美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

学年通信 2014年2月14日

2014年02月14日 | 学年通信

◆「なぜやるの。」から「とにかくやってみよう。」へ― 意図的学習と偶発的学習について

 今年、君たちはいよいよ高等部最高学年になります。また関西学院は125周年を迎えます。BACKCAST(未来から今を見ること。)の視点から考えると、この先130周年、150周年、200周年を迎える関西学院高等部に入学する未来の高等部生たちに残すべき「伝統」は君たちが創るわけです。そこで是非考えてほしいのは高等部が大切にしているリベラルアーツという言葉です。

(リベラルアーツ:文理にとらわれず広く知識を身につけながら、創造的な発想法を訓練する教育システム)

つまりこの教育によって、すぐ明日に役立つとは思えないが、この先、必ずどこかで役に立ち、また考えもしなかった所でその学問、学んだ経験が役に立つという、一流の人なら誰でも経験的に持つ「学び」の本質です。

 

英語教育の専門分野でも次のような研究がなされています。

・「意図的学習」(intentional learning) あることがらを身に付けようとして行動や経験をした結果、それが身に付く場合。

・「偶発的学習」(incidental learning)   身に付けようとした事柄とは別な事柄まで身に付いてしまう場合。

短時間なら、意図的学習によって、決められた語彙を記憶することは可能であるが、そのことによって学習された単語は容易に忘却されてしまう。長期的には記憶再生の効率(しまい込んだ引き出しを開けること)は非意図的な偶発学習の方が優位である。

 

 高等部は英語・数学・国語・社会・理科と同様、宗教はもちろん芸術も体育も読書も家庭科も大切にしています。古代ギリシア・ローマからの人類の学問の目的を堅持しています。それらは優れたバランス感覚を生み出す思考の基本となるもので、君たちは懸命に全ての教科に取り組んでいます。

 先日、新たな万能細胞を発見した小保方晴子(おぼかたはるこ)さんに関する記事です。

「彼女は大学時代、化学の基礎を講義と実験で身につけた。実験器具を使って一定の濃度の溶液を素早く作る技術を身に付けた。また部活はラクロス漬けの日々を送った。(中略)再生技術とは無縁の世界だった。また再生医療の第一人者の岡野教授も医学だけ、工学だけ学んでいても新しいものは生み出せない。彼女は異分野融合の申し子だ。」[ 読売新聞 2014/2/6付]

 彼女は意図的に化学の基礎を身に付け、再生医療の分野に進み、偶発的にあのSTAP細胞を発見しました。しかし実はこれは偶発ではなく必然なのです。そして意図的なものと偶発的なものがそれこそ化学反応を起こした瞬間なのです。

 これから英語は大切と言われています。しかし同じく大切なのは「感性」です。

それは様々な教科を学習し、論理的思考力を養い、直観力を養う。そして偶発的な真の直観を待ち構える。そういう意味で高等部は全ての教科を大切にし、人の役に立てる君たちの「直観」を創造する教科を設定しているのです。君たちはこの伝統を受け継ぎ、未来へ手渡す担い手となってもらいたい、これが関西学院高等部の思いです。

 

◆GTECの活用

英語検定のように合否を問うテストではありませんが、自分の弱点を知り、次のGTECテストへの取り組みを通して英語力を鍛えようではありませんか。

参考:大学入試合格者の高校2年生時の平均スコア

関西学院大(522) 関西大(501)  同志社大(551)  立命大(516)  神戸大(558)  大阪大(584)  静岡大(496)

 

◆1月25日(土)先輩を招いて

この日は、山田晋三さんの全体講演のあと、自分の興味のある先輩の話を聞いてもらいました。今、社会で頑張っている先輩たちのメッセージをたくさん受け止めてもらえたでしょうか・・・

山田さんからの7つのメッセージ

1、どんなことでもいいからホンキでやる。

2、どんなことでも何か狙い(Plan)を持って取り組む

3、ちょっと出る杭は打たれる。出過ぎてみよう!

4、ネガティブな情報や人がどうだらこうだらってのは捨て、自分のできることのみに集中する。

5、1つだけでええから、誰もができることを誰もができないくらいやり続ける。

6、英語はできなくてもいい。だけど外国人には態度だけは負けたらあかん。遠慮という概念を捨てる。

7、成功するかしないかは僅かな差です。スポーツも人生も同じです。その微差のために毎日地道に戦えるかどうかが勝負の分かれ目なんです。それを忘れないでください。

 

  感想コメントより

それぞれの進路の良さを聴けた。  小さなことをコツコツと続けていくことが大切だと聞いてそうだと思った。  こういう道もあるんだと知ることができた。  興味を持ったことを追求する。  大学の学部はどこが良いかではなく、自分が何をしたいかで決めるものだと思った。  濃かったです。  元気をもらいました。  自分の好きな道に進んでいる、好きなことができるようになりたい。  今しかできないことがやっぱりあるのだということに気づいた。  仕事にはいろいろあるけど今から繋がっていることに気づいた。  自分を客観的に観ることの大切さを知った。  すごい人なのに普通の人に見えた、本当にすごい人は自然体に過ごしているのだと感じた。  今のうちに本よまなくちゃ。  親からも進められていた会社で、行きたいという気がわいた。  高3の1年間はすごく大事だということ。  自分の考えが広がった、進路も見つめなおしたい。  大人になるって大変、でも人生1度きり、本気で生きたいと思いました。進路についてもっと詳しく考えようと思った。  仕事はお金でだけではなく、自分が生きがいを持てるかという事が大事。  自分も本気でやろうと思った。  まだまだ自分の知らない社会があった。  趣味を持つという事は大切だと思った。  今できることに全力で向かい、真面目にやることが1番良い道だと思った。  夢を持つ大事さを教わった。  本を読むことや、偏った考え方をしないことの大切さ。  やはりやりがいを感じれる仕事に就きたい。  自分が今学んでいることは決して無駄なことではないという事を学んだ。  留学をしたいと思った。  小さいことから積んで、狙いを定めて目標を達成し続けようと思った、本気で。  将来が楽しみになった。  英語は必須である。  勉強頑張ろうと思った。  仕事というより生き方について教えてくれた。  そろそろ真剣に考える時期だと思った。  どんなことにでも柔軟に対応するのが大切だと思った。  自由な時間の活用。  学生の間にたくさん勉強しようと思った。  リアルな声を聴けて良かった。  自分に合ったことをしっかりすることが大切。  本気でやれば何でもできる。  何事も手を抜かないことの大切さがわかった、まず英語から頑張る。  時間を大事にしたい。  今をおろそかにしてはいけないと思った。  就職してからでも地道に努力すれば夢を追うことができると感じた。  大学でやることと就職は必ずしも一致しない。  出過ぎた杭は打たれない。  将来を深く考えてみたい。  とても貴重な話で感激した。何か突出するものを自分の中に持ちたいと思った。  人とのつながり、今すべきこと、考えれば考えるほど難しいが、自分と向き合っていくことの大切さを学んだ。  もっといろんな人の話を聴きたい。 本気でやれば夢は叶う。  良い、悪いをすぐに決めつけないようにと思った。  本気で取り組む人間になりたい。  夢を大きく持ちすぎていたので、一歩一歩やっていきたい。  物事を突き詰めることで見えてくるものがあるという言葉はとても勉強になった。  大人になっても勉強することが大切だという事がよくわかった。

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