

異色のピアニスト藤木明美が、音楽を通しての日々を綴ります。

ヨハン・クリスチャン・バッハ

2015-12-21 10:57:53 | 日記
昨日は、チェロの豊田浩作さんの伴奏で、
ヨハン・クリスチャン・バッハ作曲
J.C.Bach Cello Concerto in C minor を演奏しました。
普段演奏しない曲なので、いろんな気づきがあり、
チェロとのアンサンブルは音楽的に楽しい本番でした。

曲名を見ると、バッハの曲ね、と思うわけですが、あの大バッハ、ヨハン・セバスチャン・バッハではなく、
末子の、ヨハン、クリスチャン・バッハの作品です。

J.S.バッハには20人の子どもがいて、そのうち4人を優秀な音楽家に育てあげたので、
当時、バッハは優秀な音楽家のお父さんとして知られていたようです。

バッハが今のように有名になったのは、死後80年あまり経って
メンデルスゾーンがバッハの作品を絶賛し広めるのに尽力してからです。

作品の評価と言うのは、流行に左右されるので、普遍的な評価はあとから付くのが常ですね。

今は逆に、息子たちの作品はお父さんの作品の影に隠れています。
私も、譜面をもらったときは、J.S.BACH、お父さんのバッハの作品だと思い込んでいて、
弾き始めてから「あれ?バッハと曲想が違うぞ」と気づいたくらい、息子たちの作品を弾く機会はありません。

弾いていると、お父さんの音楽より、イタリア古典、ヘンデル、モーツァルトのエッセンスが色濃くミックスされているなあと思って、
調べてみたら、まさに、末子のクリスチャン・バッハは、イタリアで音楽教育を受けて、ヘンデルを敬愛してギリスに渡り、
天才モーツァルトの方がクリスチャン・バッハの音楽に影響を受けているようです。
曲から時代の背景がすぐにわかるから、面白いです。

どんな天才の音楽も、先代の音楽家のエッセンスをバトンリレーのように無意識に受け取りながら、
新しい音楽を作っていることを改めて感じました。
芸術は、全てそうですね。

見えないバトンが、作品を通して渡されている、それが芸術なんだなあと思った日でした。

楽曲はこちら。
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