ファミリー メンタル クリニック

児童精神医学,サッカー,時にテレビや映画、Macのネタ。
要するにひとりごと・・・

上司が話を聞きたいというのは分かるが・・・

2011年02月15日 | 精神保健・医療行政
これは、本当に心療内科だけの特殊事情だろう。(最近は 精神科と看板を挙げずに、心療内科とぼかして看板を挙げる戦術に出ている、自分も含め)

うつ病 ぱっと相談とかテレビでスポットCMが流れる沖縄県。
保健所の電話番号が映される。
保健所の電話番号よりも、同じ公務員同士でうつ病についての啓蒙活動に予算を使ってくれと文句を言いたくなることがある。

きっと、予算は多くもらったが、どうして良いか分からないので、予算消化に2月のこの時期にスポットCMを流しているのだろう。
精神保健行政に関しての沖縄県のやり方については、色々と言いたいことが山ほどあるので、少し厳しく指摘する。

さて、うつ病という病名もしくは「うつ」という単語が一人歩きしている面が気になる。
案外、どこの職場にもいるのだが、上司はたいてい 気持ちの問題、根性が足りない、甘えていると解釈していることが多い。
そんな上司に限って、心療内科の医者も部下の主治医なので部下に命令をするつもりで、部下の病状について話を聞かせてくれと平気で電話をしてくる。

ちょっと待って考えて欲しい。
例えば、部下が白血病になったときに病状を聴きたいと簡単に電話を、診療所にいれるだろうか?
病状というのは極めて個人的な問題なのである。
100歩譲って病状を説明するとしても、我々医者は忙しく、患者さんの治療だけで手一杯である。
もっと、細かなことを言うと、厚生省や社会保険事務局は患者さんの治療意外に保険診療を認めていないのである。
上司が病状を聴きたいと言うときに、その医師の時給を計算し30分時間を拝借するので時給分相談料を支払うつもりはあるのだろうか?
また、その上司に保険外の時間をとっている間に、実際にクリニックで治療費を支払っている患者さん達は待たないといけないのだ。そんなことまで考えているのだろうか?

話は違うが、1時間目から6時間目まで授業の入っている小学校担任に子どものことで聴きたいことがあるので、1時間授業を空けて話を聞かせて下さいと言うだろうか?
我々はホントに診療に日々忙殺されているのだ。

1000歩譲って、病状を30分説明したとしよう。
それでどれだけ対応ができるのだろう?
その上司は、うつ病について対応するような情報を自ら得ようと努力したのだろうか?
あまりにも簡単に考えてないだろうか?

まあ、気持ちは分かるが、そんなことがあるので、産業保健師がいて、産業医がいるのじゃないだろうか?
ちなみに、ボクは一生産業医の資格を取るつもりはないけど。
そういうことが苦手なので、児童を診ることにしたとは言わないが。

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