エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

万全で臨む近くて遥かなる山・・・狭薄山 (1296m)

2016年04月12日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
リベンジは万全で臨む・・・狭 薄 山 (1296m)
■ 山 行 日    2016年4月10日(日)  日帰り
■ ル ー ト     豊滝・盤の沢林道~夏尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー     夫婦登山 №12
■ 登 山 形 態      山スキー&アイゼン登降
■ 地 形 図     1/25000地形図  「定山渓」「札幌岳」
■ 三角点・点名    三等三角点 点名「大札幌 オオサッポロ」
■ コースタイム    登り 6時間55分  下り 4時間05分  
<登り>
06:00     盤の沢林道出合い~出発
07:25~35  林道終点 (C650二股)スキーデポ・アイゼン装着
07:55     夏尾根取付き (C720付近)
08:05     夏尾根上 (C780付近)
09:25     縦走路分岐 (C1130付近)
09:48     1147ポコ
12:30     狭薄山北尾根取付き (C1180付近)
12:55     狭薄山頂上(1296m)

<下り>
13:10     下山開始
14:40     1157ピーク下
15:25     1147ポコ
15:40     夏尾根分岐 (C1130付近)
16:10     尾根上 (C780付近)
16:15     夏尾根取付き点 (C720付近)
16:25~45  林道終点 (スキーデポ地点)
17:15     登山口



GPSログではありません・・辿ったルートはだいたいこんな感じです。

★ 早々のリベンジ・・・
始めての山を目指す時、最初のアプローチで必ずピークを踏める保証など無い。
ルート情報や参考になるコースタイムがあっても自分たちとの整合性は未知なものが多い。
地形図と睨めっこしながら自分たちの力量を勘案しルートもタイムも装備も決めなければならない。
とは言っても至って当たり前のことがいつも当たらり前に準備出来るとも限らず、これまで何度
「リベンジ」を繰り返した事だろう・・・。

そんなリベンジ山行も時間が経つと次第に記憶から遠ざかり、いつか忘れる山も多いのは
加齢のせいだろうか。

つい先週に挑戦した「狭薄山」・・・
3.5キロの林道歩きから始まり、標高差400mの急な夏尾根を登る。
読図を間違え当初はどの尾根に登っていたかも定かではなかったから
上の稜線でも現在地がズレていた。
それが原因か、結局降りてはいけない尾根を標高差200mも降りて
間違いに気づき登り返すというタイムロスが敗因だった・・。

しっかりと反省し、辿るべきルートをこの時確認する。
悔しい思いは早く払拭したいと、早々のリベンジを誓って下山した。

そして6日後に2度目の狭薄山へ臨む事が出来た・・・



再び駐車した盤の沢に架かる橋のそば

★ 林道のみスキー使用・・・
前回は夏尾根上の標高950m付近までスキーを使用した。
しかし、固い雪面と急斜度に苦労しスキー登行の限界を感じていたので今回は林道のみスキーを
使用すると最初から決めていた。3.5キロある盤の沢林道に登りは1時間30分前後掛かるが
下りでは30分で降りる事が出来るのでスキーは外せない。

林道の残雪は確実に融雪し、松の葉や小枝が散乱しているのでスキーを傷つける事必至の状態。
されど下りの速さを考えるとそれも承知の時短対策なのだ。
途中一箇所だけ雪が切れている場所がありスキーを脱いだが後は最後まで繋がっていた。



盤の沢林道出合いは、札幌岳豊滝コースの登山林道でもある・・


林道3キロ地点 (残り500mで林道終点・札幌岳の登山口となる)

★ 終始アイゼン登降・・・
C650二股の林道終点にスキーをデポし、ここでアイゼンを付ける事にする。
まだ早朝で気温も低く雪面は固い。
そしてこれから取付く夏尾根は急斜面でツボ足だけでは怖過ぎる斜度だ。
前回アイゼンは用意していなかったのでこの差は大きい。
夏尾根上に登ってからも急斜度の登りは何度も続きこの時期のアイゼンは必須のアイテムだろう。
結果、前回より30分早くC1130の縦走路分岐に着くことが出来た。



夏尾根への取付きは急登だが、アイゼンが効果的に働く・・


夏尾根全体が急斜度で標高差約410mを登る・・・


夏尾根から縦走路への最後の登りは少し傾斜が緩む・・・


頑張るチーヤンをズームする


縦走路の東斜面に出来た雪庇を下から見上げると迫力がある


雪庇と最後の夏尾根の登り

★ 慎重な読図・・・
9:25 C1130縦走路分岐
前回より2時間近く早い到着だった。まずまずの天候にも恵まれ目指す狭薄山を再び望む。
もう現在地を誤認する事無く次なるルートは前回の最高点1147ポコだ。20分程でそのピークに立つ。
ここから前回とは逆の東尾根を100m程降りて1118Pと1157Pの間を通り1036コル付近から
南西に進路を変えガマ沢川の上流を渡渉(雪で埋まっている)する形で対岸の斜面に取付き、
次は1158Pの北側を目指せば・・・いいのだが。
1118Pと1157Pの丁度中間地点で立ち止まり慎重な読図に時間を掛けた。
前回の失敗を繰り返さない教訓を生かし、地形図から示す方向へと素直に進むことにする。
すると沢の対岸に再び狭薄の頂上部が顔を出し、1158P手前の小尾根や小沢も確認出来た。
小尾根に取付き少しずつ高度を上げて1158Pの北側へ回り込みながら歩くと次第に狭薄山が
近づくのが実感出来る。

すると狭薄山頂上に複数の人影を発見!
今日は日曜日なので誰かは来てるだろうと予想はしていたが、実際に見ると何故か嬉しいものだ。
その一行は私たちのルート上でもある北尾根を降りて来る。そして北側の小ピークをトラバースして
1158Pとのコルで休憩していたところで出会い挨拶を交わす。
男性4人パーティーでスノーシューだった。空沼岳からの往復でこちらも長いルートと言っていた。
以降彼らのトレースをありがたく拝借し、チーヤンの初登頂が現実味を帯びて来た。



再び望む「狭薄山」


とうとう来た! 狭薄山の基部へ


標高差約120mの急登を最後に頂上を目指すチーヤン


迫力ある最後の登り・・・


頂上直下・・・

★ 登行7時間の頑張り・・・
12:55 狭薄山頂上
北尾根の登りに約30分を要したが、9年前の5月は階段状にトレースがあり楽勝だった記憶だけに
トレースこそあるものの固い雪面と意外なほどの急斜度に汗を流し息を切らした。
そして、とうとう頂上に辿りつく。登行7時間は想定外もよく頑張って登ってくれたとわが妻が誇らしい。

少し風が強くじっとしていると寒さを感じる。
いつもの山頂コーラで乾杯は一旦お預け、写真を撮って360度の絶景を少しだけ楽しんで下山とした。



登り6時間55分掛かった価値ある狭薄山の頂上にて

★ 頂上からの眺望・・・
13:10 下山開始
7時間も掛けて登って来た頂上でも、風と寒さは大敵だ。
ゆっくり食事を取りながら眺望を楽しむ状況ではなかったが、短い時間でも見える景色を堪能し
頑張った自分たちへのご褒美と充実感に浸る。
チーヤンは「もう来ることは無いと思う・・・ありがとう」と言い残し頂上を後にした。

下りもほぼ往路を辿り、何度も登り返しを繰り返すのが少し辛かった。
それでも頂上からC1130縦走路分岐まで2時間半で着き「もう登りは無いぞ・・」と思うとホッとする。



頂上から恵庭岳と漁岳方面を望む・・・


頂上から西側に望む無意根山や中岳、並河岳などを・・・


羊蹄山も微かに見えた・・・


狭薄山から望む札幌岳はちょっと迫力感に劣る・・・


頂上から北側の往路を望む。手前のポコはすぐ北側の小ピーク、その奥が1157P


狭薄山の東斜面は断崖絶壁、雪庇も発達している・・・(北側の小ピークと1158Pとのコルから)

★ 価値ある11時間・・・
17:15 登山口
標高差400mを超える夏尾根の下りはアイゼンのお陰で恐怖感も無く順調に降りる事が出来た。
私たちのトレースの上に複数の新たなトレースが往復あったので札幌岳に登った方が居たらしい。
途中のあちこちで深く踏み抜いた跡がありその苦労を垣間見想像する事が出来る。
もしまたこのルートを辿ることがあれば分岐から札幌岳まで登ってみたいと密かに思う・・・が
チーヤンは一緒に登ってくれるだろうか?。

終わってみれば往復11時間強・・・
エバ夫婦には時々あるハードな山行をまたやってしまった。
もう若くは無い二人にはこんな山行がだんだん辛くなって来たと実感する。
休憩らしい休憩はほとんど取っていないのだから、ずっと歩きっ放しと言っても過言ではない。

前回の反省を元に慎重に歩いた分時間は掛かった。
でも今回は大きなミスをせずに頂上を踏み無事戻って来た事に価値があると自負している。

「もう二度と来ないだろう・・・」と言ってしまえば淋し過ぎるが、強い思い出の山行もまた
いつまで記憶に留めて置けるかと思うとこの記録だけが頼りなのかも知れない。

次の目標もまだまだある・・・。

歳を取っても挑戦する気力と登る体力だけは保持したいと今は思う・・・。




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