断食・少食・ダイエット日記

週一回ほどの一日半断食と少食で、どのように変化するか。

世界に広がる和食の知恵

2013-08-18 | 食と健康関係の本
◆『世界が認めた和食の知恵―マクロビオティック物語 (新潮新書)

マクロビオティックとその発展を担った石塚左玄、桜沢如一については、島薗進『“癒す知”の系譜―科学と宗教のはざま・ニューヒストリー近代日本』(吉川弘文館、2003年)で、ある程度は知っていたが、あまり興味をもてないでいた。桜沢如一の説く無双原理(易)や、身土不二論にどんな説得力があるのか、あまり語られていなかったからかも知れない。

本書は、非常に興味深く読むことができ、俄然マクロビオティックへの関心が高まった。マクロは「大」を、ビオスは「生命」を意味し、マクロビオティックは日本古来の食の知恵を生かした食養法のことである。健康と長寿のためには玄米菜食を中心とした伝統的な和食がもっとも望ましいという医食同源の主張だ。

書店で見たりマスメディアから判断するかぎり、「マクロビオティック」という言葉自体は日本ではあまり一般化はしていないようだ。しかし、少しでも食と健康のことに関心のある人々にとっては、マクロビオティックの考え方そのものはなじみ深いかもしれない。

この本が興味深かったのは、第一に桜沢如一の具体的な生き様を通して、その一見常軌を逸するかに思える大胆さ、行動力、スケールの大きさ等がかなり分かったからである。無双原理(易)や身土不二論ももう少し詳しく勉強すれば、何かしら説得力のある主張なのかもしれないと思わせるものがあった。彼の反戦の主張や行動、世界連邦主義やその運動にも改めて関心を持った。

第二に、彼の食養論に基づく実践が多くの病気を治している事例を読んで、科学的なデータとしては充分とはいえないが、ここには無視できない真実があると感じさせてくれるからである。また、桜沢は小食や断食を直接のテーマとはしていないが、玄米菜食は明らかに小食と関係が深い。両者がどうからんで健康や病気の治癒に関係してくるか、大いに関心をそそられた。

第三に、桜沢如一の弟子の一人・久司道夫の歩みについて詳しく知ることができた。彼についてはほとんどまったく知らなかったが、桜沢によってアメリカに送り込まれ、アメリカでマクロビオティックをここまで普及させるのに多大な功績のあった人物である。アメリカでの普及にともなう苦労や挫折、にもかかわらずじわじわと着実にアメリカに定着していくプロセスも、興味深く読むことができた。