
櫻井 智志
60年安保闘争で総評は社会党とともに、大きな力を発揮した。
しかし1960年代後半のベトナム戦争や1970年代の自治体革新闘争では、金属労協から同盟の右派勢力は、ついには総評を解体させた中曽根康弘内閣意向、全民労協からついに右派ナショナルセンターの「連合」として、日本労働界の労資協調路線を突き進んだ。労働運動は冬の時代にはいる。共産党系の全労連や社民党系の全労協も健闘したが、連合は社会党、社民党から民主党に支持母体も変わり、時には自民党を支持することもあった。
その連合が、これだけ変貌しつつあるのは、安保法案に代表する軍国主義政治に右派労働運動でさえ、反対する国民の声を無視できなくなったからだろう。時代は変わる。単純な政治転換はできないだろうが、日本共産党を含む「反戦争・平和擁護政党連合」は、ついに国政選挙に戦争反対の国民の声を国政選挙に結集する「戦争法安保体制廃止の国民連合政府」をめざして現実化の動きとなりつつある。連合がこの「国民連合政府」の流れに参加しつつあることは、また大きく国民の平和志向が強まりつつある。
大企業と癒着し続けてきた連合が、紆余曲折することは予想される。主体は連合ではなく、市民運動、国民運動にある。名も無き民衆や若者たちが大きく動いた無党派層の動きを主体にすえ、「国民連合政府」の運動は、デモや集会を全国に一斉蜂起させる広範な運動の下支えに政党連合が動き、労組はそれを固める。この場合の労組とは全労連や連合、全労協、ナショナルセンターには結集されていない中小企業の労組や個人加盟の労組など文字通り「(戦争法・安保体制廃止の)国民連合」に結集し「国民連合政府」を樹立する有力な一員となるだろう。
いきなり国政参院選・衆院選を迎える前に全国の自治体選挙で県から市町村までの選挙で、いろんな共闘を実際に組んでいくことが大切だ。ひとつひとつの選挙が、国政変革への土台であり、基盤となる。
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《資料》
孫崎享のつぶやき『連合、安保法制反対路線を明確に。民主党などに影響与える。新会長(予定)反対の意思強い。』
2015-09-24 07:363
A 事実関係
1:連合の反安保法制デモ
「ついに日本最大のナショナルセンターである連合が立ち上がった。8月23日暑い日差しの中、午前10時半から12時まで国会を取り囲む形で、日教組・自動車総連・私鉄・情報労連・電力総連・フード連合・全国ユニオンなど50以上の連合傘下の労組団体が結集した。「教え子を再び戦場に送るな」の横断幕が目立つ。人数は14000人に達した。集会は、「安倍暴走にNO!・労働者保護ルール改悪NO!・安保法案NO!」の3部に分かれて行われた。シールズの奥田愛基さんも連帯挨拶に駆けつけ、シールズ式コールを披露した。神津連合事務局長は、「これだけ集まったのは、安倍政権への怒りが普通の人たちに広がっているからだ。今後も労働法制問題と一緒に、国会前座り込みをはじめ運動を強めていきたい」と記者に語った。(レイバーネット)」
2:連合新体制
10月に任期が切れる労働組合の中央組織・連合の古賀伸明会長の後任に、神津里季生事務局長が選出されることが確定した神津氏は新日本製鉄(現新日鉄住金)の労組出身、
神津事務局長の後任には、連合傘下最大の産別労組「UAゼンセン」の逢見直人会長。
神津氏の考え、「怒りの声を国会にぶつけて政権の暴走を阻止しよう!」(ハフポスト9月17日)1
立憲主義の軽視に怒りを禁じえない
─安倍政権が、労働法制・安保法制の改悪を強引に進めています。
労働者派遣法の改悪案に加え、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションを導入する労働基準法の改悪案も国会に提出されている。働く者の声を国会に届け、法案の成立を阻止しなければならない。
安全保障法制についても、何の歯止めもないことが多くの国民の目に明らかになってきた。安倍政権は、集団的自衛権について憲法解釈を変更する閣議決定を行い、武力行使の新3要件を一方的に決めてきた。そして、周辺事態の概念を取り払い、アメリカから「日本の旗が必要だ」と言われれば、地球の裏側であろうと自衛隊を派遣しようとしている。
「法的安定性は関係ない」という礒崎首相補佐官の発言も飛び出した。安倍総理は火消しに奔走したが、あの発言は「時の内閣が適切に判断する」という安倍総理の言葉と通じ合うところがある。しかも安倍さんは、「私は総理なんですから」と強調する。「私は王様なんですから」と言っているようにも聞こえるが、野球に例えるなら「私が投げるんですから、どんな球でもストライクだ」と言っているようなもの。国民主権と立憲主義を軽視する安倍政権の立ち居振る舞いには、怒りを禁じ得ない。
39月19日付け安全保障関連法案の成立に関する談話、日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
・.与党は、参議院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」において安全保障関連法案を極めて異常かつ不誠実な形で押し通し、9月19日の本会議において強引に成立させた。国民の理解と合意形成を得る努力を怠り、審議不十分なまま強行採決を行ったことは民主主義に対する暴挙であり、断じて許されるものではない。
・ 政府は、衆議院での強行採決後、「国民の理解が進んでいるとは言えない」「支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議等において分かりやすく丁寧な説明を行う」と公言した。しかし、国民の疑問や懸念を問い質す野党の質問に対し、政府答弁は、不十分で不明確なものに終始した。直近のマスコミ世論調査によると、8割近くの国民が「議論が尽くされていない」と答えており、今国会で強引に成立させることに6割が反対している。加えて、国会周辺や各地で法案に反対する大衆行動が連日展開されてきた。国民の疑問や懸念が一向に払拭されないなかで審議を打ち切ることは、国民的合意を形成するという政治の役割を放棄するものと言わざるを得ない。
・他国領域での自衛権の行使や他国の軍隊への後方支援の内容などに関して、政府の答弁は二転三転し、「法理上は可能だが現政権は行わない」と説明するなど、審議を通じ国民の疑念はむしろ深まっている。加えて、首相補佐官の「法的安定性は関係ない」という発言とその撤回、元最高裁長官を含む法曹界からの憲法違反の声を無視するなど、立憲主義を軽視した政府の基本姿勢は極めて問題である。
B 評価
・連合が反安保法制デモに動いた意義は大きい。
民主党議員の多くは、当選には連合の支援を不可欠としている
連合は長い間、政治的闘争から距離をおいていた。
それだけではなく、前回の東京都知事選挙では、連合東京は自公の押す舛添要一氏を支援した。
・前古賀伸明会長は「1975年、松下電器産業に入社。松下電器産業労働組合産業中部支部分会執行委員」の経歴が示すように、経営陣、政権とは協調を図る思考が強い。
・新会長は旧新日鉄系であるので、企業べったり度合いは低いとみられる。
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60年安保闘争で総評は社会党とともに、大きな力を発揮した。
しかし1960年代後半のベトナム戦争や1970年代の自治体革新闘争では、金属労協から同盟の右派勢力は、ついには総評を解体させた中曽根康弘内閣意向、全民労協からついに右派ナショナルセンターの「連合」として、日本労働界の労資協調路線を突き進んだ。労働運動は冬の時代にはいる。共産党系の全労連や社民党系の全労協も健闘したが、連合は社会党、社民党から民主党に支持母体も変わり、時には自民党を支持することもあった。
その連合が、これだけ変貌しつつあるのは、安保法案に代表する軍国主義政治に右派労働運動でさえ、反対する国民の声を無視できなくなったからだろう。時代は変わる。単純な政治転換はできないだろうが、日本共産党を含む「反戦争・平和擁護政党連合」は、ついに国政選挙に戦争反対の国民の声を国政選挙に結集する「戦争法安保体制廃止の国民連合政府」をめざして現実化の動きとなりつつある。連合がこの「国民連合政府」の流れに参加しつつあることは、また大きく国民の平和志向が強まりつつある。
大企業と癒着し続けてきた連合が、紆余曲折することは予想される。主体は連合ではなく、市民運動、国民運動にある。名も無き民衆や若者たちが大きく動いた無党派層の動きを主体にすえ、「国民連合政府」の運動は、デモや集会を全国に一斉蜂起させる広範な運動の下支えに政党連合が動き、労組はそれを固める。この場合の労組とは全労連や連合、全労協、ナショナルセンターには結集されていない中小企業の労組や個人加盟の労組など文字通り「(戦争法・安保体制廃止の)国民連合」に結集し「国民連合政府」を樹立する有力な一員となるだろう。
いきなり国政参院選・衆院選を迎える前に全国の自治体選挙で県から市町村までの選挙で、いろんな共闘を実際に組んでいくことが大切だ。ひとつひとつの選挙が、国政変革への土台であり、基盤となる。
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《資料》
孫崎享のつぶやき『連合、安保法制反対路線を明確に。民主党などに影響与える。新会長(予定)反対の意思強い。』
2015-09-24 07:363
A 事実関係
1:連合の反安保法制デモ
「ついに日本最大のナショナルセンターである連合が立ち上がった。8月23日暑い日差しの中、午前10時半から12時まで国会を取り囲む形で、日教組・自動車総連・私鉄・情報労連・電力総連・フード連合・全国ユニオンなど50以上の連合傘下の労組団体が結集した。「教え子を再び戦場に送るな」の横断幕が目立つ。人数は14000人に達した。集会は、「安倍暴走にNO!・労働者保護ルール改悪NO!・安保法案NO!」の3部に分かれて行われた。シールズの奥田愛基さんも連帯挨拶に駆けつけ、シールズ式コールを披露した。神津連合事務局長は、「これだけ集まったのは、安倍政権への怒りが普通の人たちに広がっているからだ。今後も労働法制問題と一緒に、国会前座り込みをはじめ運動を強めていきたい」と記者に語った。(レイバーネット)」
2:連合新体制
10月に任期が切れる労働組合の中央組織・連合の古賀伸明会長の後任に、神津里季生事務局長が選出されることが確定した神津氏は新日本製鉄(現新日鉄住金)の労組出身、
神津事務局長の後任には、連合傘下最大の産別労組「UAゼンセン」の逢見直人会長。
神津氏の考え、「怒りの声を国会にぶつけて政権の暴走を阻止しよう!」(ハフポスト9月17日)1
立憲主義の軽視に怒りを禁じえない
─安倍政権が、労働法制・安保法制の改悪を強引に進めています。
労働者派遣法の改悪案に加え、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションを導入する労働基準法の改悪案も国会に提出されている。働く者の声を国会に届け、法案の成立を阻止しなければならない。
安全保障法制についても、何の歯止めもないことが多くの国民の目に明らかになってきた。安倍政権は、集団的自衛権について憲法解釈を変更する閣議決定を行い、武力行使の新3要件を一方的に決めてきた。そして、周辺事態の概念を取り払い、アメリカから「日本の旗が必要だ」と言われれば、地球の裏側であろうと自衛隊を派遣しようとしている。
「法的安定性は関係ない」という礒崎首相補佐官の発言も飛び出した。安倍総理は火消しに奔走したが、あの発言は「時の内閣が適切に判断する」という安倍総理の言葉と通じ合うところがある。しかも安倍さんは、「私は総理なんですから」と強調する。「私は王様なんですから」と言っているようにも聞こえるが、野球に例えるなら「私が投げるんですから、どんな球でもストライクだ」と言っているようなもの。国民主権と立憲主義を軽視する安倍政権の立ち居振る舞いには、怒りを禁じ得ない。
39月19日付け安全保障関連法案の成立に関する談話、日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
・.与党は、参議院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」において安全保障関連法案を極めて異常かつ不誠実な形で押し通し、9月19日の本会議において強引に成立させた。国民の理解と合意形成を得る努力を怠り、審議不十分なまま強行採決を行ったことは民主主義に対する暴挙であり、断じて許されるものではない。
・ 政府は、衆議院での強行採決後、「国民の理解が進んでいるとは言えない」「支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議等において分かりやすく丁寧な説明を行う」と公言した。しかし、国民の疑問や懸念を問い質す野党の質問に対し、政府答弁は、不十分で不明確なものに終始した。直近のマスコミ世論調査によると、8割近くの国民が「議論が尽くされていない」と答えており、今国会で強引に成立させることに6割が反対している。加えて、国会周辺や各地で法案に反対する大衆行動が連日展開されてきた。国民の疑問や懸念が一向に払拭されないなかで審議を打ち切ることは、国民的合意を形成するという政治の役割を放棄するものと言わざるを得ない。
・他国領域での自衛権の行使や他国の軍隊への後方支援の内容などに関して、政府の答弁は二転三転し、「法理上は可能だが現政権は行わない」と説明するなど、審議を通じ国民の疑念はむしろ深まっている。加えて、首相補佐官の「法的安定性は関係ない」という発言とその撤回、元最高裁長官を含む法曹界からの憲法違反の声を無視するなど、立憲主義を軽視した政府の基本姿勢は極めて問題である。
B 評価
・連合が反安保法制デモに動いた意義は大きい。
民主党議員の多くは、当選には連合の支援を不可欠としている
連合は長い間、政治的闘争から距離をおいていた。
それだけではなく、前回の東京都知事選挙では、連合東京は自公の押す舛添要一氏を支援した。
・前古賀伸明会長は「1975年、松下電器産業に入社。松下電器産業労働組合産業中部支部分会執行委員」の経歴が示すように、経営陣、政権とは協調を図る思考が強い。
・新会長は旧新日鉄系であるので、企業べったり度合いは低いとみられる。
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