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1980年以前の中学に家庭科、未必修の男性諸氏に医療従事者を含め必要かも。

[薬膳] 食生活について語ろう

2022年10月15日 | 美容ダイエット

◎薬膳(やくぜん)料理

        中国では古くから滋養強壮、病気治療の目的で、食材が体にとって有用な成分を含み食事として、漢方として取り入れてきました。薬膳の名称そのものの名前を使い始めたのは1980年代に中国において使われ始めたのが最初としています。しかしその概念は中国数千年の歴史より生まれたものなのです。食療の病気の治療、食補、食養の健康な体を保つ等と呼ばれていたものが薬膳といういい方になったものというのが通説です。

3000年も前の周の時代に食医、疾医、傷医、獣医の階級があり食医は飲食、栄養、健康管理について担当し、病気を治すというより病気にならないことが重要で食養、食餌療法として確立していったようです。薬膳は薬の膳(食事)という字が当てられていますが、日常の食事そのものが健康を維持し、いわゆる薬となって働いている医食同源、薬食同源といわれるゆえんです。

薬補不如食補(ヤウブー ブ ユゥ シィ ブー)、千補万補不如食補(薬はよい食事には及ばない、薬で病気を治したりするよりも普段の食事をバランスよく取ることにより健康な体を維持した方がよいということわざが中国にあります。病気にかからないよう食養にかなった食事をおいしく、楽しくとって、美味しいものに出会って「口福[こうふく]」に、薬補は食補に及ばずということがいわれます。中国の古典医学書に上工は未病を治すは、上手な医者はいまだ止んでいないものを治す。症状が出ない前に予防するという食養を述べています。 生薬の薬効のあるとされる動植物そのもの、漢方で中国の古くからの薬効のあるものを食事に取り入れることが一般にいわれます。自分の体質にあった食材を取り入れていくことが示されています。

 最近では食前酒なども好まれ利用しています。焼酎、氷砂糖(はちみつ、水飴)、材料(枹杞、当帰、陳皮、ウコン、桂皮、食用菊[乾]、高麗人参、梅、カリンなど様々)を密閉できる広口ビンに入れ2~4週間漬け込み冷暗所に保存しておくとできあがります。滋養強壮、虚弱体質に胃腸の消化吸収をよくし食欲増進、身体を暖め、疲労回復に利用されます。一回に20cc程度で1日50~80ccぐらいがよいでしょう。  食材(薬)には、生理作用(薬効、食能)、食味の五味で辛味、鹹味(かんみ:塩味[えんみ])、苦味、酸味、甘みがあります。

薬膳ではそれに漢方の考え方、五性とし寒、涼、平、温、熱の考え方が入っています。 五味として 辛味、熱・温の性質、発散、代謝促進作用、腸、鼻、肺によい。唐辛子、わさび、にんにく、胡椒、ハッカクなど 鹹味(かんみ:塩味[えんみ])、寒の性質  塩辛い味でやわらげる。食塩、醤油、藻類、かに、貝類、家鴨の卵(甘鹹)、豆腐(甘鹹)、ささげ(平:甘鹹)、栗(温)など 苦味、寒の性質 消炎作用、心臓によい。茶、ルーバーフ、レタス、納豆など 酸味、寒・涼の性質 収斂(しゅうれん)作用があり、肝臓、胆のう、目によい。食酢、だいだいなど 甘み、平の性質 緩和、滋養強壮作用がある。砂糖、魚類、大豆、ゴマなど 五性とし 寒、体を冷やし、鎮静、消炎作用がある。高血圧によい。 涼、寒よりやや弱く、鎮静、消炎作用がある。 平、寒熱の差がなく日常的に飲食し滋養強壮によい。 温、熱よりやや弱く興奮作用があり、貧血、冷え性によい。 熱、体を暖め、興奮作用があり、貧血、冷え症によい。 五性に穀類、豆類、野菜類などが分けられていますが、ほうれん草を寒とするなど、成分分析と合わなくなっている部分も見受けられここでは割愛します。体を冷やす食べ物、温める食べ物、寒熱の差のない食べ物があることは理解できます。組み合わせによって作用が異なってくること、相互作用によって強くも弱くもなるのです。

日本でも旬の食品を取ることが栄養、効果を最大限に引き出しているとしています。

 また陰陽五行説という考え方があります。陰の女性、陽の男性の性別、春夏秋冬の季節、寒熱性、休息と活動、体内と体表などを陰陽で分けています。五行は、五味五性ほか方向(東南中西北)、時季(春夏長夏秋冬)、五気(風暑湿燥寒)、五臓、五官(目舌口鼻耳)などがあります。それぞれにあった食事、薬膳が処方されることになります。

 体質、季節に合わせた食物を取ることによって身体を暖めたり、冷やしたりして体調を整えることにあります。春夏の陽の季節に陽の男性は陰のもの寒・涼性のものを補い、秋、冬の陰の季節には陰の女性は陽の食物である温・熱性のものを補うとよいのです。 それらの食物は五臓六腑(ごぞうろっぷ)の心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺臓で五臓、六腑の大腸、小腸、胃、胆のう、三焦(さんしょう:胃の上、中、膀胱の上にある三つの器官の総称)、膀胱に働きかけスムーズな消化、吸収、排泄が行なわれるようにします。  薬膳といういい方は、近年にいわれ出した言葉です。古きよき漢方の考え方と、現代の必要とされる有効成分を含む食品の組み合わせ、栄養バランスを知ることが大切なことではないでしょうか。

 五味五性、陰陽五行説を考え合わせて体調のバランスを整えていくことが薬膳と考えられます。自分の体質と食物の性質、成分を知って食事を進めるのがよいのです。 生薬といわれるもののなかにも普段食用としいいるものが数多くあります。よく知られるものに薬味(にんにく、生姜など)漢方でもよく使われています。おいしく、バランスよく配合することで健康な体をつくり、健康増進、老化予防し免疫力を高めます。中国料理で永年の経験から酸味と甘味、甘みと鹹味、苦味と辛味、辛味と酸味、苦味と鹹味のようにふたつの味を組み合わせるとおいしく食べられるといいます。

日本でも生薬として様々のものが使われ、お茶、副菜(野草など)として取り入れられてきました。江戸時代まで日本でも主に漢方の考え方が取り入れられていたと思われます。明治にはいって、訳もわからず急に19世紀中頃より発展しただけの西洋医学が取り入れられました。西洋医学ももとは、アスピリンの柳の樹液です。そこから精製度の高いものが生まれ、合成品に進み合成品が多く生まれていったのではないでしょうか。漢方では数千年もの歴史の中に育てられ歴史に甘んじて成分分析の分野に遅れを取ってしまったのかもしれません。ここにきて有効成分が知られるようになり漢方について見直されてきています。薬膳によって食事の大切さが認識されています。

日本人が昭和30年代から40年代にかけて食べていた食事が反映されたアメリカの食事指針で1977年のマクガバン報告があります。

(1)がん、心臓病、脳卒中などのアメリカの6大死因となっている病気は、現在の間違った食生活が原因になって起こる食源病である。この間違った食生活を改めることで、これらの病気を予防する以外に先進国民が健康になる方法はない。

(2)現代の医学は、薬や手術といったことだけに片寄り過ぎ、栄養に盲目的な片目の医学であった。栄養に盲目的でない医学に作りかえる必要がある。としています。

 効能があるとされる薬膳、漢方に使われる珍しいものとして阿膠(あきょう)、オタネニンジン、黄耆(おうぎ)、黄精(おうせい)、海馬(かいば)、何首鳥(かしゅう)、菊花(きくか)、金柑、銀耳(ぎんじ)、枹杞子(くこし)、胡桃(くるみ)、桑の実、紅花(こうか)、五味子(ごみし)、サンザシ、酸棗仁(さんそうにん)、真珠(しんじゅ)、天麻(てんま)、当帰(とうき)、冬虫夏草 (とうちゅうかそう)、杜仲(とちゅう)、棗(なつめ)、肉じゅ蓉(にくじゅよう)、麦門冬(ばくもんとう)、百合(ゆり)、仏手(ぶつて)、茯苓(ぶくりょう)、龍眼肉(りゅうがんにく)、霊芝(れいし)、蓮子(れんし)、鹿茸(ろくじょう)などがあります。

春には「養陰補肝」 草木の芽吹きの時期ですが三寒四温で体質が陰の人もいれば陽の人もいます。補いの季節です。肝機能が衰えると、目のかすみ、充血、視力の低下、筋肉、神経機能が低下し手足のしびれ、爪等に症状があらわれます。春になると、目がかすみ、充血、体がだるく怒りっぽくなるのは、肝機能低下によるものです。旬の食材は、浅葱、菜の花、アスパラガス、肝機能強化にレバー、肉類、しじみ、あさり、胡麻、セロリ-、他五味子、なつめ、桑の実、当帰、白木耳、うこん等を使います。温涼性の食材に酸味を加えて、肝機能を強化します。

夏には「補陰養心」 植物の多くはエネルギッシュに成長をしていますが人体にとっては必ずしも快適ではありません。食物により体内に陰(体を冷やし)を補い、少し苦味のある食物で弱っている心臓系統の機能を高めましょう。苦味、寒涼性の食べ物や心系統に働きかける食材を組み合せます。過ぎたるは及ばざるが如しで冷たいものの取りすぎは弊害となります。山菜類、ゴボウ、竹の子、ミョウガ、お茶類(緑茶、コーヒー、プーアール茶など)、なす、トマト、きゅうり、冬瓜(とうがん)、スイカ、茯苓、蓮の実など体質に合わせて使います。

秋には「培陽潤肺:じゅんぱい」 天高く馬肥ゆる秋、秋は、澄み渡って青空が高く晴れ馬も肥えてたくましくなります。果実の実りと穀物、野菜の多くが収穫の時期を迎えています。空気の乾燥により鼻水、鼻詰まりから始まり呼吸器系の肺に影響を与え肌あれ、皮膚のかさかさ、毛髪のつやにも影響します。体内の「陽」を育て、肺を潤すことが求められています。陽の食材には牛・羊・鶏肉などの肉類があげられますが、特に鶏の手羽先、豚足のゼラチン質の多い魚、煮こごりが効果的です。食材の辛味(しょうが、にんにく、玉葱、大根)が肺系統に良い影響を与え、風邪の症状や消化不良を和らげてくれます。旬のぶどう、柿、梨、里芋、大豆、きのこ、銀なん、松の実、枹杞子、白木耳を体質に合わせて使います。

冬には「補陽温腎」 自然界では、気温が下がり動植物の生命活動が停滞しています。しかし生命維持のための活動は続いているのです。冬季には特に腎機能が大切にされています。頭痛、食欲不振、聴力、足腰のの衰え、頻尿、残尿感など腎機能の低下との関連があります。冷えに対する対策とともに腎臓の強化に努めます。一般的には、寒冷、湿気、ストレスを避け、保温状態をよくし、安静にし腎臓の食事療法、薬物療法が行なわれます。大根は卸した生では涼、おでんのように煮れば温性になります。旬の食材には柑橘類、アボガド、うるめいわし、ホッケ、ヤマイモ、メキャベツ、小松菜、大根、白菜、まぐろ、のりなどがあります。

 中国で古来よる利用される私達にも少し馴染みのある2、3の食品について少し詳しく調べてみました。

◇枹杞 クコ   茄子科、原産地アジア、高さ1~3mほどの茎に棘(とげ)を持つ落葉低木でやや湿地に成育、全国的に分布する。8月末より10月にかけて可愛らしい薄紫の花をつけ、秋口(9、10月)に2cmの楕円形の小さい赤い実をつけ食用としている。

よく薬膳料理(炒め物、粥、スープ)で見かけ使われる。クコ茶、若芽(4、5月)を茹でお浸し、和え物、汁の実、佃煮にする。くこの果実を乾燥させたものを枹杞子(くこし)といい漢方で利用され、くこ酒とし滋養強壮に血行をよくし、冷え症、解熱、脂肪肝を防ぐ。根の皮(地骨皮:じこっぴ)が消炎、解熱、利尿に、葉にルティン、ゼアキサンチン(カロチノイド黄橙系色素:目、肝機能強化)を含みクコ茶として利用される。ベタインの少しの苦味と甘味のある成分が糖の吸収を阻害、脂肪の代謝、肝機能改善によい。

◇当帰 とうき   セリ科、多年草で50cm~1mほどに生育し独特の芳香を有し6~8月に白い小さな花を無数にロート状に咲かせる。江戸時代に渡来、奈良県で最初に栽培されたといわれる。北海道、東北地方でも近年多く栽培されるようになった。種を蒔いた翌年に太く短い根を掘り起こし収穫している。妊娠、産後に体調が優れない時に用い回復したこと、実家に帰って養生ししながら用い婚家に戻ったことから当帰の名前の由来といわれる。根を乾燥させ鎮痛、鎮静、解熱、抗炎、抗菌、末梢血管を拡張させるとし古くから代表的女性の薬草として冷え性、滋養強壮、更年期障害、婦人病に使われる。漢方で当帰芍薬(とうきしゃくゆく)はよく知られる。

◇桂皮 シナモン (桂皮:けいひ・肉桂:にっけい)   クスノキ科、スリランカ(セイロン)原産といわれる。樹皮を発酵陰干ししてステック状、粉末にしたものが利用される。スパイシーな爽やかなあまみのある芳香(シンナムアルデヒド[桂皮アルデヒド]、オイゲノール)のあるスパイスでパウンドケーキに練りこんだり、フルーツコンポート、さつま芋甘煮にステック状のものをいれ一緒に煮込んだり、振り掛けたりする。シナモンシュガーとしてバタートーストに使うのもよい。中国の香辛料五香(ウーシャン:主に山椒、八角、陳皮、ういきょう、シナモン)の材料、桂皮酒とし用いられる。樹皮、葉と若い枝から精油もされ使われている。カシア(インドシナ産、辛味[シンナムアルデヒド:皮膚、粘膜を刺激する]が強い)が安価で代用とし用いられる。オイゲノールの爽やかな香気成分が疲労回復、血行促進、殺菌作用を有する。シナモン、ニッケイ、カシアをあわせ肉桂とも呼ぶ。

   食事が一段落したら薬膳でもお茶と甘いものを用意しています。お茶は、緑茶、プーアール茶、ウーロン茶、杜仲茶、ジャスミン茶、菊花茶などは伝統的中国茶ですが、日本茶、コーヒー、紅茶、ココアなどでもかまいません。甘いものは、月餅、杏仁豆腐、マンゴープリン、フルーツ、黒胡麻アイス、ライチゼリーなどで和洋中折衷そのときの体調、健康状態に合わせていただきます。

 飲茶(やむちゃ)が10時、3時、軽食、ちょっとした食事代わりに用いられています。お茶を飲みながら点心(てんしん:おやつ、お茶うけ)として小さな形にした、餃子、シュウマイ、胡麻だんご、もち米蒸しだんご、小籠包(しょうろんぽう)、大根もち、春巻き、ちまき、中華饅頭、炒飯、五目ビーフン、中華そば、ワンタンなどがあります。

子供達の間で体力の低下、いじめなどがよく聞かれます。ハウス、養殖栽培では、ビタミンタンパク質に差が天然ものに比較し低下しているのが見受けられます。食品添加物などによってリンの過剰摂取によりカルシュウムの不足でイライラが多くなります。食生活を正していくことが求められるのです。食育の必要性が問われ、女性の社会進出により以前より増して家庭の食生活は父親、母親の両方の愛情によって築かれなければなりません。

薬膳、漢方も、いわゆる巷で言われる健康食品の部類に入ります。日常的に毎日、日に三度も口にする食事は、私達の健康を維持するのに重要な働きをしています。

 まだまだ知らないことが多くあるし私自身多くを学ばなければなりません。食物という身近なものから未知なる成分の分析が行なわれています。古き漢方と近代西洋医学とが合わさってよりよいものに発展していくことでしょう。近代の合成品医薬では、合成薬剤のみを知る人にとっては健康食品といわれる食品、食材からの成分を知ることは困難をきわめていることが聞かれます。 漢方薬が医薬品として認められたのも近年になってから、食品のもつ生理作用が明らかにされ健康食品といわれるようになったのもここ数十年来のことでまだ始まったばかりです。

 漢方の考え方を取り入れた薬膳は、全てがわたしの納得のいくものとなっていませんでしたが、健康の源は旬のものを取り入れる食事であることを原点に返って教えてくれているようです。なにも格式ばらなくても健康にいいと思って日常的に取り入れている食事が既に薬膳の理にかなった薬膳料理ともいえますね。

 

ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。

 

(初版2021,8,17)


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