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とん ことり

2015年03月12日 | 絵本

「とん ことり」
筒井頼子 さく 林 明子 え
《こどものとも》 傑作集
出版社:福音館書店

☆17年前くらいに子ども達に購入。
数ページ抜粋して紹介いたします。





かなえは、 やまの みえる まちに、 ひっこしてきました。
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つぎのひも、おかあさんは、いそがしそうでした。
かなえは ひとりで、えを かいて あそびました。
「ともだちが いなくて つまらない」
かなえがつぶやいたとき、
とん ことり
また あのおとが きこえました。


 とんでいってみると、ゆうびんうけには、ゆうびんが
とどいていました。
 ふうとうには、なにも かいてありません。
なかの てがみは、おおきな じで、たった 3ぎょうでした。



「すみれ、たんぽぽ、てがみ・・・・・、すみれ、たんぽぽ、てがみ・・・・」
かなえは、 ひとりで おはじきをしながら、つぶやきました。
「ふうっ」と、かなえが ためいきを ついたとき、
 とん ことり
また、あのおとが きこえました。
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☆筒井頼子さん、林明子さんによる絵本は、お話と絵の“明暗”が見事で、
後半に ぱあっと心を明るくしてくれる演出があります。
この絵本も最後のページ(ここには紹介していませんが)が、とても微笑ましく
好きなシーンです。

私ごとですが、この絵本を読むと、長男が2歳の時に大阪から兵庫へ
引っ越して来た頃の心細さや、友達が出来た時の喜びを思い出します。
今も切なさを感じる一冊です。