太陽に染め抜かれた帆布のトートバッグを見つけることから始めなければならない。ファスナーが壊れた革の鞄を部屋に置いて、街のどこからか上がる花火の音を頼りにして、鞄作りを始めてから百一年目の職人の家を探して、歩いて、職人の頬は真っ白な髭を蓄えているに違いない、なんて訳もなく想いながら歩いていく。
やがて日蝕が始まる。黒い砂時計。黒い砂が太陽から時間を奪っていく今、全てを曝け出すところから出発しなければならないのに、曝け出せるような実体などないのだ。ただもがいている虚ろな肉体。朽ちることすら許されない。朽ちることすら幻。職人は何処にいるのか。真っ白な髭は闇を知らない、そう信じて、空へ耳を澄ます。花びらが開く音を見つけて、白い大輪の花が街を抱いていく。黒い太陽が戴く冠、100万℃の真珠。
街を歩いて百一年目、僕は帆布を太陽で染め上げて、鞄を作り上げる。たっぷり入るトートバッグでなければならない。百万語に及ぶ台詞を詰め込んで、祈りが吹き込まれた肉体、銀河に名を馳せる名優がダイヤモンドの王女に逢いにいくのだから。
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「存在」というテーマで書いてみました。
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やがて日蝕が始まる。黒い砂時計。黒い砂が太陽から時間を奪っていく今、全てを曝け出すところから出発しなければならないのに、曝け出せるような実体などないのだ。ただもがいている虚ろな肉体。朽ちることすら許されない。朽ちることすら幻。職人は何処にいるのか。真っ白な髭は闇を知らない、そう信じて、空へ耳を澄ます。花びらが開く音を見つけて、白い大輪の花が街を抱いていく。黒い太陽が戴く冠、100万℃の真珠。
街を歩いて百一年目、僕は帆布を太陽で染め上げて、鞄を作り上げる。たっぷり入るトートバッグでなければならない。百万語に及ぶ台詞を詰め込んで、祈りが吹き込まれた肉体、銀河に名を馳せる名優がダイヤモンドの王女に逢いにいくのだから。
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「存在」というテーマで書いてみました。
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