■2005年11月、パレスチナ自治区、ジェニン難民キャンプ
ある朝、街に銃声が響いた。
撃たれたのは、12歳のパレスチナ人の少年。
おもちゃの銃で遊んでいたところを、「カラシニコフを持った過激派」とイスラエル兵が誤認、頭を撃ち抜かれたのだ。
イスラエルの病院に搬送されるも意識は戻らず、かろうじて機械がその心臓を動かすのみ。
為す術もなく立ちつくす少年の父に、医師はこう切り出した。
「あなたが息子さんにしてやれることは、もうない
しかし病院には、息子さんと同じように命の危険に晒されている子供が大勢いる
あなたの決断は、難病に苦しむイスラエルの子供たちを救うことができるのだ――― 」
臓器移植。
同意すれば、息子の死を認め、その死を自らが決定づけることになる。
また望もうと望むまいと、息子の命を奪ったイスラエルに、身を捧げて「報いる」ことにもなるのだ。
煩悶した後、父親は決断を下す。
臓器を提供します、と。
それから1年半後、少年の父親は、移植を受けた子供たちを訪ねてイスラエルを巡る旅に出る。
果たして再会は、お互いにどのような変化をもたらすのか………………
■The Heart Of Jenin
映画「ジェニンの心」は、アハメドという一人の少年の死を軸に、パレスチナ側から見た、紛争の姿を描くドキュメンタリーです。
喪失から歩き出そうとする父・イスマイルの心の軋みを、カメラは静かに見つめます。
1948年のイスラエル建国に端を発したパレスチナ紛争。
自国を持たなかったユダヤ人は、悲願の建国を果たしますが、それにより以前の居住者は追放され、新たにパレスチナ難民を生むことなりました。
パレスチナは一般に、ガザ地区とヨルダン川西岸地区からなる暫定自治区(日本政府はパレスチナを「国」として承認していません)を指します。
自治区はイスラエルが一方的に建設を進める「分離壁」で分断されており、パレスチナ住民が自由に行き来することはできません。
著作者:現代企画室『占領ノート』編集班/遠山なぎ/パレスチナ情報センター
イスラエルが行う家屋の破壊、水道や電気などインフラの破壊、経済封鎖により、自治区内は深刻な貧困にあえいでいます。
苛烈な抑圧を受け、自爆テロという究極の抵抗に追い込まれるパレスチナ人。
しかしテロはイスラエル国民に新たな恐怖と反発を呼び、ますます「壁」が広がるという悪循環が生まれています。
アメリカを筆頭に、国際社会が「反テロ」を叫ぶ中、パレスチナは日増しに孤立へと追い込まれているのです。
映画はそんな深い闇に沈むパレスチナの現状を見据えながら、敵対する民が臓器によって結ばれるという一筋の光を描き出します。
少年の心臓を引き継いだのは、「メヌハ」という名のユダヤ人少女。
その名は「静寂」や「平和」という意味を持つそうです。少女の体で脈打つ「ジェニンの心」は、混迷の続くパレスチナの希望となるのでしょうか………
映画「ジェニンの心」は、10月1日より開催される「UNHCR難民映画祭-東京」にて日本初上映されました。
難民問題を描いた作品が世界中から集まるこの映画祭、入場はすべて無料です。
名も無き人々の叫びに、あなたが耳を傾けてくれることを、世界は待っています。
この手の映画は好きなのですが、いかんせん公開がごく小規模で見る機会どころか存在そのものを知るのにも苦労したりします。
是非ともどこかのテレビ局で放映してほしいものですが、それもなかなか難しいのでしょうね・・・。
ある朝、街に銃声が響いた。
撃たれたのは、12歳のパレスチナ人の少年。
おもちゃの銃で遊んでいたところを、「カラシニコフを持った過激派」とイスラエル兵が誤認、頭を撃ち抜かれたのだ。
イスラエルの病院に搬送されるも意識は戻らず、かろうじて機械がその心臓を動かすのみ。
為す術もなく立ちつくす少年の父に、医師はこう切り出した。
「あなたが息子さんにしてやれることは、もうない
しかし病院には、息子さんと同じように命の危険に晒されている子供が大勢いる
あなたの決断は、難病に苦しむイスラエルの子供たちを救うことができるのだ――― 」
臓器移植。
同意すれば、息子の死を認め、その死を自らが決定づけることになる。
また望もうと望むまいと、息子の命を奪ったイスラエルに、身を捧げて「報いる」ことにもなるのだ。
煩悶した後、父親は決断を下す。
臓器を提供します、と。
それから1年半後、少年の父親は、移植を受けた子供たちを訪ねてイスラエルを巡る旅に出る。
果たして再会は、お互いにどのような変化をもたらすのか………………
■The Heart Of Jenin
映画「ジェニンの心」は、アハメドという一人の少年の死を軸に、パレスチナ側から見た、紛争の姿を描くドキュメンタリーです。
喪失から歩き出そうとする父・イスマイルの心の軋みを、カメラは静かに見つめます。
1948年のイスラエル建国に端を発したパレスチナ紛争。
自国を持たなかったユダヤ人は、悲願の建国を果たしますが、それにより以前の居住者は追放され、新たにパレスチナ難民を生むことなりました。
パレスチナは一般に、ガザ地区とヨルダン川西岸地区からなる暫定自治区(日本政府はパレスチナを「国」として承認していません)を指します。
自治区はイスラエルが一方的に建設を進める「分離壁」で分断されており、パレスチナ住民が自由に行き来することはできません。
著作者:現代企画室『占領ノート』編集班/遠山なぎ/パレスチナ情報センター
イスラエルが行う家屋の破壊、水道や電気などインフラの破壊、経済封鎖により、自治区内は深刻な貧困にあえいでいます。
苛烈な抑圧を受け、自爆テロという究極の抵抗に追い込まれるパレスチナ人。
しかしテロはイスラエル国民に新たな恐怖と反発を呼び、ますます「壁」が広がるという悪循環が生まれています。
アメリカを筆頭に、国際社会が「反テロ」を叫ぶ中、パレスチナは日増しに孤立へと追い込まれているのです。
映画はそんな深い闇に沈むパレスチナの現状を見据えながら、敵対する民が臓器によって結ばれるという一筋の光を描き出します。
少年の心臓を引き継いだのは、「メヌハ」という名のユダヤ人少女。
その名は「静寂」や「平和」という意味を持つそうです。少女の体で脈打つ「ジェニンの心」は、混迷の続くパレスチナの希望となるのでしょうか………
映画「ジェニンの心」は、10月1日より開催される「UNHCR難民映画祭-東京」にて日本初上映されました。
難民問題を描いた作品が世界中から集まるこの映画祭、入場はすべて無料です。
名も無き人々の叫びに、あなたが耳を傾けてくれることを、世界は待っています。
この手の映画は好きなのですが、いかんせん公開がごく小規模で見る機会どころか存在そのものを知るのにも苦労したりします。
是非ともどこかのテレビ局で放映してほしいものですが、それもなかなか難しいのでしょうね・・・。