・スクアレンSqualene すくあれん
スクアレン は、トリテルペン類に属す油性物質で鮫の肝油から発見している。オリーブ油にも含み、人体で生合成し皮脂の主な成分として分泌する。これに水素を添加して安定(酸化しにくい状態)にしたものがスクアランSqualaneになる。
生体内では酢酸よりメバロン酸を経て生合成し、内因性スクアレンといわれる。さらにスクアレンからコレステロールを経てステロイド・ホルモンの性ホルモン系(プロゲステロン、アンドロゲン、エストロゲンなどのステロイド・ホルモン)、副腎皮質ホルモン系(コーチゾン)、糖コルチコイド、電解質コルチコイド等のコルチコイド系、活性ビタミンD3等を生合成している。
生体内におけるスクアレンの役割は、栄養状態が悪くなった場合、またはリポ蛋白質少なくなった場合にコレステロールを増加させる可能性がある。この機構により生体内において必要とするコレステロールの量をコントロールしていると考えられる。
HDLは抗動脈硬化作用があるとされ、長寿家系ではHDLが増加していることが知られており、スクアレンがHDLに比較的多く分布していることは、HDLの機能におけるスクアレンの役割の検討が重要課題となる。
生体膜修復のための材料としてのコレステロールがどの程度必要であるかは明らかではない。肝疾患の経過においてコレステロールと異なった血中スクアレン濃度の変動がみられることは、スクアレンが生体に必要な物質の素材であることから注目している。
急性肝炎、肝硬変ではコレステロール濃度の低下がみられることが多く、肝疾患にスクアレン補給の意義が検討されることは大切であるし、スクアレン投与後の肝機能の有意な変動は認められていないが、GPTのわずかな低下傾向がみられている。
蛋白、カロリー栄養障害時には皮膚表層のスクアレン濃度が低下しており、肝疾患を含む疾病時においてスクアレンの必要度が増加していることも考えられる。
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