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マーラー 「交響曲第1番」の絶望と希望(と少しばかりの欲望)

2006年06月02日 22時47分00秒 | 巻九 マーラーが私に語ること
マーラー:交響曲第1番
テンシュテット指揮
シカゴ交響楽団
東芝EMI

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誰でも、
たぶん誰でも、
思い通りに行かないことなんていくらでもあるだろう。
そしてその閉塞された想いに苛(さいな)まれ
苦しめられ、
満天の曇空を見上げる。
希望とはドコ?
進むべき道の道標は?

そんな「若き苦しみ」が
この曲を聴くときにいつも感じる切なさなのだ。

最後には勝利をもぎ取っているようにも聴こえるが、
決してこれは大団円などではない。
全てが結果うまくいったのだ、と自分を錯覚する、
ある意味幸福な、若さゆえの過誤。
そんな若さを、僕はこよなく愛する。
僕も精神的には、そんな未熟な少年的存在だからだ。

膨ちきれんばかりの欲望と
飛び出しそうな邪念と
発射寸前の怒涛。
そんな衝動が、きっと少年を永遠の少年のままで居させ続ける。

壁にぶつかり
波に遮られ
嵐は絶え間なく
絶望という名のマイルが
暗黒の断絶を呼び覚ます。

それでも少年は歩みつづける。
永遠の幸福と
非永遠の快楽と
半永遠の刹那的絶頂。

そのアガペーがきっと
人類の歴史を形成していく…

…なんてことは決してないだろう。

それでも少年は歩むことを忘れない。
それは、
誰かを愛することと
誰かを大切に想う事と
誰かを憎しみ抜くことと
誰かを誰かの幻影と同一視することとが
全て自己の全うすべき通奏的音階的運命だと理解しているからだ。

マーラーの1番は僕に
勇気と
絶頂と
不安と
逆鱗と
憎悪と
歓喜と
絶望と希望のコントラストを 見せてくれる。 

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Unknown (HIDE-X)
2006-07-09 10:35:25
こちらも拝見させて頂きました。

マーラーは高校時代吹奏楽をやっていた関係でよく聴いてました。

中でも1番「巨人」は好きだった楽曲の一つです。あの終末を迎えるまでの浮き沈み…まるで人生みたいですよね。久しぶりに聴いてみたくなりました。眠っているCDをあさってみます…
返信する
ありがとうございます。 ()
2006-07-09 17:30:57
>HIDE-Xさん

吹奏楽ですか!楽器は何だったんでしょう。いつか教えてください。

「巨人」は、おっしゃる通り「生きること」の縮図を思わせます。

ぜひぜひ、CDあさってください(笑)

そしてよろしければ、改めて聴いてみた感想なんかも聞かせて下さい。
返信する

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