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中国の深刻な環境問題が更に解決困難に

2019-09-15 10:37:40 | China
日本の気象庁は国土交通省の管轄で、環境省管轄ではないが、「PM2.5分布予測」という大気環境に直結した情報が、毎日気象庁によって発表されている。


この分布図からも明らかなように、日本にも影響のあるPM2.5の発生原は主に中国内陸部。


中国では以前から深刻な大気汚染により毎年110万人が早期に死亡すると指摘されている。(香港中文大学の研究報告などを元に、米NYに本部を置く「新唐人」という中国語ニュースで2018年10月26日に放送された内容)


これまで習近平指導部が力を入れてきた大気汚染対策が困難に直面しているらしく、米国との貿易摩擦などにより中国経済減速が顕著となる中で、一部の地方では経済成長を優先させ、環境対策の規制が緩和されるなどの動きがあることが今年の3月11日に全人代大会に合わせて会見した李干傑・生態環境相によって指摘。


同氏によると、2018年には中国338都市で微小粒子状物質「PM2.5」の平均濃度が前年比9.3%下降という成果を示しながらも、338都市のうちの約3分の2がいまだに空気汚染の基準値を超えているそうだ。


大気汚染の原因となるために、中国では石炭から天然ガスなどへのエネルギーの転換を進める一方で、石炭の消費量が更に1.0%増となっており、やはり減少には至らず、エネルギー消費量全体に占める石炭の割合は以前として6割近い59.0%に上るのだそうだ。


中国当局の発表とは別にロイター通信は、2018年10月以降中国北部の39都市でPM2.5 の平均濃度が13%上昇、と報じており、過酷な規制への「リバウンド現象」とも表現。


生態環境相の李干傑氏が「経済の下押し圧力が大きいため、一部の地方が規制を緩めている」と問題視する一方で、李克強首相は3月5日の政府活動報告の中で「是正や改善が必要な企業には時間を与えて『単純で乱暴な措置』を避けるように」と指示するなど、中国の環境への取り組みはむしろ減速している。


石炭火力発電所からの煙が上空に上がる。中国寧夏回族自治区石嘴山市。

寧夏回族の位置。

中国の抱える問題として、環境問題と経済の問題が表裏一体であり、地域格差などで更に解決を困難にしているともいえる。


また、中国において「大気汚染」よりももっと深刻な環境汚染として、地下水や河川の汚染などの「水資源の汚染」が深刻であることが指摘されており、地下水の過剰なくみ上げと共に「中国の石炭離れが深刻な地下水汚染を促す」などとも言われているらしい。


シェールガス開発に伴う問題
中国陝西省の小壕兔郷で地下水の汚染が疑われており、シェールガス開発に伴うフラッキングが原因となった可能性が指摘されている。1万7000人の住民による訴えでは、巨大国有エネルギー会社中国石油化工(シノペック)が10年に渡り何ら規制を受けることなく天然ガスを採取し続けた結果、地下水がひどく汚染されてしまったのだそうだ。


石炭への依存を減らし、クリーンなエネルギーへシフトする政策が、皮肉にも新たな汚染を生む懸念を拡大させたという構造らしい。


重金属による地下水汚染の問題
ドルトムント大学国土計画学博士で中国の環境問題の専門家である王維洛氏は、「水不足と河川の汚染が日増しに深刻さを増す中国では、重金属に汚染された地下水の汚染が既に深層部にまで達しており、浄化には千年かかる」などと指摘。


「深層の地下水」とは、地層の最も下にある隔離された水脈で、岩盤層よりも下の地下水のことで、深層の地下水は隔離されているために地表の水と交わることは殆どなく、ここが汚染されるときれいな水と入れかわることが非常に難しいことを意味している。中国公共環境研究センター主任の馬軍氏によると、地下水汚染は様々な原因が絡み合っており、汚染範囲も広く、対策と管理が難しいと指摘。


王維洛氏によると「地下水汚染の主な原因は地下水の過剰なくみ上げ」であり「それにより地盤沈下の問題が生じ、北京を含む広大な平野である華北平原では地下水の水位が数十メートルも下がり、その上に建築された建物や道路インフラなどが危険に晒されている」と指摘。「地盤沈下が起きてしまったら、その上の建物は倒壊し、道路には亀裂が入り、パイプラインの断裂なども起こり得る」と警告している。


四川環境保護活動家で作家の譚作人(タン・ツォレン)氏によると「都市部の水源確保は大きな問題があり、現在多くの都市が一つ目の水源の水量が減ったために、二つ目の水源を確保しようとしている」と指摘。「例えば、河川の水量がどこも3割から5割減ってしまった一方で都市部の水消費量は倍増し、需要と供給の問題が生じている」と述べている。


余談だが、同氏は2008年5月に発生した四川大地震の学生児童死者数の調査を行ったことで、2009年頃「国家政権扇動転覆罪」の容疑で逮捕拘留されたこともあるようだ。

引用:


■三峡ダムによる環境破壊
人口13億8600万人を抱える中国では、洪水抑制・電力供給・水運改善を主目的として、長江中流域の湖北省に大型重力式コンクリートダムの「三峡ダム」を1993年に着工し2009年に完成させている。


「世界最大の水力発電ダム」である三峡ダムの水力発電所は、2,250万kWの発電が可能で、中国の年間消費エネルギーの1割弱の発電能力を有し、電力不足の中国において重要な電力供給源となり、火力発電と比べ発電時のCO2発生も抑制できると期待されていた


同ダムは長江三峡のうち最も下流にある西陵峡の半ばに建設され、貯水池は宜昌市街の上流の三斗坪鎮に始まり、重慶市街の下流にいたる約660kmに渡り、ダムがつくられることで下流域の洪水を抑制するとともに、それまで重慶市中心部には3,000t級の船しか遡上できなかったのが、10,000t級の大型船舶まで航行可能とし、長江の水運に大きな利便性をもたらすことも期待されていたそうだ。


しかし、その期待と裏腹にこのダムの建設が中国にとり、深刻な環境破壊と社会問題を引き起こしているようなのだ。


■ダム建設に伴う深刻な社会問題と環境問題
早くから建設過程における住民110万人の強制移住、三峡各地に残る名所旧跡の水没、更には水質汚染や生態系への悪影響等、ダム建設に伴う問題問題がなど数々の問題が指摘されている。


三峡ダムの初期の建設企画に参加していた前出の王維洛氏博士によると、同ダムの建設については「中国当局が政治問題として扱い、根本から科学的理論に乖離しており、過ちをあまり認めない中国当局は、このダム建設から生じる自然災害などの問題をさらに深刻化させ、最終的には収拾のつかない事態に至るのは間違いない」と指摘している。


貧困層に転落した「三峡移民」
ダム工事に伴い強制移転を余儀なくされた住民の数は140万人に及び、これらの「三峡移民」の多くは充分な補償も受けられないまま貧困層へと転落。中国当局は2007年9月時点には2020年までに、更に230万人を移転させると公表しており、2019年現在の現状についての詳細不明。そのいくつかを紹介。


水質汚染と生態系への悪影響
そもそも2003年に同ダムでの貯水が始まった当初から指摘されていた様に、長江沿岸の水質汚染や、生態系への悪影響などの問題が浮き彫りになり、一部の水域で、大腸菌群や浮遊物による汚染が発生していることも明らかになった。


専門家らは、三峡ダムの水没地及び周辺地域からの汚染物質の流入により長江流域、黄海の水質悪化、および生態系への悪影響を懸念。例として2002年以降、日本沿岸で大量発生し、深刻な漁業被害をもたらしたエチゼンクラゲの異常繁殖の要因は、三峡ダムによる汚染との説もあり、四川盆地での深刻な干ばつも、同ダム建設が招いた結果であると環境問題の専門家は指摘。


大地震と大規模水害を誘発する危険性
専門家が、蓄積された水の重さにダム付近の岩盤や地質が耐え切れずに強い「地震」を引き起こすのではとも指摘。内部情報筋によると、中国当局は1993年から同ダム周辺の地質調査を行っているが、その関連資料が国家極秘機密となっており、地質学専攻の温家宝・総理も地震の危険性を非常に憂慮しているという。


2003年貯水が始まってからわずか1ヶ月、付近の秭帰県沙鎮渓鎮で大規模の地滑りが発生し、中国当局は死者24人と公表したが、ドイツの国際放送局ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)が四川省在住の地質学者・範暁氏の情報を引用、被災地の農民の証言により、死者が約100人に達したと報じた。


万一何らかの理由でダムが決壊した場合、長江流域に未曾有の大惨事をもたらすのは避けられないと言われている。

参考:


王維洛博士は「今となっては、ダムを爆破し、取り壊す最後のチャンスである。これから数年が経つと、ダムに土石などが溜まるため、この作業ができなくなる」と指摘しながらも、中国当局が三峡ダムの建設問題を解決する可能性はほぽないと、悲観的な見方を示した。その根拠について、同博士は以下のように明かした。


「この世界最大の水力発電ダムの建設について、当時の最高指導者江沢民などの主要メンバーからなる中国共産党当局が当初から、『社会主義の優越性を表す』と宣伝し、1986年、当時の故・趙紫陽元総書記が政権内部のダム建設反対の意見を憂慮していたものの、鄧小平元国家主席が、『これは政治問題であり、どんなに反対されても必ず三峡ダムを建設する』と主張し、1992年、第7期全人代第5回会議にて三峡ダムの建設を採決する際に、最高指導者であった江沢民は共産党の代表に対し、支持票を投じるよう指示し、最終的に、3分の2の共産党代表が支持票を投じ、建設が最終決定された」との内幕を明かしている。


世界最大の水力発電ダムとされる三峡ダムは共産党幹部の「社会主義の優越性を示す」目的もあったために政権内部の反対を押してつくられ、今では中国の環境を脅かし続けるモンスターになっているようなのだ。


引用:






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2 コメント

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PM2.5の影響 (泉城)
2019-09-23 00:50:02
kamakuraboyさん、こんばんは
リンクしているtenki.jpでみると、日本列島は中国のPM2.5で全体が覆われていることがありますね。

黄砂は車のボンネットやフロントガラスに付着するので目立ちますが、PM2.5は目に見えないので普段は知らずにいます。
あらためて中国のPM2.5が日本に大きな影響を及ぼしていることを確認しました。人間の健康だけでなく愛犬にも健康被害があると知りどっきりです。
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おはようございます。 (kamakuraboy)
2019-09-23 09:45:59
コメントをありがとうございます。PM2.5が70μg/m3を超えているときには不要不急の外出は避けた方がいい、とありますね。特に呼吸器系に疾患がある人は微量でも影響が出るそうです。地域ごとの大気汚染情報は「そらまめくん」
http://soramame.taiki.go.jp/
も詳しいようです。
中国が発生原であることが殆どのようですし、中国人にとっても改善すべき課題なのに、取り組みがきちんとなされていないようで深刻ですね。
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