江花和郎@ブログ

2005~2011年連合新潟会長を務める間書いたブログをその後も時々更新しています。

労働組合への期待

2009年02月27日 | 連合
昨日、新潟市内で09春季生活闘争総決起集会を開催して夜の西堀通りをデモ行進しました。
労働組合の活動やデモに対する一般市民の反応が少し変化してきているように感じます。
無関心・無関係・迷惑といった反応だったものが、関心と期待に変わりつつあるような空気を昨夜は感じたのですが、私の思い違いでしょうか。

集会で私は以下のように述べて春闘への結集を訴えました。

日本を変える闘いが始まった。
戦後最長の景気回復過程で何が起きたのか。
①上場企業は2003年以降、6年連続の増収増益、5年連続の史上最高益更新を記録していたが、その儲けは、株主、役員、内部留保に回され、労働者には配分されなかった。
②日本経済の海外依存度が急速に高まった。
つまり史上最高収益は海外市場頼みだった。
③国内は規制緩和でコスト割れの競争が強いられ、その無理が全部労働者にシワ寄せされた。

このような弱肉強食の新自由主義と果てしないグローバル競争の結果、どうなったかというと、
1.労働者の可処分所得は減り続け、個人消費は落ち込み、国内需要の縮小・デフレスパイラルとう構造的問題を抱えることになった。奴隷のような働かせ方がまかり通り、格差と貧困が拡大し、社会は混乱している。
2.GDPの輸出依存度は2002年の10.9%が2007年には15.6%と1.5倍になり、とくに自動車産業の北米市場依存が今回のようなアメリカ発の経済危機の波をもろに被る結果を招いた。わずか5年前に戻せば言いだけの話だが、この構造と体質を変えるのはそう簡単ではない。

したがって、まさにパラダイム転換、基本的な考え方の転換が必要だ。

連合は、賃上げこそが最大の景気対策だとして、賃金カーブ維持分、賃金改善分、格差是正分の積み上げで要求を組み立てることとし、賃金構造維持分の算定が困難な中小労組の要求目安として、9,000円以上という額を示した。
各産別も連合の考え方に沿ってそれぞれ産別方針を組み立て、2月末までに要求を提出することにしているので、各組合も今その取り組みをしていただいているところだと思う。

2月に入って、県内の製造業を中心にいくつかの組合を訪問させていただき、状況を聞かせてもらったが、年末で時間外がゼロになり、月の手取りで7~8万円減ったという話をあちこちで聞いた。
家のローンや子どもの教育費を抱えている人も多いはずで、生活を直撃するような状況が生じているのは間違いない。
県内の労働者の賃金は、残業代を当てにしなければ生活できないほど低いレベルにある。
マクロ経済の視点からだけでなく、現場の生活実感からしても、賃金引上げは必要だ。

経営者は、この10年、新自由主義と言う熱病にかかって、労働者が生身の人間であることを忘れてしまった。
今年の春闘は、経営者の考え方を変えさせる春闘だ。
従業員を大切にする経営を求めて交渉を粘り強く積み上げていくことが必要だ。

労働組合もこの間、物分りがよすぎたのかもしれない。
交渉力を強化するために経営分析の勉強もして、相手のことが分かると「取れそうもない要求はしない」傾向も生まれた。
確かに厳しい環境下にはあるが、今年は「組合員の生活に根ざした」要求と闘いを仕組んでいくことが求められている。
そのことを経営者に率直にぶつけていくことが彼らの考え方を変えさせることにつながっていくのだと思う。

非正規労働者が1800万人、38%を超える状況の中で、いま労働組合に対する期待は高まっている。
労働組合がすべての働く人たちの先頭に立って「人間らしい働き方を求める」闘いをすすめ、連帯の輪を大きく広げていくことが求められている。
日本の社会のあり様を変えていく第1歩となるべき09春闘にすべての労働者が結集していただくことをお願いしたい。
連帯を広げ、力を合わせて闘っていこう。

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