・食生活改善の歴史Ｈistory of dietary improvementしょくせいかつかいぜんのれきし
日本における食生活改善の歴史は、明治の中頃より始まったといわれています。
明治29年(1896年)に書かれた「化学的食養長寿論」の中に日本で初めて「食育」という言葉が登場しています。福井県出身で陸軍薬剤監だった石塚左玄(いしづかさげん1851年-1909年)が用いていたとしています。
化学的食養長寿論では「人類は穀食動物なり」とはじまり臼歯を噛み合わせると、粒が入るような自然の形状でへこんでいるため、粒食動物とも言っています。
左玄の食養を実践する団体としては明治38年「帝国食育会」という団体が先に創設していましたが2年後にそれを解散して新たに明治40年(1907年)に化學的食養会を設立しています。その年の11月に、月刊誌である「化学的食養雑誌」を創刊し昭和17年(1942年)12月まで食養会で発行していました。
食養会は、石塚左玄が提唱した「玄米菜食を基本とした食養」を普及・実践する団体で精白しない穀類を主に、旬の野菜、豆、小魚、海藻を中心とする日本の伝統食を見直し、「食」を通じて健康になるというものです。
そして地方に先祖代々伝わってきた伝統的食生活にはそれぞれ意味があります。
その土地に行ったらその土地の食生活に学ぶべきであるという身土不二(しんどふじ:自然との調和）、一物全体、陰陽など、1928年にはマクロビオティック(食養を学んだ桜沢如一さくらざわゆきかず・1893～1966)の自然との調和の取れた食事法の中心思想もこのときに考えられています。
1910年(明治43年)には鈴木梅太郎によって発見され最初オリザニンと命名されたビタミンで一番最初に見出され結晶化しています。
大正3年(1914年)に佐伯矩(さいきただす:1876－1959 )によって営養(栄養)研究所を創設し栄養学としてのさきがけといわれています。大正7年(1918年)当時では、教科書や政府の刊行物では営養と表記していたものを栄えるという字には健康を増進する意味あいを含め栄養に統一するように文部省に提言しています。
1920年には、内務省の栄養研究所が現在の国立健康・栄養研究所を設立しその佐伯は初代所長となりました。
1945年の終戦直後には食料の生産供給の状態が悪く、1946年から食料として小麦粉や砂糖、粉ミルク（スキムミルク：脱脂粉乳）や缶詰めといった救援物資がアメリカから送られ1954年（昭和29年）には、学校給食法ができています。
その後は、キッチンカー（栄養指導車）を走らせたりしてフライパン運動や、栄養三色運動などによって、米を大量に食べる食生活から、その後は急激に小麦を使った食品や畜産食品やおかずの多い食生活が普及していきました。
急激に日本人の食生活も豊かになり、欧米化した食事によって生活習慣病の増加が見られるようになったのです。
このことから1983年には、動物性脂肪や砂糖のとりすぎを避けるという日本型食生活を提唱するに至っています。1985年(昭和60年)には、厚生省が「健康づくりのための食生活指針」の策定をしています。
昭和40年(1965年)代に入り長野県では、塩分の摂取量の問題から減塩運動(味噌汁・漬物)、具沢山の味噌汁、栄養指導、ひと部屋暖房運動、PPK(ぴんぴんころり)運動などを展開することになりました。
食物繊維の摂取量との関連により動脈硬化などのいわゆる生活習慣病が少ないことが認められ1970年代に入って明らかにされるようになったのです。
1977年にアメリカ合衆国で発表されたマクガバン報告では、1960年頃の日本人の食事は、摂取エネルギー中の脂肪の比率が低く炭水化物の比率が高く、理想に近いものと報告しています。
1980年代より植物に無機質(ミネラル)、ビタミンと異なる物質が人体にとって有用な、この物質をファイトケミカルと呼んで大きく分類するとカロテノイド類(βカロテンなど)、ポリフェノール(イソフラボンなど)、イオウ化合物(イソチオシァネートなど)の3種に分けられます。他にも発酵食品も重要です。
アメリカで１９９０年に発表された「デザイナーズ・フーズ計画」ですがデザイナーズフードともいいます。その食品は、重要度の増加の具合によってピラミッド型に三層に振り分けて表示されています。
食生活は、時代の変化に応じて、過剰摂取、不足気味の栄養素への注意を促しています。
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