25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

世良修蔵と奥羽越列藩同盟

2016年09月06日 | 社会・経済・政治

  世良修蔵という東北鎮撫総督府下参謀となって第二奇兵隊の大将を務めた卑しい男がいた。会津を攻めるため、仙台に到着すると、武士の礼儀もわきまえず、この男とこの隊は女を強姦し、酒に溺れては、女を強姦するという振る舞いであった。さすがNHKの「八重の桜」ではこにのすさまじさは描けなかったのだろう。この男の所業が、奥羽越列藩が薩長軍と和平工作しているところに、火をつけたようなものだった。仙台藩の武士たちが怒りに耐えかねて、この男を斬首してしまうのである。この噂を聞いた奥羽越列藩の武士たちは喝采をしたらしい。それほどひどい、下卑た男だった。遊び金は水戸藩から出させ、商家を脅迫してお金を出させる。女を犯す。人は殺す。

 この暗殺で奥羽越列藩同盟、中でも会津藩、二本松藩、長岡藩などの惨劇が起こることになった。潔い奥羽の武士たちも「官賊」と対決することになった。世良修蔵ひとりがどれだけの老若男女を死に至らしめたか。

 歴史で「もしも」「だったら」は禁句であろうが、一人の地位ある人間の振る舞いが、多数を死に至らしめるということは知っておいた方がよいと思う。

 思えば、薩長政権はすでに148年続いている。吉田松陰が唱えた外国進出は長州陸軍によって、昭和12年より展開を見せた。そして外国人も日本人にも多大な命を失わせ、敗戦となったが、まだその政権は今も脈々と続いている。そして東北はいつも関東や西側に支配され続けている。福島になぜ東京電力があるのか、考えただけでもわかる。

 すでに莫大な借金で消費をあおり、経済成長主義、アメリカに追随するグローバル主義を主張する中央集権体制は崩壊しつつある。地方分権、道州制など現政権が許すわけがない。ところが地方はどんどん凋落し、東京開発が闇の中で進み、マスコミは取材能力と発言力がないとなれば、これは崩壊の兆しである。