江花和郎@ブログ

2005~2011年連合新潟会長を務める間書いたブログをその後も時々更新しています。

映画『この空の花』

2012年03月25日 | 映画
長岡花火物語と副題のついた映画『この空の花』の上映会に行ってきました。
ゲストの大林宣彦監督が言うように劇映画でもドキュメンタリーでもない大林ワールドの手法と主張の映画です。
始まってすぐ現在と過去が混然とする映像の流れは『時をかける少女』に通じるものを感じさせますが、戦争の歴史や震災から平和と復興へ向かう私たちの未来に希望を見い出そうとする監督の強い思いが伝わってきます。

戊辰戦争後の苦しいときに「復興は未来を担う子どもたちを育てること」という米百俵の精神が長岡花火の原点であり、空襲や地震で亡くなった人たちへの追悼と復興への祈りの花火です。
1945年8月1日の米軍の長岡空襲は焼夷弾により町の8割を焼き尽くし1480人の命を奪いました。
映画の中でもその体験が語られます。

この映画で私が新潟の戦災について何も知らないことに気づかされました。
8月1日より前の7月20日に長岡市に1個の爆弾が投下されます。
長崎に落とされた原子爆弾ファントムと同形の模擬爆弾でした。
畑に直径20mもの大きな穴を開けるほどの衝撃は農作業をしていた住民の命を奪いました。
米国は原爆投下の前に全国各地で投下実験を繰り返しており、新潟県内では長岡、柏崎、鹿瀬に同じ形の爆弾を落としています。
私も鹿瀬に爆弾が落ちた話は聞いたことがありますが、その経緯がそういうことだったとは知りませんでした。
原爆投下の目標は新潟市でしたから、県内各地で実験したようです。

大林監督がゲストトークで「新潟、長岡の皆さんの思いが私に映画を作らせた。皆さんの映画です」とおっしゃって下さったことを、今度は私たちが受け止めなければならないと思います。
また監督は「去年の3.11以降、私たちは映画を撮れなくなった。何を伝えたらいいかを教えてくれたのは被災地・被災者だった」ともおっしゃいました。
未来に向かっていくために多くの皆さんから観てほしい映画です。
新潟県内で4月7日から先行上映され、5月中旬から全国で順次上映される予定です。


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