・機能性食品Functional food きのうせいしょくひん
平成27年(2015年)4月に、新しく「機能性表示食品」 制度がはじまっていました。
国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができます。
生鮮食品を含め、すべての食品が対象となります。事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
食品には、3つの機能があるといわれます。
1]栄養、2]嗜好、3]生体調節面での働きに分類し、生きていくために必要な「栄養」となる第一次機能、色、味、香り、歯ごたえ、舌触りなど食べた時に「おいしさ」を感じさせる第二次機能、そして生体防御、体調リズムの調節、疾患の予防、疾病の回復調節など「生体を調節する」第三次機能といいます。
近年取りわけ、第三次機能が、人間の健康の維持と増進のための機能として注目しています。三つの機能があるという考え方を食品機能論としています。医食同源、薬食同源ともいわれる所以ともなっているようです。
食品の働きとして栄養→嗜好性→体調面での調節へと研究が進んでいるといいます。
日本では1910年に鈴木梅太郎の発見したオリザニン(ビタミンB1)に始まり、1960年代からの高度経済成長期に入り、人々の栄養状態が改善すると、次のステップとして、食を楽しむといった嗜好面の研究が始まりました。
1980年代に入ると、食の問題は、飽食・偏食の食生活、高齢化によって、その結果生じる肥満や生活習慣病などのさまざまな病気との関連についても研究が進みました。
栄養学Nutrition scienceとは、食事や食品、その成分である栄養素がどのように生物の中で利用されたり影響しているかを研究する、栄養に関する学問としているのが一般的です。以前は、「栄養のことを考えながら食事をしていたらまずくなる。栄養=まずい」との考えが一部にあり偏(かたよ)りのある食習慣が見受けられました。私は、栄養とは心身共に受け入れられる食事であってこその食品であり料理であると考えます。よって「栄養」=「食品機能論」と思います。経済状態、栄養学の進展、高齢化により嗜好・生体を調節する生理機能の解明が進んだのではないでしょうか。
食品の栄養、生理作用が次々に明らかになり食を改めて見直すことにより、生活習慣病を未然に防ぐための研究が進みました。1984年、当時の文部省で科学研究の重点領域と位置づけられた「食品機能の系統的解析と展開」の研究班によって、「食品機能論」を提唱しています。
1991年に特別用途食品(トクホ)、2001年に栄養機能食品、2015年4月1日に機能性表示食品の仕組みを、それぞれ制度化しています。現在、この3種類の食品は、一緒にして「保健機能食品」とし病気を薬で治すのではなく、病気にならない生活習慣を心掛けようという考え方によっています。食習慣は病気の予防に大きく関わっています。食品成分と体のかかわりを解明する生理作用の研究の重要性は益々増大しています。
機能性表示ができるために必要なエビデンス<科学的な根拠>(「臨床試験」または「研究レビュー」)が揃っていることが必要です。機能性表示食品の公表件数は、初年度の273件から2017年4月12日時点で、834件、2020年3月1日現在の届出件数は2759件と増加し生鮮食品、加工食品、サプリメントなどのさまざまの形で登場しています。
例として
還元型コエンザイムQ10(疲労感を軽減する:サプリメント)、ヒアルロン酸Na(肌の水分を保持:サプリメント)、ビルベリー由来アントシアニン(目の調子を整える:サプリメント)、ビルベリー由来アントシアニン・ルテイン(眼の疲労感を改善、ルテインは網膜の黄斑色素を増やし目の黄斑部を守る:サプリメント)、サラシア由来サラシノール(糖の吸収を抑える機能:サプリメント)、
非変性Ⅱ型コラーゲン(関節の柔軟性、可動性をサポート:サプリメント)、大麦β-グルカン(コレステロールを下げる機能、腸内環境を改善:加工食品)、リコピン(血中HDL善玉コレステロールを増やす:加工食品・トマトジュース)、
大豆イソフラボン(丈夫な骨を維持:サプリメント形式の加工食品・蒸し大豆)、DHA・EPA(中性脂肪を低下させる機能:加工食品・鯖水煮・鮭フレーク・鮪オイル漬け)、モノグルコシルヘスペリジン(末梢血流改善:加工食品・お茶・麦茶)、米由来グルコシルセラミド(肌の調子を整える:サプリメントなど)、ルテイン アスタキサンチン シアニジン-3-グルコシド DHA(ピント調節機能を助ける:サプリメントなど)、
GABA (γーアミノ酪酸:脳細胞で活性化し、血流改善:加工食品・サプリメントなど)、酢酸(内臓脂肪の減少:加工食品・食酢)、アルギン酸Ca(食後の血糖値上昇を抑える:麺類など)、アスタキサンチン(肌の水分保持:サプリメント)、イヌリン クロロゲン酸(お通じを改善:ゴボウ茶)、
β‐クリプトキサンチン(骨の健康維持代謝を助ける:三ヶ日みかん)、大豆イソフラボン(骨の成分を維持する:大豆もやし)、α‐リノレン酸(血圧が高めの方に適す:食用油)など、サプリメント、菓子類のビスケット類・飴類、お茶、魚、ヨーグルトと、加工食品に多く見られています。
機能性表示ができるのは必要なエビデンス<科学的な根拠>(「臨床試験」または「研究レビュー」)が揃っていることが必要であることから、やはり大手企業の独占市場となっているといえるでしょう。
生鮮食品の、野菜、果物、魚、卵、畜鶏肉類、乳類、穀類にもおおくの機能性表示が、認められているようです。食品成分表から、ビタミン類、ミネラルの多く含む食品として、中小企業でも機能性表示食品としてもいいのではないかと考えられます。
そこで、主な不足しがちなビタミン類、ミネラルの多く含む食品を調べてみました。
ビタミンA(皮膚や粘膜を守る:緑黄色野菜・人参760μg/100g)、
ビタミンB群(新陳代謝、成長促進、抗神径炎作用:肝臓、酵母、米ぬか)、
ビタミンC(鉄の吸収を高め、コラーゲンの生成、酸化・還元に関与:果物・野菜・柿70mg/100g)、
カルシウム(骨・歯の組織を形成、 血液凝固作用、鎮静作用:乳・乳製品、小魚類、胡麻、緑黄色野菜・牛乳165mg /150cc)、
鉄(貧血・倦怠感・手足の冷えなどの症状:豚肝臓6.5mg/50g)、
大企業による近年に注目しているのが、「機能性野菜」です。本来、野菜にごく微量しか含まれない、または全く含まれない機能性物質を特別な栽培方法、バイオテクノロジーなどの技術によってより多く含むようにした野菜です。品種改良により掛け合わの栽培方法も機能性野菜と呼んでいます。摂取しないほうが良い成分を制御する栽培も可能になります。
LED電球の光の色を調整し、栄養分を人工的に調節します。レタス類に、紫外線に似た青色のLED電球を強くあて抗酸化成分を葉に蓄えさせています。2010年に東京理科大学の研究で、マウスを使った実験でブロッコリースプラウトエキスを与え、スギ花粉によるアレルギー症状抑制を確認の報告があります。
高須農園の光合成微生物農法「ひかりれんこん」は、食物繊維、ビタミンC 、ミネラルの含有率が多く、歯ごたえがよいといいます。
タキイ種苗の冷涼地の春まき専用品種で高ケルセチンタマネギ「Dr.ケルシー」
日本で筑波大のチームは2019年にゲノム編集食品のトップバッターの高血圧予防の効果があるGABAを多く含むトマトがあります。
タキイ種苗は、品種改良で「こどもピーマン」を苦みが少なく、カロテン・ビタミンCを多く含む子どもでも食べやすいといいます。
村上農園でカイワレ2004年に商品化した植物性食品には殆ど含まないビタミンB12を含むスプラウトの量産しています。
切干大根のように干し野菜にすれば甘みや栄養素を高め、保存食としても重宝します。
などなど、他にも多くの機能性野菜を開発、販売しています。
ゲノム編集、代謝産物、栽培環境など様々な要因を考慮し、品種改良が進められAI(Artificial Intelligence:人工知能)、などの最先端技術の活用が盛んに始まっています。
不足しがちな、栄養素を多く含む食品の開発をした食品を機能性食品としているということが言えるのではないでしょうか
栄養バランスのとれた食事を心がけましょう!
野菜でも偏った食べ方をすると健康に負の影響を及ぼします。健康の維持に数多くの野菜を、その生理機能を意識し、五大栄養素の炭水化物・蛋白質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取することが重要と思われます。
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