「おいしい減塩食品」高血圧予防へ拡大 健康の第一歩、ブーム到来も
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2014年2月13日(木)08:08
(産経新聞)
「高血圧予防のために」と減塩食を試してみたが、続かなかった人も多いだろう。そんな中、日本高血圧学会が中心となり、おいしい減塩食品の種類を増やす取り組みが進んでいる。既にそうしたメニューを提供するレストランも出てきており、専門家は「減塩食品を取り入れて重篤な疾患につながる高血圧を予防してほしい」と呼び掛けている。(大家俊夫)
◆52品目をセレクト
減塩食品を取り入れる意味について、高血圧学会減塩委員会に所属する東大大学院医学系研究科の安東克之特任准教授は「食塩そのものは1日の食生活で摂取する全塩分の20%弱しかない。他は加工食品から取っている。このため、減塩食品を増やさないと減塩はなかなか実現しない」と現状を説明する。20%弱の根拠は財務省の統計「塩需給実績」で示され、一方、加工食品にはしょうゆやみそなどの調味料も含まれている。
減塩委員会は取り上げる減塩食品の規定として、自社既存品比で20%以上塩分を減らした商品などとしている。この取り組みには既に各メーカーから52品目が寄せられ、学会のホームページ(HP)で先行紹介されている。これらは、塩、和洋中だし、梅干し、めんたいこ、うどん、ラーメン、ハムなど多岐にわたる。大切なのは、減塩食品でもおいしい味を追求した減塩食品を掲載している点だ。
安東氏はこの52品目について、「減塩食というと薄味の病院食というイメージがあるが、食品メーカーの努力によって味の良いものが出来上がった」と評価する。
◆ホテルメニューにも
こうした市販の減塩食品を使ったレストランが出てきている。名古屋市のホテル「ウェスティンナゴヤキャッスル」の日本料理「西の丸」もその一つ。四季折々の松花堂弁当を1食2グラム程度に減塩して平成24年12月から提供している。料飲部支配人の福森智昭さんは「減塩によるおもてなしというコンセプトで、健康を気遣うお客さまに好評をいただいている」と語る。
同店のメニューを紹介した本『減塩松花堂』も女子栄養大出版部から出版された。本の企画・編集にかかわった野村善博さんは「このメニューを参考にすれば、一般家庭でも手軽に応用できるだろう」とし、今後の減塩食ブームの到来を予感する。
高血圧は放置すると、血管に高い圧力がかかり、血管障害、動脈硬化などの進展によって脳卒中、心臓疾患(狭心症や心筋梗塞)や腎硬化症などの一因となる。国民健康・栄養調査によると、国内の高血圧患者数は約4千万人と推計される。高血圧の主な要因は塩分の取り過ぎということは調査で裏付けられている。
安東氏は「減塩を目指すのは健康の第一歩。おいしい減塩食品を利用して少しでも塩分を減らしてほしい」と話している。
■高血圧学会が17日から募集
高血圧学会の減塩委員会(委員長=河野雄平・国立循環器病研究センター部長)では、おいしい減塩食品のHP掲載を今の52品目からさらに増やすため、食品の募集を始める。
商品は、通常品と比べて味が同等か、あるいは比較してもおいしい減塩食品で、対象は日本人の食環境において減塩化の必然性に賛同して減塩食品を製造・販売する企業・団体。審査にパスすると、減塩委員会のHPで紹介される。第1回募集は2月17~28日。詳細はHP(http://www.jpnsh.jp/general_salt.html#04)で。