エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

北日高の尖山・・・シキシャナイ岳(1058m)

2019年03月03日 | 山紀行 (日高山系)
13年ぶりの再訪・・・
北日高の尖山・・・
シキシャナイ岳(1058m)
■ 山 行 日    2019年3月3日(日)  日帰り
■ ル ー ト    三岩林道(採石場)~北尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー     夫婦登山 №7
■ 登 山 形 態     山スキー&アイゼン登行
■ 地 形 図    1/25000地形図  「三岩」
■ 三角点・点名    三角点 点名無し
■ コースタイム    登り  3時間15分  下り  1時間20分
<登り>
08:15      採石場P帯出発
10:00~10   C850尾根上 休憩
10:15      標高点910尾根上
10:35      シキシャナイ岳東側コル
11:00~05   シキシャナイ岳東尾根1000m スキーデポ
             (アイゼン装着)
11:30      シキシャナイ岳 頂上

<下り>
11:55      下山開始
12:05~15   スキーデポ地点 アイゼン外しスキー
12:20      コル
12:40      標高点910尾根上
12:50      C850尾根上
13:15      P帯登山口



GPSログを元に地形図に落としました・・・

ちょい拡大図・・・

★ 13年前の嘘・・・
まだ若かりし40代の頃・・・
当時所属していた山岳会のメンバーとこの山に最初に登ったのはチーヤンが先だった。
あれは2005年12月、当時はほとんど知られていなかったマイナーな山で、三岩線の
林道を利用して登頂していた。その翌月、今度は夫婦で同じルートを辿り地図とコンパス
とチーヤンの記憶を頼りに挑戦した。
山行記録には、この時「登頂済み」と示しているが、本当は頂上の30m下で敗退し下山
していたのだった。つまり私は「未踏」なのに「登頂した」と誤魔化していた山なのだ。

その事が、ずっと胸に引っかかり気になっていた。
(根がまじめなんです 笑)

何故今回この山を思い出したのか分からない。
でも、最近の山行記録を調べて見ると当時私たちが登ったルートを使用している山行は無く
最短のルートから登っている記録が目に止まった。
当時、GPSを持たない私たちにとって複雑な地形のこの山に地形図とコンパスだけで登る
には、少しでも林道を使って山に近づき目標の山を目視しながら登る事がベストだった。
しかし、現代はGPSの時代なのか?
現在地と進む方向はGPS本体のモニターに示され機械が指示してくれると言っても過言で
はない。複雑な地形であっても自分がどう登れば最短で効率的に登れるのか・・・
多少の経験があれば現地での判断は意外と出来るのかも知れない。

そんな思いもあって今回の再訪は、快晴の予報と日曜日であることから採石場の作業は無い
だろうという事でチャレンジする気持ちになった。ルートについてもGPSを用いて最短の
ベストルートを模索していた。



本来、登ろうとした登山口は採石場の手前の道路上だったが取付きが難しかった・・


採石場の入口付近からすぐに取付くと作業道に出合う・・・

★ 別ルートを現地で・・・
今回、模索していた予定のルートは、採石場から林道を少し戻った沢の左岸から取付き
地形図上の716尾根を経由して南下するものだった。
しかし、取付き点が意外と複雑な地形で凸凹していたので躊躇しながらもう一度地形図と
睨めっこしてみた。すると駐車した場所の裏側(沢の右岸側になる)に作業道のような形跡
を感じ取り地形図を見ても予定ルートよりは緩斜度だった。

行ったとこ勝負でルートを変更。
車の傍からすぐに樹林の中に取付くとやはり作業道があった・・・。
それは沢の右岸側に沿って少しずつ高度を上げる。方向に注意しながらも作業道が利用出
来るとは夢にも思っていなかったので、距離が稼げるかも・・と上機嫌だった。
しかし、元々複雑な地形故に作業道の支線があったり小沢のある沢形に出合ったりでルー
ト取りは難しかった。出来れば帰りの事も考えて登り返しの少ないルートがベストだった
ので頭を悩ませる。

積雪はほどほどにあり雪面はパウダーだった。
下りでもこの状態ならスキーも楽しめそうな樹林の作業道だ。

地形図だけでは読み取れない小さな尾根が幾つも並び複雑化しているように見えるが、
取付いて少し登るとそこに別の作業道と出合い再び高度と距離が稼げた。
その繰り返しをしている内に目標にしていた850尾根上に辿り着き安堵する。
この尾根は、日高町と平取町の境界線上にあり、そのまま南下するとシキシャナイ岳の
東側に着く。

850尾根上では、先週のものと思われるスキーのトレースと出会った。
私たちとは別のルートからだったが、もしかすると当初の沢の左岸から取付いて来たの
かも知れないと直感する。
(トレースの持ち主が後で判明した)


樹林帯の登行も意外と緩斜度で歩き易かった。少し登るとまた作業道に出合う。

★ 7割は作業道・・・
すべてとは言わないが、GPSの活用ほど心強いものはないなぁ~と改めて感じた山行
だった。裏返せばGPSに頼り過ぎると「危険」な山行にも成りかねないという事でも
あるが、地形図もコンパスも使用し現地での判断も安全な山行をするために重要である
と何度山に登っても痛切に感じている事だった。

今回辿ったルート、結果的にはその7割近くが作業道と言っても過言ではなかった。
それもほとんど登り返しが無く所々ショートカットしながら上手く繋げたというところ
だろうか。沢の渡渉も2度ほどあったが、SBを使えば苦労も無く対岸に渡る事が出来
たし、濃い樹林と思われた山域もトドマツを主にエゾ松やダケカンバ類の混合林で比較
的樹間もあり登行には支障なかったのも嬉しい。



850尾根上に登る手前まで作業道に助けられた・・・


850尾根上に出ると樹林の向こうにシキシャナイ岳が見えて来た・・・


C950尾根上から南に鎮座する「弓部山1095m」を望む・・・地形図には山名は無い。


950尾根上から西にルートを取りシキシャナイ岳の東コルを目指すと目の前に聳え立つ尖山に圧倒される

★ トレースも運の内・・・
もしトレースが無ければ、後半どんなルートを辿って頂上を目指しただろうか?
普段の山行でも他人(ひと)のトレースは当てにしないようにしているが、こんな
マイナーな山で尚且つピークの見えるところで見付けたトレースなら誰もが泥棒
して付いて行くだろう・・・。

13年前、頂上直下どこをどう登ったのか、はっきりと覚えていない。
1月という事もあったかも知れないが、雪はグラニュー糖で蟻地獄に喘ぐ自分の
姿だけが記憶に蘇るだけ。あの斜度で木に掴まっても何度もステップを踏んで固
めようとしても一歩も上には登れず息、途絶えた・・・。
だから「あと30mなのに・・・」と思いながらも、「ここで登った事にしよう
とつぶやいたのは私なのだ」

今回、トレースが無かったら同じように登っていたかどうか分からない。
比較的緩やかな東斜面から取付き、ジグを切りながら少しずつ登ると小さな北尾
根に上がりその付け根が1000m地点だった。これ以上、スキーは使えない。
トレースの持ち主たちもここから急斜面をツボ足で登ったのだろう。はっきりと
その痕跡はあり有難く利用させて頂いた。

ここから高度差60mの直登・・・
教訓を生かしアイゼンを付けて登るが、トレースがあってもずり落ちる場面があ
った。でもやっぱりトレースは有難い!真っすぐ登るのではなく右に左に小枝が
掴めるようにルート取りは絶妙だった。

正直、自分たちの力で登ったとは言い切れないが、これも運があっての登頂だと
素直に喜び、正真正銘の「登頂」と記録に残そう。



コルからもトレース泥棒し行けるところまでスキーで登る・・・


トレース様様だった・・・


写真では読み取りにくいが、斜度は最大75度はあったと思う・・・


格闘する事30分でようやく頂上を拝む・・・


13年ぶり2回目の登頂となったチーヤン


今度こそウソ無しに登頂したシキシャナイ岳1058mだ・・・

★ 快晴の頂きもpm2.5・・・
頂上はY字形の小さな尾根状で狭く四方は絶壁である。
南側の灌木が大きく景色を妨げているが、それ以外の眺望は素晴らしかった。
ただpm2.5の影響なのか遠望がかすれて日高の主峰「幌尻岳」をはじめとす
主稜線の山々はボヤっとしか見えず残念だった。
懐かしい周辺の「糠平山1350m」や「雁皮山1236m」は見えていたが同
定する事が出来ず「あの辺」で終わった・・。

山頂コーラを飲み、写真を撮ったら下山。
長居出来ないエバ夫婦25分の滞在は長い方かも知れない 笑

下りも慎重に降りるがアイゼンに雪が団子化してストックで叩き落しながら下山
したが、やっぱり下りは早い。

1000mのスキーデポ地でアイゼンを外しスキーに変える。
シールは付けたままも雪面はまだパウダーでコルまで楽しかった。
登り返しも往路のトレースを辿り、尾根上も作業道も樹林帯の中もほどほどにス
キーを楽しみながら降りる事が出来た。

冬山の良いとこ取りはやはり下りのスキーなのだが、必ずしもオープンバーンが
いつもあるとは限らないのが残念だ。



下りも慎重に登りのトレースを使う・・・


滑り落ちるような斜度もやはり下りは楽だった・・


下りはアッという間・・・往路のトレースを辿りシキシャナイ岳を後にする・・


シールを付けたままの下山だったが、パウダースノーで下りだからスキーは楽しかった・・


最後の作業道分岐点に着き、安堵するチーヤンと私である・・・

★ スッキリ・・・
下りは、本当に楽しいと久々に思った感情である。
険しいとしか印象の無かったこの山が、また行っても良いかな?に変わった。
GPSを頼りにはしたが、自分なりのルート取りに満足し偶然とは言え作業道が
上手く繋げられたのも幸運だった。雪質もパウダー。シールを付けたままの下山
だったがそれでも楽しいから気分が良い。トレースにも感謝。

胸のつっかえ棒が外れて本当にスッキリである・・・。


★ メモ・・・
採石場の奥に停めていた車は、朝から確認していて誰のものかすぐに分かっていた。
下山した時もまだ停まっていたので、ニヤミスのご挨拶代わりにとメモを残して
帰宅した。すると夜になってメールが届き「糠平山」に行っていたと言う。
更に驚いたのは、先週「シキシャナイ岳」に登った事も知らされ、あのトレース
の持ち主が判明したという事だった。

メールでもお礼を申し上げたが、改めてこの場を借りてOさんにはお礼と感謝を
申し上げます。ありがとうございました。



登山口にある採石場は「岩内岳」の南面全域が削られている・・


奥に停まったいた見覚えのある車、メモを残して帰宅すると返事があった・・・


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2 コメント

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正直者だぁ~ (Amigo)
2019-03-04 21:30:28
お疲れさん!
嘘はつけぬかぁ・・・
『シキシャナイ岳』って、昔登ろうと思ったことがあるのだが、あの辺りは鉄砲撃ちが多くてなあ。
怖くて近付かないことにした。
でも今度登ってみよう。
スキーのトレースはOgino君たちのものだろう。
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黙ってりゃいいのにな・・・ (エバ)
2019-03-05 13:59:55
あの辺りで鉄砲撃ちも銃声も聞いた事がないぞ?
複雑な地形と縦横無尽な作業道にビックリはしたが
入って見ると意外にも歩き易かったよ。
広いところが好きなAmigoには、耐えられるか疑問だが
山のてっぺんは素晴らしいよ

そうそう、スキーのトレースはその通り。
良く分かったね・・。ご本人にもお礼のメールして置きました 笑
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