◎🍉西瓜・水瓜Watermelon すいか
これからの季節に最も似合うフルーツといえば、スイカですね。今年(2022年)の夏の土用の入りは20日、7月23日が土用の丑の日(8月4日:二の丑の日),そして23日が大暑(たいしょ)でした。一年で最も気温の高くなる暑い日です。
西瓜の日を7月27日として27を「つ(2)な(7)」(綱)とよんで語呂合わせからスイカの特徴とする縞模様を綱にみたて夏の綱と成るスイカの消費拡大を願って、生産者のグループが制定しています。
西瓜の漢字は西側の中近東を経て中国から渡来したことから西から渡来した瓜として用いられています。英語では90%近く水分を含み、ウォーターメロンと言われ、さらに日本でも水瓜と当て字しています。
農林水産省では農産物の生産に関することを所管していることから、野菜を一年生作物の草本類(草・茎が木質で無いもの)、果実を木本類(もくほんるい:樹木)の作物のこととして区別して西瓜をいちご、メロンとともに、その他の野菜として扱っています。食品成分表では果実類としています。一般には甘味があるものをフルーツ(果物)としているのですが分類の仕方によって変化しているようです。
原産地は、エジプトとかアフリカのカラハリ砂漠といわれているようです。5000年前のエジプトの壁画の遺跡からスイカを栽培している絵が描いてあります。古代エジプトでは果肉ではなく種子を食べるために栽培していたことがうかがえます。果肉を食用にするようになったのは、中近東や中央アジアなどの砂漠地帯では水がわりとして珍重され地中海地方や東アジアに伝わってからのことのようです。10世紀ごろ西の国中央アジアにあるウイグルからシルクロードを経て中国に伝わり、この唐音(スイクワ・サイカ)が転化してスイカと呼ばれるようになりました。日本への伝来については諸説ありますが、天正7年(1579年)にカボチャと一緒にポルトガル人により持ち込まれたという説、寛永年間(1624~43年)に隠元禅師が中国から、17世紀の慶安年間(1648-1652年)に持ち帰ったのが始まりで長崎に入ったという説などが一般的です。
盛んに、栽培されるようになったのは明治中頃以降になってからです。
今日では、世界中の熱帯から温帯の地域に広く分布していますが高温を好み、土地の乾燥、連作を嫌います。通常の露地栽培では、4月上旬に直播き、または育苗(いくびょう)移植しています。
ウリ科、一年生のつる性草本で葉は全体に粗毛でおおわれ波状に深く羽裂し長さ15cmぐらいで交互につけています。蔓は長さが6mほどにも地面を這いながら成長し節に巻きひげを生じます。花は雌花と雄花があり、同じ株についてどちらも直径3.5cm前後の淡黄色をして開花、受粉後に雌花の下部の膨らみは20~40日で球形または楕円形の膨らみをもって果実となります。
古代エジプトの頃や日本に渡来した当初のスイカは、今の姿ではなかったようでカタチもさまざま、ましてや現在のような緑の地に黒い縞があるのではなく、全体が真っ黒で果肉の赤さが気持ち悪いといった理由から江戸時代の人が気持ち悪く感じ一時衰退していたといいます。明治時代入りアメリカより優良品種を導入して、さらに品種改良が行なわれています。
栽培は、つる割れ病の防止から主に夕顔の台に挿し木され、露地、トンネル栽培されているのですが、ハウス栽培も多く行なわれています。
主産地が熊本、千葉、山形、鳥取、新潟、茨城県ですがスイカの種類も数多く、大きさは1~20kgと大形、中型、小型、球型、長円球形、縞模様の有無、赤肉種、黄肉種、白肉種、果皮、種子の色、模様が組み合わせによってさまざまで多様です。
種子を食べる習慣がなかった日本では、戦後間もなく「種なしスイカ」の栽培に成功し有名になりましたが、栽培や品質、食味において未だ問題点が残されているようです。種無しスイカは、普通の2倍体の花粉とコルチヒン処理した4倍体の雌しべとの交配によって3倍体として生まれ、この3倍体の西瓜の雌しべに2倍体の花粉を掛け合わせて作られています。こうして栽培されたタネナシスイカは結実が多く、保存性が有り、甘味が強く、病気にも強いとしていますが、手間が非常に多くかかるようでスーパーなどでは殆ど見られませんね。
球形、赤肉種の中玉、小玉が主流を占めています。
最盛期の旬はは、7~8月で温室物は5月より出まわり主にそのまま冷やして食塩をちょっと振り掛け、対比効果で甘味を強く感じさせて食べられています。殆ど切ってそのまま生食ですがフルーツポンチ、シャーベットにも使われます。料理に西瓜の赤色を添えることによって夏の季節感を表す食材としてよいでしょう。
未熟化の緑色のところを糠漬けなどの漬物としています。スイカの皮には、アスコルビナーゼを含みますが加熱、酸、酢に漬ける、発酵させることによってアスコルビナーゼを不活性化、作用をなくすことができます。
中国で大きな種子ができる品種、種子用西瓜の種子が、炒って味付けしお茶請け、ツマミとして供され、黒瓜子(ヘイグァズ)、瓜子(クウァツ)、醤油瓜子(チャンヨウクァズ)といい滋養強壮に薬用で解熱作用があるといわれ用いています。
成分は、
赤肉種100g中でエネルギー37kcal、水分89.6g、タンパク質0.6g、脂質0.1g、炭水化物9.5g、灰分0.2g、ナトリウム1mg、カリウム120mg、カルシウム4mg、マグネシウム11mg、リン8mg、鉄0.2mg、亜鉛0.1mg、銅0.03mg、マンガン0.03mg、ビタミンA効力:140μg(黄肉種2μg)、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:0.1mg、ビタミンK:(0)μg、ビタミンB1:0.03mg、ビタミンB2:0.02mg、ナイアシン0.2mg、ビタミンB6:0.07mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸3μg、パントテン酸0.22mg、ビタミンC10mg 食物繊維0.3gを含みます。
スイカの種味付けで100g中でエネルギー546kcal、水分5.9g、タンパク質29.6g、脂質46.4g、炭水化物13.4g、灰分4.7g、ナトリウム580mg、カリウム640mg、カルシウム70mg、マグネシウム410mg、リン620mg、鉄5.3mg、亜鉛3.9mg、銅1.49mg、マンガン1.43mg、ビタミンA効力:3μg、ビタミンD:(0)μg、ビタミンE:2.6mg、ビタミンK:1μg、ビタミンB1:0.10mg、ビタミンB2:0.16mg、ナイアシン0.8mg、ビタミンB6:0.71mg、ビタミンB12:(0)μg、葉酸120μg、パントテン酸1.04mg、ビタミンCTrmg 食物繊維7.1g、食塩相当量1.5gを含みます。
スイカの色素は、カロテノイド色素でおもにリコピン、カロテンによりカロテン1:リコピン9の割合で赤いのが目立ちます。
リコピンは20~25℃を至適温度とし30℃以上、10℃以下では完熟しても赤くなりません。トマトの10℃以下、30℃以上でリコピンの生成が阻害され、カロテンは、安定しますが果実は、黄色になるといいます。免疫力を強化しアレルギー(花粉症)、老化防止、抗ガン作用、ストレスや紫外線、喫煙などで増加する体内の活性酸素除去、動脈硬化予防、脳の活性化、骨密度低下の抑制に役立っています。体内での濃度が予防にも関係しているとして期待されている物質です。
スイカ・生トマトともに3~6mg/100g中にリコピンLycopene含みスイカは抗酸化フルーツといえましょう。
果肉の糖分、水分(約90%)補給で疲労回復効果が高くなります。糖分は7~9%、果糖(フルクトース)が多くブドウ糖2%、果糖5%、ショ糖1%程度です。
特に低温で甘みを増す性質がある果糖が多く冷やした方が甘くなる果物ということになります。
スイカの特徴的成分として知られているのに特殊アミノ酸、シトルリンCitrullineが西瓜糖として利尿作用(むくみ改善、腎炎、高血圧予防)、糖がのどの炎症、痰の絡みを押さえるのによく利用しています。
シトルリンは1930年に日本でスイカから発見されスイカの学名であるCitrullus vulgaris(シトルラス・ブルガリス)から名付けられています。タンパク質を構成してない遊離アミノ酸のかたちで、スイカの実に多く含みます。なかでもアフリカ南部のカラハリ砂漠に生える乾燥耐性野生スイカの葉の細胞中には420mg/100gも含有しているとの報告があり過酷な環境化で生長できる要因と考えられています。
ウリ科の植物に多く他に100gあたりで🍉スイカ180mg、🍈メロン50mg、クコの実34mg、冬瓜18mg、ゴーヤ16mg、🥒キュウリ9.6mg、🧄にんにく3.9mgを含みます。
L-シトルリンは、人の体内で腎臓でL-アルギニンに変換されることで一酸化窒素(NO)を産生し、このNO(一酸化窒素)が血管拡張に作用し動脈硬化予防、血流改善、肌の老化防止によいとしているようです。有害なアンモニアを解毒するオルニチン回路の構成成分としても知られます。
真夏のスポーツ時、水分補給、疲労回復に、赤いところを食べたら、白いところを漬物に、捨てるところ無く利用できそうです。もし食用の種子が入手でき種が食べられるようでしたら皮をむいて栄養補給になります。暑い夏には西瓜が似合います。
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(初版2021,7,31)