なにぬネコ書店

詩とか、日記とか  (榎本初=えのうい)

月の覚え 其の一

2006-09-11 00:33:19 | 詩を書く
 でこぼこした地平に、蟋蟀のまっすぐな声の中に、夕闇がかぶさっていく。送電線が幾重にも緩やかなアーチを描いて、鉄塔から鉄塔へとリレーしていく。月は、生い茂った草むらの裏側の水たまりを無造作に揺らしながら、クレーターの輪郭を整えながら、限りなくまあるくなろうとしていた。