昨日(平成27年8月22日(土))学術講演会があった。勝手にタイトルを「菊山裕貴 夏季講座 2015」と名付けて参加した。
今回で連続6年開催されているようだ。3回参加した。
某製薬会社からアナウンスがなかったことや、小年サッカーの合宿で忙しくて参加できなかったりと。
今回は、「単一精神病論 ー神経発達障害 統合失調症 躁うつ病の関係性についてー」
と、題して講演.
ざっくり言えば,DSM5で Neurodevelopment disorder 主に精神遅滞(MR) ADHD 自閉スペクトラム症(ASD)と関連する責任(原因)遺伝子は、
かなり重複している.
そんな説明があった。
症状レベルで言えば、ADHD LD ASD (MR)が重なって症状が出てくることが多い、と日頃外来で説明している。
教師も保護者も、あまり診断は何ですか? どこそこでの診断では、A だった、ここではBなんですか?とか
A,と診断され,Bとも診断されるって ウチの子は2倍重いんですか?
みたいな質問には意味がないなあと思っていたことが,今回の講義でクリアになった。
また、これまでの講演ではSC{統合失調症,かつての精神分裂病)BPD(ボーダーラインでなく,双極性気分障害,躁うつ病)の遺伝子レベルでの共通遺伝子について聴いていた。
今回は,SC BPD ADHD ASD と遺伝子レベルでの共通性を確認.
それにIQを横断的に見て天才論と,精神疾患までテーマが広がっていった。
遺伝子レベルのことは分かった.それじゃ疾患の性差をどう見るか?
発達障害(ADHD ASD)は圧倒的に男性に多い,一方うつ病は女性に多い.
統合失調症、躁うつ病は男女比が同程度.
これは形質発現のメカニズムの差、または、そもそもの精神発達の過程に男女差があるのだろうと。
(難しい話を抜きにして,男の子は同年齢の女の子と比べると幼いよね。実感する。
女性はとにかくエモーショナルに反応しやすいし。痛感する(笑))
外来で日々診ていると、発達障害自体の症状が、診断基準上のオーバーラップがあり、
発達障害と診断されていた思春期以降のの患者さんが、不安障害,気分障害、中には統合失調症となることを横断的に見ている。
(遺伝子レベルの話よりも数10年前,アスペルガー症候群は精神分裂病類似の疾患として記載されているのだから、症候学的にも病態が重なる部分は大きいわけだ)
さてエキサイティングな講義で、思った事は,
これまでは Disruptive Behavior Disorder とカテゴライズされていた ADHD ODD CD が
DSM5で Neurodevelopment disorder 主に精神遅滞(MR) ADHD 自閉スペクトラム症(ASD)にカテゴライズされた。
ならば epigenetics的には ADHDとODD CDとの違いは何だろう?
そして、これまで DBDマーチと言われ、反社会性人格障害となっていく一群は遺伝子的にADHDとの違いがあるのだろうか?
それを質問した.
これは、これからの菊山先生の研究で教えて欲しい。期待しています.(って自分で勉強しろよ と言われそう)
遺伝子レベルの話,現場では、これってこんなことだよなあ と思う事が,研究の成果、類似点があって・・・と言われ納得する.
臨床が研究の中に再帰性を発見する。
似た様なことが統計学にも存在する.
感覚的に,こんなことがあるんだよなあ と思っていて,研究者が統計学的な説得をすると、ほらね俺の思っていた通りだ,と。
講義の感想で,これだけ饒舌になるというくらいにはエキサイティングな講義だったということは、本ブログで伝わっただろうか。