うぬぼれ

　我が職場の上司Ｓ氏は数年前からオシャレに口髭を生やしています。最初は職場でちょっと浮き気味でしたが、この頃は見慣れたせいか初対面の人以外は特に気にも留めなくなってます。何より本人がとことんポジティブ思考の持ち主なのでまったく気にしてないようですが…

　なお、Ｓ氏は私にとって直属の上司ではなく、部署違いながら一応上位管理職なので上司の一人と言えます。

　そんなＳ氏ですが、たしかに彼は我が家のアボジに比べれば何となく仕事している人間というオーラが出てますし、普段も身だしなみ（特に服）にこだわりがあるらしく、見方によってはかろうじてダンディと言われてもおかしくないタイプかもしれません。ただ、やはり問題なのはその一種過剰とも言えるうぬぼれにあります。

　ついこの間、給湯室で同僚の女性数名が世間話をしていたのを偶然耳にした際、彼の話題が持ち出されてました。
「Ｓ氏（注：本当は肩書きをつけてますが便宜上こう呼ばせていただきます）ったら、こないだご機嫌で鏡の前で表情作ってこんなこと言ってたのよ～。
『俺ってやっぱり髭が似合う顔してるなぁ。まるでジョニー・デップ。いやジャック・スパロウって言ったほうがいいかなぁ』
って…」
「それってマジで？　いや～ん、思いっきりイメージ崩れちゃうよぉ…」
「ほんとよく自分で言うよね～」
「ジョニー・デップに失礼って感じだわ…」
　
　いやはや予想の範囲内の言葉でしたが、何とも手厳しい…。
まぁ目の前で見知らぬ中年男がうっとりしながら自分をそう言い切る発言をしたなら誰でも間違いなくそうダメ出しするでしょうけれどね。

　それにしてもいかに自分に酔いしれているとは言え、よりにもよってジャック・スパロウとは…
　全世界のジョニー・デップファンを敵に回したなと思った私。

　ちなみに私から言わせると件のＳ氏の髭のついた顔を喩えるとすれば…
よく言えば髪も含めてある種求道者のような一風変わった風貌で、野口英世や近衛文麿みたいな感じと言えば想像がつくかもしれません。
（ある同僚は以前、Ｓ氏を秘かに「ちょっと稲川淳二みたいだ」と言ってました。他に藤竜也とか羅将ハン説もあり）

　だけど、外で雨に打たれて職場に戻って来た時や残業時とか夏場に汗でぐっしょりした時などは、古いところでは宮史郎、今で言うと限りなく世界のナベアツっぽく見えます。