【現代思想とジャーナリスト精神】

孫崎享氏評論と私見


【孫崎享のつぶやき】(*「私見」のみ転載・シェア厳禁)

《高浜原発差し止め判決での、「基準地震動」議論。極めて重要な指摘。無視する政府。罪,大》
2015-04-18 05:533



A 高浜原発3、4号機(福井県高浜町、定期検査中)の再稼働をめぐり、福井地裁の樋口英明裁判長は14日、住民らの訴えを認め、運転を禁じる仮処分決定を出した。

 判決事態重要であるが、原発再稼働の是非をめぐる重要な論点を示した。「基準地震動」をめぐる論議である。

 参考のため、とりあえず、ウィキペヂアの説明を記載する。

「原子力発電所の耐震基準は、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」により規定されている。これは、1981年(昭和56年)に制定され、2006年(平成18年)に改定されたものである。多くの原子力発電所は1981年に制定された指針を元に設計されている。

「この中で、発電用原子炉施設をどのような場所に設置するかを以下のように述べている。 「発電用原子炉施設は想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければならない。また、建物・構築物は原則として剛構造にするとともに、重要な建物・構築物は岩盤に支持させなければならない。」

 コトバンクは「原子力発電所の耐震設計において基準とする地震動。地質構造的見地から、施設周辺において発生する可能性がある最大の地震の揺れの強さのこと。単位はガル。」と記載している。

 たとえば東電は「柏崎刈原子力発電所おける基準値振動について」という文書の中で「17号機のすべてに対して原子炉建屋基礎版上において基準地震動Ssの応答を上回るように工事を実施している」としている。

「基準地震動」は原発建設において、極めて重要な概念である。

B: 高浜原発差し止め判決での言及

①基準地震動である700ガルを超える地震について

 基準地震動は原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

 しかし、全国で20カ所にも満たない原発のうち四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が2005年以後10年足らずの間に到来している。本件原発の地震想定が基本的には上記四つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず関西電力の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない。

C: 過去の地震の震動に関する情報

 重要な情報であるが本件に関する情報は一般にはほとんど詳細されていない。

 植草氏は東日本震災について4000ガル以上という数字を紹介している。

 本来根拠の確たるものを紹介しべきであるが、便宜上下記を紹介する。

・原発の耐震性と過去の震災のガル値(ライター:biped_hpさん)

東日本大震災での最大値は宮城県栗原市築館の2933ガルですが、この観測点の被災状況を確認した資料によると、周辺での被害は軽微でした。

 岩手・宮城内陸地震では岩手県一関市の観測点で4022ガルを記録してギネス記録にもなっています。観測点では祭畤温泉などの周辺施設で天井や床や土台が破損しましたが、建物全体では目立つ崩れはありませんでした。

 阪神大震災(最大818ガル)

・長沢啓行(大阪府立大名誉教授)は地震動の評価について「手法が古すぎ、過小評価している。愕然とした。」と述べています(5/1の報道)

 同委員会が発表する各原発の基準地震動を監視していく必要があります。同委員会等や電力会社が主張する基準地震動と長沢教授らが主張する基準地震動を以下併記します。

・ 高浜原発    同委員会   700ガル    長沢教授  1000ガル以上

・ 大飯原発    同委員会   856ガル    長沢教授  1500ガル以上

・ 川内原発    同委員会   700ガル    長沢教授  断層モデルの2~3倍(注

・ 伊方原発    四国電力    570ガル    美浜の会(武村の式)  2680ガル以上(出典「ものぐさブログ」)

・強震波形(平成16年(2004年)新潟県中越地震)―気象庁

 新潟県 川口町川口* 震度7 計測震度 6.5 最大加速度(gal=cm/s2) 1722.0

 新潟県 十日町市千歳町*震度6弱計測震度5.9最大加速度(gal=cm/s2) 1337.9

 D:これに対する政府などの発言

・菅官房長官「再稼働の方針変わらず」「独立した原子力規制委が十分時間かけ世界で最も厳しいと言われる新基準に適合するかどうか判断した」(読売)。

私のツイッター:地裁では「基準地震動は想定最大地震動.基準超え地震ないはず。10年に5回想定地震動を超える地震」と指摘。官房長官殿「重要な事は新基準が厳格さで世界の何番目ではない。地震大国日本で、地震に際し原発が耐久性をもっているかです。今回地裁判決は現在の基準では危ないと指摘しているのです。原発再稼働を推進されるなら良心持ってまっとうに正面から説明してください。

・経産省幹部は上級審で決定を覆せるとみている」(朝日)。

私のツイター:そうでしょう。日本の官僚機構では上へいけばいくほど、権力に迎合。しかし地裁判決は国民に、「地位の高い者の判断が優れているのではない。むしろ低地位に置かれている者の方が公正でまっとうな判断する」を知らしめる好機。

・田中委員長は「福島第一原発事故を踏まえた基準は、世界と比し最も厳しいレベル」と強調(読売)。

私のツイッター:官房長官と同じ屁理屈、「重要な事は新基準が厳格さで世界の何番目ではない。地震大国日本で、地震に際し原発が耐久性をもっているか」専門家ならそれに答えたらどうでしょう。

・ 首相:田中委員長は「福島第一原発事故を踏まえた基準は、世界と比し最も厳しいレベル」と強調(読売)。


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私見

 お読みいただいて、屋上屋を重ねることは避ける。それにしても、以下に日本の政府とそれに迎合する公立機関が、科学者として役人として、単なる権力迎合主義で、なんらの人間的良心も科学者的誠実さも持ち合わせていないかが痛く伝わってくる。

 このような見解の政府と取り巻きとが、日本を一時的で空疎な興奮をもたらすことだろうが、その興奮とともに地響きとともに私たちの精神的地盤が崩れ去っていくことか。「日本精神」とは戦前の国粋主義者が唱えた概念であるが、別の視点から「日本精神」などは皆無で、アメリカ軍産複合体の意のままに売国奴隷の路線を突っ走っているのが安倍政権である。安倍政権を抑制しているような仮面を演じて公明党=創価学会は、複雑な利益と得とを手に収めている。ここまで来ると、自民党と公明党は同じ利益共同体の表と裏の顔に過ぎない。安倍政権がここまで暴走してこれたのは、公明党と背後の創価学会の「援助」があって、はじめて成就できたことだ。

 自民党と比べて、公明党には穏健な路線と支持する文化人や知識人にもまともな人々が多い。その公明党が、権力政治のマキャベリズムに踏みこんで満身創痍な実相も自覚もなく慢心していること、日本の保守政治にとっても、公明党や創価学会自身にとっても修羅場の惨状しか見えてこない。

 自民党は、戦後体制でまがりなりにも、日本政治を担ってきたけれど、今日のような醜態は、戦後自民党が推進してきた政治路線区の全面的解体であり、戦時軍部政治路線に合流するしわざでうることの自覚は、自民党指導部中枢には皆無だが、党内の理性派には必ずしも全面的賛同を得てはいない。今後の政治の情勢は、国内で翼賛政治を実現している政権政党が、国外から孤立して、戦前の「名誉ある撤退」として国際連盟を脱退してドイツ・ナチスとイタリア・ファッショと合流して、ついには沖縄戦や広島長崎の取り返しのつかない惨状に陥ったことに一直線にむかっている。

 原発の政策は、まず福島原発の被害とその対策から開始されるべきであり、意図的な東京オリンピック開催の風によって福島原発問題を「なかったことにする」棄民政治を推進する安倍政権は、満場のIOC総会の席上、何度も質問を受けながら、福島原発の放射線汚染水は海上でブロックし封じ込めた、とする会場が唖然とする詭弁虚語を弄した時から国際的に相手にもされなくなった。安倍総理が海外にばらまく国民の血税を湯水のようにばらまいてくることによって、かろうじて日本国総理の体面を保っているだけに過ぎない。良心的なドイツ首相が勧めた原発対策も全く理解できる政治家的・人間的能力が欠落しているのだから、わかる筈もない。ジャパン・ヒットラーの出現は、戦犯岸信介氏の政治的判断力の万分の一も持っていない。最低最悪の総理の出現を、戦後70年にして先人の誰が予想しえただろうか?

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