Puzzle

　同僚ＫとＮは庵主と同期就職組で、今では部署こそ違うものの時々職場内で話す仲。お互いそれなりに忙しい立場ということもあり、顔を合わす機会は激減したものの、先日、昼休み時間にかなり久しぶりに顔を合わしました。

　その日、彼らは庵主が来る前から遅めの昼休みをとっており、後から行った庵主を見ると互いに「よぉ～元気？　忙しいの？」なんて言葉が交わされました。皆同い年であり、多少のブランクがあるもそれなりに話の合う者同士だったので、徐々に会話が出来ていったのは言うまでもありません。

　やがて、暇つぶしに手持ちのパズル本で英単語クロスワードをやっていたＫがおもむろにＮへ質問。
「…うんと、英語で『動物園』ってなんて言うんだったっけ？」
「はて、何だったかなぁ、う～んと…」

　庵主にはすぐに答えが思い浮かびました。でも、せっかくＮが質問されたのだし、ここは彼に譲るべきだと思いあえて口に出さないことに…
約30秒ほどの短い沈黙の後、Ｎはおもむろに握りこぶしを突き上げつつ、さも「我、答えを見つけたり！」と言わんばかりの晴れ晴れとした表情で

「サファリパーク！」と言い放ちました。
その瞬間、心なしかＫの顔が呆れ顔っぽく見え、当然庵主もまた内心で苦笑するしかない状況に…

「おーい、３文字でよろしく～」
「えっ、は、あ、あ～、３文字ね。う、うん、じゃあ、えーと、アニマル…」

（と言うか、アニマルとか言ってる時点で３文字オーバーですやん！）
心の中で思いっきりＮへ突っ込む庵主。悪いとは思いつつも、どうもじれったくなってつい答えをＫのパズル本の余白にペンで書き入れました。

「おー、そうだったそうだった。ナイスフォロー花郎徒！」
書き込まれた「ZOO」の文字にＫは満面の笑みで納得。一方のＫはと言うと…

「こんなんだったっけ？　普通使わないよなぁ日本じゃ…」
と半ば負け惜しみ気味。

　まぁそう思うのも無理ないようにも思えるけど、これってたしか中学レベルの初歩的単語（注：庵主が習った頃の基準ですから、学習要綱が変わったであろう今はもしかしたら小学校低学年でも習うかも…）だったはず。
　もっとも、サファリパークとかアニマルランドなんて商業単語・和製英語が蔓延してるわが国では、今更ながら陥りやすい錯覚であり、記憶に残らず通じない単語の一つなのかもしれませんね。